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「今日はお昼ご飯を食べたら出かけるわよ」


朝ご飯の後、ママが言った。


「どこにー?」

「おじいちゃんち?コナーにぃちゃんち?」

「パパとママのお友達のうちよ」


ちなみに、おじいちゃんもコナー兄ちゃんもご近所の農家さんだ。

ご近所といってもそれなりに広さがある農地なので、子供の足ではちょっとしたお出かけになる。


しかし、パパとママのお友達とは。今まで聞いた事なかったぞ?

というか、三歳の今までご近所さんちしかいった事がない。

そんな人がいるなら、何で今まで会った事がなかったんだろう?


荷馬車に揺られ、道々聞こえてくるパパとママの懐かし話に耳をすます。


それによると、二人の騎士時代の仕事仲間らしい。しかもママ同士が同じ銀狼の獣人で同郷の人だとか。パパさんはうちと同じ人族だって。


今回パパさんがうちの町に転勤になったので一家で引っ越してきたらしい。

そのお宅には私とミアより半年遅い、秋生まれの男の子がいるそうだ。


ほぉほぉ。同じ年の男の子かぁ。初めて見るよ!しかも獣人とな!

リアンのように可愛い子犬に(オオカミだけど)なるのかな?

わ~!めっちゃ楽しみ!!




ママたちのお友達のうちは、町中にあった。

騎士の社宅?

まぁお仕事は町の保安だろうから、家も職場も町中になるよね。


町はずれのうちから町中までは荷馬車で三十分くらいだ。

三歳児の足ではどのくらいかかるかわからない。速度の方じゃなくて、興味津々であちこち行きまくるからね!


「いらっしゃい!久しぶりー!元気だった?」

「ほんと!もう四年?五年?ぶりになるかしら?」


玄関先で女子トークが始まった。

ママが女子に見えるぞ。


「立ち話始めるなって、入ってもらいなよ」

「そうね!ごめんなさい、入って入って!!」

「おじゃまします♪」

「これ、ちょっとしたもんだけど食べてくれ。美味いぞ」

「おっ、ゴチ!わるいな」


親同士が挨拶をして、家の中に入れてもらう。


中に入ると綺麗な男の子がいた。

リアンと同じタイプだな。


半年違いと聞いていたけど、獣人は成長が早いからなぁ。

その子は私たちより少し大きかった。

ちなみにリアンは一歳違いだけど私たちと同じくらいだよ。


「こんにちは!わたしサラ、よろしくね!」

「わたしミア!よろしくね!」

「リアン! よろしくね!」


お姉さんが先頭をきって挨拶する♪


うちはたぶん、私が言葉を覚えるのも(頭は大人だからね)しゃべるのも早かったから、一緒に育ったミアもリアンも早い方だと思う。


男の子はモジモジとママさんの後ろに隠れてしまった。

ママさんのスカートの陰から、揺れるシッポが見えてるのが可愛い!


「ほら、ご挨拶しなさい」


ママさんに言われて、男の子が片目だけスカートから覗かした。


「……ウィル」


可愛~い!! 

小さな声はしっかり聞きとったよ!


耳はちょっとふせ気味だけどピコピコ動いてるし、シッポの揺れも大きくなったからイヤではなさそうだ。


「ウィル!いっしょにあそぼう!」

「なにしてあそぶ?!」

「×××―!!」


遊ぶという言葉に、そっこーミアとリアンが食いつく。

リアンは興奮すると、ちょっと言葉が怪しくなるんだよね。何となくわかるけど。


助走なしの二人のハイテンションに、ウィルは驚いてしまった。


あぁごめんよ!耳がぺったり頭についちゃっている。シッポも垂れ下っちゃってるし。

でもシッポの揺れは小さく続いてるから、たぶん大丈夫だろう。


「おばちゃん、おみずちょうだい。おみずをのんだら、おにわであそんでもいい?」


三十分も馬車に揺られてテンション高くやってきたのだ、水を飲ませてから遊ばせないと。水分補給は大事だからね。

お姉ちゃんは妹弟の健康管理も担当しているのだ。


「オリビア、この子はずいぶんしっかりしてるのねぇ」

「そうね、サラはすごくお姉ちゃんの自覚があるみたい。とても助かってるわ」


中身大人ですから♪


水をもらってみんなで飲んだら、ウィルに手を差し出す。


「ウィル、つれてって?」

「…うん」


笑顔で主導権を渡すと、そこはやっぱり男の子なのか、しっかり返事をして手を取った。


ドアの前には待ちきれない妹弟がいる。

あの転落事故以来、どんなに気持ちがはやっても二人は私がいいと言うか一緒じゃなかったら勝手な行動はしないようになった。

よっぽど衝撃的だったんだろなぁ。そりゃそうだよね。




町中だからか、あまり広くない庭で走り回って遊ぶ。

なんで幼児って走るだけでもあんなに喜ぶんだろう?中身二十一歳には失くなってしまった感情だよ。


つまり、しんどい!

そんなに持久走できないよ~!


私は花壇の縁取りになっているレンガに座って元気な幼児たちを見守った。


おぉ!子犬が二匹転げまわっているじゃないか!めちゃ可愛い!!

ペットフードなんかのCMで見る、二匹の子犬が戯れている、あの可愛い感じね!

その後を可愛らしい幼女が追いかける!

何これ!何のCMよ?!

はぁ~、癒されるわぁ♪ 


「サラ~!」

「キャンキャン!!」


おっと、休憩に気づかれてしまったか。

しゃあないなぁ!お姉ちゃんが遊んであげよう!


「うりゃ~!」


私はみんなのところに駆けだした。


二人と二匹で走り回る。たまに三人と一匹や、四人になる不思議!(笑)


元々鬼ごっこは妹弟のお気に入りだったけど、三人でやるのと四人でやるのとでは全然違うね!すごく楽しい!!


私とミアは三歳になってだいぶしっかり走れるようになったし、リアンとウィルは子犬になれば転ばない。


あ、転がった。


たまには足がもつれて転ぶ?転がる?けど、ペチャっとつぶれるくらいだからケガはない。

私とミアや、リアンとウィルが人の姿の時の方がよっぽどケガをすると思う。


たとえば、 ……いや実例だけど!


興奮しすぎた子犬のウィルがタックルをかましてきた!

頭の重い三歳児なんて簡単にすっ転ぶよ!

ちょっとくうを飛んで、顔から地面に落ちると、勢いのまま転がった。


痛ーい!! 久々のクリティカルヒットだ!


さんざんリアンにやられてきたけど、その度に血だらけになる姉を見て加減してくれるようになったんだよね。うちの弟賢い!


ヤッベ、とみんなを見る。

子犬姿だから全身毛だらけで顔色なんて見えない筈なんだけど、ウィルは真っ青になった。

額にはマンガで見る縦線も入っているように見える。


「「サラ!!」」


ミアと、人の姿になったリアンが駆けよってくる。


「いててて。 だいじょうぶ!だいじょうぶ!」


心配顔の二人に笑いかける。

こういう時、二十一歳は強い。泣かずに踏ん張れるのだ。転がったままだけど。


顔から突っ込んだから、きっと流血してるだろう。画的にちょっとホラーかも。なんて思いつつ、どうしていいかわからないようにウロウロしている子犬に手を差し出す。


「ウィル」


ウィルは恐る恐るやってくる。

手が届くところまで来ると、フワフワの身体をなでて宣言する。


「だいじょうぶ!わたしつよいの! つぎはたおされないからね!!」


不敵に笑って、


「だけどミア、ママをよんできて。ちゃんとみてもらってから、またあそぼう」

「うん!」

「ぼくもいく!!」


二人は家に向かって駆け出した。


「ウィルはいっしょにいてね。ひとりにしないでよ」


後を追いそうになったウィルを呼び止める。

身体は三歳児。さすがにひとりぼっちにされたら困る。


そのままウィルを抱きよせてフワフワをなでなでする。

はぁ~、癒されるぅ♪(本日二度目) 


「サラ! 大丈夫なの?!」


すぐにやってきたママたちは、顔から血を流して転がっている幼女に全員真っ青になった。


「いままででいちばんはやくはしれたの!そしたらころんじゃった!」


何とも言えない表情のパパに抱き上げられて、家の中に運ばれる。


「ミア、リアンよびにいってくれてありがと。ウィル、一緒にいてくれてありがとね」


心配そうについてくるちびっ子たちに声をかける。

お姉ちゃん大丈夫だから!


幸い、出血のわりにたいしたケガではなかった。幼児の身体は柔らかいねぇ。


だけどその日は外遊びは禁止になってしまった。

すまない、みんな。







ウィルも出てきましたね。

あれ?と思われた方、やっぱり!と思われた方、その通りです^^


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