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エルフの里の事件簿  作者: 秋津 久寝
4/8

第三話 「『犯人はヤス」」

仕事で余裕がなくて、更新できず…。

ありがとう3連休‼


H30.8.15

胸の妖精の顔の形の表現を変更

「あ…あ…あ…胸が…‼胸が‼」


突然の胸の異変にリリアは、ただ狼狽えるしかできない。

前触れもなく、大きくなった胸が、再び膨らみ始めた。

胸は膨らみ続け、徐々にお椀型を維持できなくなっていき、重力に負けた。

垂れ始めたのである。

まるで、焼いて膨らみ切った餅が内側からの膨張に負け割れてしまった時のように、垂れていく。


「あ、あ、あ…いやぁぁぁ‼」


みるみる醜く変貌する自分の胸に絶叫するリリア。

次の瞬間。



―胸が再び膨らみ始めた。

まっすぐ、まっすぐとバルーンアートに使用する風船のように。


と、胸が近くに生えていた木の枝に引っかかる。

食い込む枝。

尚も肥大化し続ける胸。


そして、遂には…。


パン‼


胸が破裂した。


一気にしぼむ胸。

長く伸びた胸は、地面へと着地し、リリアの視線を受ける。


「え?あ、胸、が…。」


いまいち現実を受け止められないリリアは、地面に着く胸を持ち上げる。

軽く引っ張り、手を離す。

しかし、胸はただ地面に落ちる。

そんなことを何度も繰り返す。


だが、失われた胸は帰って来ず、ダランとリリアの胸から垂れ下がっていた。


ふと、歩き出すリリア。


ズリズリズリ…


引きずる胸が、地面に2本の轍のような跡を残す。

振り返るリリア。

自分の歩いた後が残っている。


だんだんと現実を受け止め始めると途端に、視界が涙でぼやけてしまった。


嗚咽を漏らし、うずくまり、天を仰ぎ慟哭した。


すると天からスポットライトのような光が照射され、リリアを照らす。

そして、その光の筋の中を通って、ふっくらとした白パンのような頭を持ち小さな体に羽根を生やした妖精が舞い降りてきた。


「どうした、リリアよ。そなたの胸が出来損ないの捩じりパンのようになっているではないか。」


大きさは50センチにも満たないのに、とても渋い声で妖精が尋ねる。


「わ、私にも何が起きたのか…。ただ、突然…‼」


「ふむ、それは可哀想になぁ…。この胸の妖精たる私でも、指をくわえて見ているしか出来ないよ…。これは、乳神様を呼ばねば‼」


「乳神…様?ち、乳神様なら、どうにか出来るの⁉」


「あぁ、もちろんだとも。なんせ、乳神様だ。」


「じゃ、じゃあ、早く呼んで‼お願いします‼」


「まぁ、待て。焦るではない。乳神様は大変に繊細なお方。そのような乳を見れば途端に倒れてしまう。一度、この服を着て隠すがよい。」


そういって、妖精はリリアにタンクトップを渡した。

リリアは言われるがままにタンクトップを着て、妖精を見る。


「ねぇ、胸が余裕ではみ出てる…。」


「そうであるな。ならば、タンクトップに収納するのだ。」


リリアは胸を手繰り寄せ、タンクトップにしまう。


「よし、それならよろしい。では、乳神様‼お出でませ~‼」


妖精が叫ぶと、辺りが途端に暗くなり、暗雲が立ち込めた。

そして、突如、何もない場所からカーテンが現れる。

そこにはシルエットだけで佇むなにかがいた。

カーテンは背後から強力な光で照らされており、カーテンの向こうの人物の影をはっきりと映し出している。


不意に、カーテンの中の人物が語り掛ける。


「リリアや…。」


「は、はい‼」


「私が、乳神です。」


「は、初めまして‼」


「一言、良いですか?」


「ど、どうぞ…‼」


「何その胸…怖い…。」


「え⁉」


「さぁ、リリアよ、その恐ろしい胸を捨てなさい。そして、断崖絶壁として生きるのです。」


「な、なんでですか⁉治してくださいよ、乳神様‼」


「いいえ、無理です。正直、きもいです。なので、それ~。」


カーテン越しにビームが発射され、リリアに命中する。

すると、ポロンと胸が取れた。

そして、タンクトップから大蛇のような垂れた胸が落ちる。


「あ…あ…私の、胸が…‼」


「さぁ、目を覚ますのです、リリアよ。そなたの胸はその程度なのです…。」


「元より滅茶苦茶減ってるじゃない‼元に戻して~‼」


「いいえ、それは不可能です。目覚めるのです…。」


「いやぁぁぁぁぁ‼」




―――…いやぁぁぁぁぁ

「…ぁぁぁあ‼…あ?へ?」


朝、自分の叫び声で目を覚ますリリア。

無意識に上体だけを跳ね起こし、辺りを見回す。

次に、恐る恐る胸に手を当てる。


プルルンと程よい弾力が返ってくる。


「よ、良かった…、胸、ちゃんとあった…。」


あまりにも酷い夢に、今も気が落ち着かないでいる。

自身の胸を確かめながらも夢のように一気に垂れるのではないかと不安が拭えない。


「ど、どうしたの?リリア。」


娘の絶叫を心配して、リウムが顔を出す。


「お、お母さん…。ちょっと、夢見が悪かっただけ…。」


「そう?なら良いんだけど…。あ、朝のお祈り、ちゃんとしておきなさいよ?」


「うん。」


そういって、リウムはリリアの部屋から出ていった。


「うぅ…なにあの夢…。呪いかなんか?」


リリアは悪夢に愚痴をこぼしながら、朝のお祈りを始める。




朝食時、クリサンがリリアに聞く。


「朝、絶叫が聞こえたが、大丈夫か?」


「うーん…あまり大丈夫ではないけど、だいぶ、マシになってきた。」


「そうか…。きつくなったら、いつでも言いなさい?お母さんにでも良い。」


「ありがとう。」


「さて、今日の対処方法は何を試すかな…。」


クリサンは早速というように『ドルイド聖典』を開く。


「うーん…どれが良いかな?」


「効果がありそうなものでお願いします。」


「これなんかどうだ?『ドルイドの偶像化』」


「?」


「あー、平たく言えば、人形なり木像を作るなりで、大地の神への祈りを届きやすくするというようなものだ。」


「へぇ、良さそう。」


「やってみるか?」


「うん。どうしたらいいの?」


「なに、簡単さ。我が家の神樹から太い枝をもらって、それで木像の人形を作ればいい。」


「それだけでいいの?」


「あとは、毎朝のお祈りの時に、しっかりお願いをする。」


「へぇ~、お手軽だ。」


「ただ、効果が出るまでどれくらいの期間かは、不明だがな。」


「うげ…。まぁ、でも、踊りとかに比べたら、まだマシかな…。」


「よし、そうなれば善は急げ。ちょうどよく、剪定もしなければいけないし、太めの枝を取るとしよう。」


「あ、手伝う。」


「あぁ、頼むぞ。」


そうして、二人は家で祀っている神樹の剪定を始めた。


梯子を使って直接切断したり、魔力で一部を枯らしたりして、作業を行い、神樹の剪定は行われる。

お昼を迎えるころには、ある程度作業は済み、リリアの手元にはいくつかの太い枝が手に入った。


「じゃ、あとはこれを大地の神様を模して、人形にすればいいのね?」


「あぁ。どういう姿か分かるか?」


「『ドルイドの聖典』に書いてある?」


「あぁ、作り方とかも載ってる。」


「じゃ、大丈夫だと思う。」


「うん、じゃ、人形作りはリリアに任せて、父さんは剪定の続きをやるよ。」


「うん、ありがとう。」


午後から、リリアは人形作りを始めた。


銀のナイフで丁寧に削り大まかな形を整える。

そして、頭部、胴体に手足の当たりを付け、再び細かく削る。

30センチほどの木の枝が徐々に大地の神に近づいていく。


「へぇ、大地の神様って子供みたいな姿なのねぇ…。」


『ドルイドの聖典』を見つつ、大地の神の姿を作るとき、そんな感想が漏れる。


そんなこんなで、夕方に差し掛かるころ、第一号が7割方完成する。


「うん、いい感じ…かな?」


リリアの手元には、ぼんやり女の子を彷彿とさせる形の人形が出来ていた。


「あとは、顔を彫って、服を着させてあげてれば完成か。」


「リリア、ご飯よ。一旦、降りてらっしゃい。」


リウムの声が聞こえる。


「はーい。」




夕食時、リウムとクリサンが尋ねる。


「どれくらいできたの?」


「うーん、あとは顔を彫って、服を着させてあげるくらいかな?」


「おぉ、随分順調だったんだな。」


「うん、おかげさまで。」


「じゃ、ご飯食べ終わったら、仕上げね。手伝う?」


「んー、大丈夫だよ。それに私一人でやらないと効果がないかもしれないし。」


「そうだな、可能性は少しでもあげないとな。」


そう言って、リウムとクリサンはリリアを応援するように見守るのであった。


夜も更け、月が傾き始めたころ、人形はできた。


「うん、我ながら良い出来栄え。」


人形を満足そうに見るリリア。

その手元には、可愛らしい少女のような人形が出来ていた。


「さー、大地の神様、よろしくお願いしますよ~。」


願いを込めて、リリアは人形を抱きしめる。

そして、そのままベッドへ行き、眠りにつくのであった。





「リリアや…。リリアや…。」


「うーん…誰?」


「乳神です。」


「へ?乳神様?」


「今朝は申し訳ないことをしてしまいましたね。」


「今朝…?あ‼」


「お詫びに、元の胸に戻しておきましたよ。」


「え?あ、元通りだ…。」


そこには変貌を遂げる前のリリアの胸があった。

ついでに、よく見るとリリアの肌の色も元に戻っていた。


「乳神様、もしかして、エルフに戻してくれたんですか⁉」


「へ?私は、胸だけしか戻しておりませぬ。」


「へー…。まぁ、いっか。元に戻れたんだし。」


「さて、では、元に戻した代償を頂いて、私は去ります。」


「代償?いやいやいや、乳神様が勝手に断崖絶壁にしたんでしょ。」


「えぇ、罪悪感もありましたから、元に戻しましたが、それはそれ、これはこれ。」


「なにがよ‼」


「代償と言っても、そんな何かを奪うわけではありません。与えるだけです。」


「代償なのに?」


「なんせ私、乳神ですから。」


「いや、意味わかんないし。」


「さぁ、リリアに代償を~‼」


乳神は再び、カーテン越しからビームを放つ。

ビームはリリアに直撃するとリリアに変化を与えた。


「…‼って、何も起こってないけど…?」


「ふふふ、リリアよ、いい夢見ろよ‼さらば‼」


「へ?ちょっと…。」


リリアが呼び止めようとしたとき、すでに乳神はその場から消えてしまっていた。


「もー、なによ。別段、なにも変化ないわよねぇ…?」


と、自分の胸を見るリリア。


「…ん?」


なんとなく違和感のある胸。

恐る恐る触れてみる。

今まで通りの感触の胸。

ただし、一部を除く。


「んが⁉ちょ、先っぽが…‼」


そう、胸の先っぽが肥大化していた。

すももサイズである。


「ちょ、え、ち、乳神ぃぃぃぃぃ‼」




「―…ぃぃぃぃ‼ふざけんなぁ‼」


そして、今朝もまた、絶叫で目を覚ますリリアであった。

勢いよく跳ね起きると景色の違いに一瞬、混乱する。

が、すぐに意識を戻し、胸を見る。

肌は相変わらず褐色で、胸は大きいままである。


「くそぉ…乳神めぇ…‼」


連続で悪夢を与える乳神。

リリアにとっては、ただの憎悪の対象でしかない。

やりようのない怒りにモヤモヤしつつ、今日も又一日が始まるのであった。


乳神の悪夢攻撃。

果たして、その真犯人は⁉

事件は謎を呼び続けながら、未だ闇に包まれているのであった。


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