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異世界で人生やり直し~最強チートなくても努力で最強になる~  作者: モリオー
ダンジョン―旅― 編
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移動完了

 一体何がどうなってるんだ。

 さっき俺が倒したはずのマッシュが、変種の胞子を浴びて次々と蘇っていく。しかも見るからに凶暴化してる。


「ゴゥォォオン!」


 普段はじっとしているだけのマッシュが口を大きく開き、俺たちを威嚇している。

 威嚇だよな?

 変な声だけど。


「ルイ!」

「うん! わかってるよ! ファイアボール!」


 さっきと同じようにマッシュに向けて魔法を放つ。

 よし、全て命中だ。直撃を受けたマッシュの体が燃えている。


 あれ? 倒れない? 苦しむ様子もないぞ・・・


《あの胞子は同類を回復させる効果があるようです。更に思考を失くし凶暴化される力も持っている可能性があります》


 まじか。

 確かによく見ると俺の魔法でマッシュの体は一部爆ぜたり、燃えて爛れているが、次の瞬間には修復されている。やっぱりあの胞子には回復効果があるようだ。

 前回のオークと同じ変種と言っても能力は全くの別物というわけか。


「ゴゥォォオン!」


 そんな事を考えているうちに、あっと言う間に完全回復したマッシュ達は俺たちに向かって一斉に胞子を噴出しだした。一匹の量は大したことがなくても、30匹もいればその量はこの空間を埋め尽くすには十分だった。


「あらあらピンチかしらね?」

「こりゃ解毒剤の効力が切れたらワシらやばいのう」

「その前にあの変種を倒せばいいって話だろ」


 この状況でも呑気に冗談が言えるってことはまだまだ余裕がある証拠だ。きっと俺が魔法を使うと分かっているからだろう。


「ウインド!」


 俺は辺り一帯に風を集め、漂っている胞子をそのまま上空へと運んでいく。瞬く間に胞子で埋め尽くされていた空間の視界が晴れていき、これでこの広場の胞子は無くなったはずだ。


「ふふふ、流石ね。状況判断もちゃんと出来るようね」

「やるのう坊主。ここまで風が強いとは思わなんだ」

「はっはっは! こいつの魔法は常識はずれだからな」

「信じてくれてたんでしょ? ならそれに応えるだけだよ! 今なら変種の胞子も効果を発揮できないからやるなら今のうちだよ!」


 言葉と同時に俺はフレイムランスをマッシュへ放つ。変種による回復が無くなったとは言え、念のため高威力の魔法にを選択した。これだと素材の回収は無理だろうがそんなことを言ってる場合ではない。


 ドドドドォッゴォォォオオオオオン!!


 先ほどとは比べ物にならない威力の魔法がマッシュへ飛び向かい大爆発を巻き起こす。直撃した瞬間マッシュの体は完全に爆ぜ、これなら変種が胞子を飛ばしても意味がないかもしれない。ちょっとやりすぎたかな。


「上級魔法でも全く同じことができるのね。本当に坊やには呆れるわ・・・」

「ガハハハ! まるで戦場だのう! 頼もしいわい!」

「はっはっは! じゃあ俺たちの番だ!」


 俺がマッシュを殲滅したのを見てロイスたちは変種へと駆ける。一瞬で変種へ近づくとデュートが地面にハンマーを振り下し大地が揺れる。それの揺れのせいか変種は動きを止め麻痺したような状態になる。麻痺を使う側が麻痺状態になるなんて皮肉もいいところだ。


 続いて動きを止めたマッシュに対しロイスが素早く三連擊を食らわし、縦横斜めと変種の体が切断された。そして横でじっと観察するように見ていたセレナが切断された断面から魔結晶を発見し、ロイス以上の速度で変種に踏み込んだと思ったら瞬間に短剣で魔結晶を砕いた。


「ブゥォォオオオオオン!!」


 変種にとっても魔結晶は急所に変わりはないようで、セレナに砕かれた瞬間、断絶魔の叫びを上げその後ピクリとも動かなくなり遂に息絶えた。


「どうやら倒せたらしいな」

「そうね。魔結晶を完全に砕いたもの、魔物なら当然生きていられないわ」

「厄介な敵じゃったのう。このメンバーじゃなかったらもっと苦戦したじゃろうな」

「あぁ、前回のオークもそうだったが変種は手ごわいぜ。今後もっと注意せんとな」

「まずは先を急ぎましょ。ここでじっとしても仕様がないわ。ダンジョン側にある冒険ギルト出張所に寄って報告をすればいいわ」

「そうだな。じゃあ行くか。おい、ルイそっちは後処理が必要ないだろう。変種の処理をしたらいくぞ」

「うん! 分かったよ!」


 マッシュは俺のフレイムランスの爆発により体がバラバラに爆ぜ、更に高温の炎に焼かれたため今は跡形もなく灰になっている。だから後処理をするまでもなく、俺は変種のみを

魔法を使って処理した。


 いくら変種でも回復効果を持たない死体では俺の魔法に抵抗できず、一瞬で燃え尽き灰へと変わった。


「お疲れさん。じゃあ先へ進むか。森の出口まであと僅かだ」


 無事変種を倒した俺たち一行は再び森の出口を目指し進行を再開する。

出口までの道のりは順調で通常通りの魔物しか出現することがなかく、そして夕方になる頃、俺たちは遂に森の出口へとたどり着いた。


「はっはっは! 森の出口だ!」

「やっと出られたわね。坊やは疲れてない?」

「ううん、大丈夫だよ! 冒険はまだまだこれからだからね!」

「ガハハ! 分かっとるじゃねーか坊主! でもよくがんばったのう」


 まだ冒険の序盤で片道の移動を終わらせただけに過ぎないけど、俺のこころは大いに喜んでいた。だって初めての本格的な冒険で最初の任務を完遂したんだもの、嬉しくないわけがない。


「後はこっからダンジョン街へ行くだけだな」

「あれ? この近くにも町があるの?」

「ふふふ、町というほど大袈裟なものじゃないわ。ただ商売屋が集まってるだけよ。でも人が集まってからは建物も増えて今ではちょっと街になってるのよ。宿まであるんだから」

「ガハハ! 金の成るところに人は必ず集まるからのう!」


 どうやら今夜は野宿をせずに済むらしい。ただベッドで寝れるだけでここまで嬉しくなれるのもこの冒険を通じて学んだことの一つだ。

 贅沢に慣れるもんじゃないな。うちは貧乏だけど。


「はっはっは! デュート、今夜は飲めるな!」

「あぁ、やっと酒が飲めるわい! ガハハハ!」

「何言ってるのよ。野宿はまだ昨日の一晩だけでしょ? 一昨日たらふく飲んだばかりじゃない」

「はっはっは! 俺らは毎日でも一緒に飲みてーからな!」

「そうじゃぞ! 一日酒が飲めない辛さがお主にはわからんのか!」

「呆れた・・・ まぁいつものことだけど。坊やはあぁなっちゃ嫌よ」

「うん。それは大丈夫だと思うよ・・・」


 俺とセレナの呆れる目にロイス達は待ったく気にする素振りがない。そこまで酒が好きなのか。でもロイスはうちにいる時はそこまで飲んでなかったよな? 酒は相手がいてこそうまいと聞いたことがあるが本当にそうなのかな。


 でもそんな二人でも昨晩は飲み出すと止まらなくなるからと酒を飲まなかった。こうしたちょっとした我慢もベテランならではなのだろう。だから飲める時にしっかり飲みたいのかもしれない。


「よし! じゃあ行くぜ!」

「ガハハハ! 酒じゃ酒じゃ!」

「はぁ、この二人が揃うと仕方がないわね」

「でもあそこまで楽しそうな顔されたら何も言えなくなっちゃうね!」

「ふふふ、そうね。じゃあ行きましょ坊や」

「うん!」


 こうしてついに俺たちは目的のダンジョンマモンへ到着し、いよいよ明日からはダンジョン攻略だ。今夜はしっかり体を休ませて明日に備えるか。


 あれ? ってことはまたセレナと同じ部屋か?

 熟睡・・・ できるかな。


お読み頂き有難うございます。

次話は28日に投稿する予定です。

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