肉体強化
なんと・・・
なんとなんと!
初めてご感想を頂きました!!
本当に有難うございます!
更に魔法の呪文まで頂いちゃいました・・・
しかもセンスが半端ない!
貴方は神様ですか・・・
本当に有難うございます!!!
「いいかルイ、じゃあこれから剣術を教えるぞ」
「はい」
これから剣術訓練が始まる。
ロイスにしてみれば5年間も待たされたのだ、きっと今にでも始めたいのだろう。
俺はすぐにそれに従った。
「本来なら最初に基礎体力と筋力を鍛えるんだが、お前はもう大丈夫だろ。ってか、5歳でよくそれだけの鍛えられたな」
そりゃスパルタ鬼教官のセンセイが付いてるからな。
まあそのことは言えないが。
「父さんが鍛えているのを見て、僕も遊び感覚で真似てたの。そしたら気づいたら大分力も付いたよ」
俺の回答を聞いてロイスは「そうかそうか」と満足げに頷いていた。
5歳児がオヤジの真似をしてこんな体になってたら俺が驚くわ。
ロイスが親バカ、いや馬鹿親でよかった。
「さっそく剣を使って訓練を始めたいところだが、まずは座学だ。俺も嫌いだから手短に話すぞ」
ロイスが座学なんて似合わ無さ過ぎるが、剣術について一通り説明してくれた。
この世界の剣術は前世と同じように剣の型があり、それを日々繰り返し練習することで剣の腕を上げていく。
しかしそれだけでは限界があり、強い魔物には通用しないそうだ。
まだ俺は魔物に出会ったことはないが、過去に読んだ小説のイメージのままなら相当強いはずだ。
前世の剣の達人と呼ばれる者もそれらに勝てるとは想像しにくい。
ではこの世界の剣士たちはどうしているか。
どうやら肉体強化という技術があるらしい。
詰まるところ、ここでも魔力が絡んでくるようだ。
「じゃあ肉体強化も魔法の一種と言うことなの?」
「確かに魔法と似ているとも言える。でも違うな」
俺の問いにロイスは直様否定をする。
「確かに魔法と同じように魔力を使うが、根本的なところが違う。魔法は呪文に魔力を込め、イメージさせた現象を発動させる技術だが、肉体強化は自身の体に魔力を込めて筋力を高める技術だ」
「でも同じように魔力を操作するんだよね?」
「ああ、そういう意味では魔法と同じだ。だが制御の仕方がまるで違う。俺もうまくは説明できないが、実際にやってみた方が早いだろ」
やっぱりロイスに座学は無理なようで実演に切り替える。
木に建てられている剣を手に取り、横の訓練用丸太に向かって構える。
「まずは肉体強化を使わないで剣を使うぞ」
俺はロイスをじっと見つめる。
ロイスが集中し、そして足に力を入れて丸太目掛けて踏み込む。
その踏み込みで庭の地面が少し凹んだ。
それだけで十分驚くわ!
次の瞬間ロイスが剣を振り下ろし、目の前の丸太が抵抗なく真っ二つになった。
「まあ、こんなもんだ」
いやいやいや。
それもう肉体強化云々じゃなくて、既に人を超えてるだろ!
前世の達人でも丸太は一刀両断にはできないぞ。
俺が驚いているのをみてロイスが自慢げに笑う。
息子にいいところを見せられて大満足なのだろう。
「すごいだろ。肉体強化なしで丸太を切れる奴はそんなに多くないんだぞ」
そりゃそうだろ。
これが誰でも出来るなら俺のこころも折れるわ。
「でも、これが限界だ。丸太が切れるならその辺の獣は問題ない。が、魔物になると表面が岩のように硬いやつがザラだからそうはいかない」
丸太がこうもあっさり切れるなら熊も余裕で殺せる。
ゴブリンのような下位魔物ならともかく、少し強い魔物ならその皮膚は岩のように硬く、中には鉄よりも硬い魔物もいるそうだ。
切れないなら倒しようがないのも頷ける。
「だから肉体強化を使う」
っ!?
言い終えると一気にロイスの体から威圧感が溢れる。
先ほどまでと同一人物とは思えないぐらいだ。
怖い。
感想を述べるならそうとしか言えない。
今のロイスとは間違っても敵対したくないと思わされる。
横に立っているだけで息苦しく、肌が針に刺されているかのように痛い。
これが肉体強化。
恐怖に耐えながらロイスの体を観察する。
すると肉体の内から外部に魔力が漏れているのが分かる。
属性は感じられず、言うなれば無属性だ。
特殊属性を除くと魔法は四大属性しかないから、確かに魔法とは違うようだ。
「よく見てろよ」
言葉を発した瞬間ロイスが前方にある岩へと踏み込む。
先ほどよりも明らかに踏み込みが強く、地面が大きくえぐれていた。
そして次の瞬間には金属音が鳴り、岩が真っ二つに切り裂かれた。
余りの速さに目で追うのが精一杯だった。
「すごい・・・」
「はっはっは! そうだろそうだろ」
俺の反応を見てロイスが上機嫌に笑っている。
普段ならこんなロイスを見たらイラっとするんだが・・・
「こんな風に肉体強化を使えば岩も切れる。俺にはまだ無理だが極めれば鉄だって切れるぞ」
やばい、かっこいい。
めちゃくちゃかっこいいじゃないか。
ロイス、お前もやれば出来る子だったんだな!
マリーが惚れた理由が少し分かった気がするぞ。
「すごいよ父さん! 僕も使えるようになりたい!」
最初はただ何となく剣術も覚えたいぐらいの気持ちだったけど気が変わった。
絶対に習得してみせるぞ。
どうやら俺は剣術を少し舐めていた。
魔法の方が強いなんてとんだ思い違いだ。
場合によっては剣術も全く劣ってないじゃないか。
「そうだろ? 剣術の良さも分かったか。流石俺の子だ!」
「うん! 剣術もすごい強いんだね!」
「はっはっは! そりゃそうだ。魔術士なんて呪文を唱えている間にザクっと切ってやんよ」
「じゃあ無詠唱魔法使われたら?」
「・・・お前みたいにぽんぽん無詠唱で魔法使う魔術士なんて見たことねーよ」
魔力制御なら自信はある。
魔法と同じように魔力を使う技術だとしたらきっと俺も習得できるはずだ。
もし肉体強化も習得できたら俺の力は大きく向上する。
これは本気でやらないとな。
《肉体強化の魔法制御は魔法とは異なりますが、マスターなら問題なく習得できるでしょう》
お、おう。
センセイのお墨付きももらったし、後は訓練あるのみだ。
「じゃあ早速やってみるか」
「うん!」
「張り切ってんな、いいことだ。じゃあお前もやってみろ」
「え?」
「さっき見てたろ? 同じようにやってみろ」
「は?」
「だから俺と同じようにやってみろよ。こうぐっと力を溜めて、すーっと体に流す、それからドンっと弾けさせるんだよ」
嫌な予感がした。
「説明はそれだけ?」
「え?」
「それだけ?」
「・・・そだけど?」
これ何て無理ゲー!?
お読み頂き有難うございます。
次話は明日投稿予定です。