初めての魔物
魔物って雑魚でも現代人にしてみれば恐ろしいはずですよね?
そして初めて日間PVが3,000超えました!
有難うございます!
気づけば本小説も40話以上になり、文字数も12万字超えました。
これも皆さんに支えられて来たお陰です。
本当に有難うございます!
ふぅ、昨日は大変だったぜ・・・
一日かけてロイスとミュールへお出かけしたし、帰ったら帰ったでマリーを深夜まで説得する羽目になった。
俺の成長を信じると言いながら、直ぐに後悔してやっぱり行かせないと言い出し、かと思ったら俺やロイスに説得されまた思い直す。
そんなやり取りを何度も何度も繰り返し、最後は条件付きでやっと俺のパーティ同行を許可してくれたのだ。
そして今、その条件を満足させるために俺とロイス、そしてマリーがお出かけの用意をしている。
「ルイ? 用意はできた?」
「俺たちはいつでも行けるぞ」
「うん、今終わったとこ! じゃあ出発する?」
「そうね、じゃあ行きましょ」
「はっはっは! 楽しみだな!」
何をするのかって?
家族でピクニック?
違う違う。
魔物狩りに行くのだ。
マリーが俺に出した条件は自分の目で俺がロイス達に同行してもいい実力を備えているかを確認することだった。
もし少しでも危なっかしいところがあれば絶対に許可しないだろう。
その条件に俺もロイスも渋々同意するしかなかった。
というより無理やりさせられた。
ちょっとでも反論しようものなら、その瞬間拳が突き刺さるからだ。
ではなぜこんなに二人のテンションが高いのか。
それはただ単に二人が強いからだ。
この辺の魔物は危険度が低く、Bランク冒険者が二人もいれば何の脅威にもならない。
だからマリーとロイスにしたらピクニックとなんら変わらないのだ。
現に本来の目的も忘れそうな勢いでマリーがウキウキしている。
しかもマリーなんて私服だもの。
そんな格好で普通魔物狩りなんてしねーよ。
そう言えば、家族でお出かけすることなんてあまりなかったな。
これまでの過去を振り返ってみる。
センセイとの訓練。
マリーとの訓練。
ティアとの訓練。
ロイスとの訓練。
その他自主練。
あれ?
俺ってこれまでほとんど訓練しかしてなくね?
こんな幼少時代の過ごし方聞いたことねーよ。
なんか頬に暖かいものが流れた気がする。
「ルイー、何してるの? 行くわよー」
「遅ーぞ! 早くしろ!」
この二人、案外鬼だな。
「う、うん! 今行くよ!」
これから向かう場所はティアと魔法訓練した裏山を抜け、更に2時間ほど歩いた先の森だ。
これまでマリーとロイスに厳しく近づかないように注意された場所でもある。
なぜならそこには魔物が生息しているからだ。
当然周りに人は住んでおらず、一般人が迷い込んだらまず出てこれない。
そんなところに俺たち家族はピクニック気分で向かっている。
「父さん、その森ってどんな魔物がいるの?」
「あぁ、低ランクの魔物ばっかだな。ゴブリンや一角兎、オークなんかもいるな」
「低ランクとは言え魔物なのよ。ルイ、私たちから離れちゃだめよ?」
「はっはっは、ルイならオークだって楽勝だろ!」
ドンッ!
「っう」
「余計なこと言わないの!」
「はい・・・」
マリーとロイスの漫才を無視して俺は前世の記憶を探る。
ゴブリンと一角兎は確かスライムに並ぶ一番弱い類の魔物だったな。
オークはそれより1ランク上の魔物だがそんなに強いものでもなかったはず。
初心者冒険者がまず狩りの対象とするモノばかりだ。
特にゴブリン狩りと言えばユーチューバーがメントスコーラをやるようなもんだろ。
よし、俺ならきっと大丈夫だ。
マリーとロイスの話を聞きながら歩くこと2時間。
「着いたわね」
「あぁ、ここに来るのも久しぶりだな」
「なんか禍々しいね」
「そう?」
「そうか?」
俺からしてみたら禍々しいオーラたっぷりの森でも、冒険慣れしているこの二人には普通に見えるらしい。
なんかハロウィーンで見るような木々が並んでるんだぜ?
上級冒険者って普段どんなところに行ってるんだろ。
俺大丈夫か?
少し不安になってきた。
「ルイ、この先から魔物が出るわ。私たちから離れちゃダメよ」
「あぁ、まずは俺たちが狩るところを見てろ」
「う、うん、分かった」
緊張する俺をよそに、マリーたちが躊躇なく前へと進む。
ベテラン冒険者は伊達じゃないな。
力だけ見るなら俺は結構いい線いってると思うけど、精神的にまだ付いていけてないことがよくわかる。
実戦訓練を事前にやっといて大正解だな。
じゃないとダンジョンでは皆に大迷惑をかけていたはずだ。
そんなことを考えながら俺たちは森の奥へと進んでいく。
すると急に辺りがざわめいた気がした。
「出たわね」
「あぁ」
マリーとロイスの表情が真剣になる。
どうやら周りに魔物がいるらしい。
俺は集中して周りに気を配る。
ササッ
サササッ!
微かな物音が聞こえ、俺にも何モノかの気配に気づく。
ガサガサッ!
そこか!
俺は瞬時に物音がする方向に目を向ける。
いた。
ゴブリンだ。
直感的にそう判断する。
「ルイ、あれがゴブリンよ。気を抜かないでね」
「はっはっは! 大丈夫だルイ、まずは観察してみろ」
マリーとロイスの態度からもこの世界のゴブリンも大した力がないのが分かる。
少し安心して言われた通りゴブリンをじっと観察する。
濃緑色の肌に醜い顔。
頭には小さな角が生えており、手には棍棒を持っている。
その目はギラギラしており、口からは涎が垂れていた。
イメージ通りの姿だな。
じー・・・。
ゴブリンと目が合う。
っへ、ゴブリンのくせに俺とガン比べか?
上等じゃねーか。
俺も負けじとゴブリンを睨みつける。
マリーとロイスもいるし、前世の記憶でゴブリンが雑魚だと知っていることもあり、俺は強気になっていた。
すると――
「ギャァァァアアアオオオオオオォォォオオオオオオオ!!!」
ゴブリンが突然凄まじい雄叫びを上げ俺たちを威嚇する。
目は蛇のように瞳が細くなり、口はまるで顎が外れたかのよう大きく開かれている。
雄叫びの音量は耳を塞ぎたくなるほど大きい。
その余りにも異常な光景に俺はひどく動揺した。
っこ、怖ぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!
え?
あのゴブリンさんだよね?
初心者冒険者が狩るお手軽魔物ですよね??
何でこんなに禍々しいんっすか?
まじっぱーねーっす!
すみません! 調子乗ってました!
魔物怖い。ゴブリン怖い。
うん。
なんか想像したのとちょっと違った。
お読み頂き有難うございます。
次話は明日17:00に投稿予定です。
また初めて活動報告を書きました。
本小説の前半部分を書き直すかについてです。
もしよかったらご覧になってください。