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エルフの里の事件簿  作者: 秋津 久寝
3/8

第二話 私は犯人ではありません‼

なんとなく週1でアップしてますが、不定期です

大地に嫌われる。

それはエルフにとって、信仰する神に嫌われることを意味する。

加護を失い、恩恵を受けられなくなるのである。

幸い、リリアの現状では、まだ、加護を失うこともなく恩恵を得られている。

だが、それがいつまでのことか、いつ失ってしまうのか、分からない。


「それにしても、どうしてこうなっちゃったんだろう…。朝のお祈りは欠かしたことないのに…。」


一生懸命に異変が起きた当日までの行為を思い出すリリア。


しかし、どうしても思い出すのは母であるリウムの作った謎料理しか思い当たる節がない。


「お母さんが原因としか思えないんだけどなぁ…。でも、正面からそれを言うと確実に、悪影響が…。お父さんと相談してみようかなぁ。」


部屋で一人、鏡を見ながら真剣に悩むリリア。

鏡の中の自分が、ワガママボディを主張する。

身長が155㎝のリリアに豊満な肉体の果実が二つ。

貧乳を代表する種族の男達にとってそれは、あまりにも目に毒であった。

リリアが表を歩けば、相手がいるにも関わらず男達は動きを止めてしまう。

リリアもそれに気付いて


(あぁ…見られてる…‼私、見られて輝いている…‼)


と恍惚感に浸っていたのであった。

さすがに、この罰当たりな態度が悪かったのか、遂にリリアに悪影響が出始めていた。

地味に運が悪くなったのである。

野犬であろう犬の糞を踏む、かじった果実に虫がいた、服のボタンが胸の部分が吹っ飛びボタンが直撃した男性および危うく露出しかけた胸を見た男性が鼻血を出して被害が出た、洗濯物を干したら自分のものだけ雨で濡れてしまった、父であるクリサンがトイレを流していなかった、など細かい不幸がリリアを襲った。

それも立て続けてであったため、最初は単なる偶然と思ったリリアも本腰を入れて対策を考え始めたのである。


「お父さん、ちょっといい?」


「あ…リリア、ちょっとま…て…‼」


リリアが焦った声で返事したクリサンの部屋に入ろうとした。


ガチャ


リリアの手により扉が開く。

リリアの視線が正面を向く。

パンツ一丁で体に書かれた文字を一生懸命に消しているクリサンがいた。


『私は大地の神を冒涜した白豚です』

『大地の神様、私にお仕置きを』

『豚足』

『私をいたぶって‼』

『大地の神様素敵‼』

『私が吐いたものを私にかけて‼』

と母リウムの字で、服で隠れる部分に文字が書かれていた。

ちなみに、途中で方向性を間違ったのか、脛や腹、胸にはびっしりと毛が描かれていた。


「…。」


リリアは無言で扉を閉める。

完全に扉が閉まり切った瞬間


「もうやだぁぁぁぁぁぁ‼お嫁にいけない…‼」


と父クリサンの叫び声がこだまする。


「お父さん、入るけど、大丈夫?」


クリサンの叫び声がすすり泣きに変わる頃、リリアは改めて扉越しに声をかける。


「…あと、5分待ってくれ。うっうっ…。」


クリサンが、嗚咽を漏らしながら答える。




しばらくして、クリサンが声を掛ける。


「さ、リリア入っていいぞ。」


毅然としたいつもの父の声であった。

リリアが扉を開けるときちんと服をきているが、目を真っ赤に腫らしたクリサンが立っていた。


「お父さん、私、どうしたらいいのかな?」


「そう、だな…。いくつか長老からヒントはもらった。」


「うん、お母さんからも聞いた。」


「踊りを踊るんだ。」


「…はい?」


「えー、何を言っているか分からないだろうが、踊りを踊るんだ。」


「お父さん、あえてさっきの事をなかった事にしてやり直した私の優しさを無視するの?」


「ち、違う‼本当に、踊りを大地の神に捧げるというものがあるんだ‼」


「うん、それはなんとなく分かるの。ただ、その手に持ったものは何?踊りに関係しそうな衣装というが分かるから、聞いてるの。」


「これは、大地の神が喜んだという衣装の一つらしいんだ。なんでも大地の恵みの一つである泉にやってくる白鳥を模したものでな。あ、なんでも大地の神は白鳥が好きらしい。その昔、空の神との交信に…。」


「由来は良いのよ‼そうじゃなくて、なんて形状してるのよ、その衣装‼」


そう言われ、クリサンは手元の衣装を見る。

そこには、レオタード風な形をした真っ白な衣装が。

ついでに、白鳥の足をイメージした黒いタイツもついている。


「立派な踊りの衣装じゃないか?どう見ても白鳥だろ?この白さ、足の感じ‼」


「ちょっと待てぃ‼その股間の白鳥の首は無視か⁉」


「ちゃんと可愛い尻尾がお尻側についているぞ?」


「そんなことは聞いていない‼」


そう、クリサンが手に持つ衣装は、いわゆる宴会芸向きな衣装であった。


「しかもな、ここの紐を引っ張ると…」


クリサンがリリアを無視して衣装の解説を始め、紐を引っ張る。

すると白鳥の首から


―くえぇぇぇぇぇ…‼


と鳴き声が。

しかもよく見ると、サイドに備えられたスカートのようなフリルだと思っていたものが実は羽の形をしており、パタパタと羽ばたいていた。


「いやぁぁぁぁ‼」


叫ぶリリア。

尚も解説を続けるクリサン。

先ほどとは逆転し、涙目となるリリアを尻目に必死になるクリサン。

結局、衣装の解説が終わるまで、クリサンはリリアを無視する形となっていた。


「…お父さん?」


「どうした?」


「お父さん、家のトイレ使わないで。二度とあんな思いしたくないから。鍵かけてやる。」


「え‼ちょっと、リリア、それはやめて‼外にトイレなんて…」


「作ったらいいじゃない。今日から我が家のトイレは男子禁制です。」


リリアが涙目で冷めきった声で告げる。


「な、なにをそんなに怒っている、リリア‼確かに、一度、流し忘れたけども…‼」


「それも不幸の一つと思って、諦めようと思ったけど、そんな衣装を着させようと思っているなら、私も怒るわよ‼」


「そ、そんな…魔力を込めれば実際に飛べるんだぞ、これ‼」


「尚更お断りよ‼」


「だ、だが、これで元に戻れるかもしれないんだぞ⁉」


「そんなもので戻れるなら、大地の神に嫌われたほうがマシよ‼」


「し、しかしだなぁ…。」


「別の方法‼」


「だが、長老に…。」


「いいから、別の方法‼それとも家から追い出されたいの?」


鬼気迫るリリアの迫力にクリサンの声は小さくなっていく。

最終的に、クリサンが同じ格好で踊りを踊らない限りリリアはその方法を取らないと約束させた。


「ならば、これはどうだ?」


そう言って、クリサンが一冊の本を差し出す。


「…『ドルイド…聖典』?」


「ご先祖様たちが、この地を住処とし発展するにあたっての大地の神との交信を描いたものだ。」


「そんなものが⁉」


「あぁ。そして、その中に先ほどの衣装も出てくる。」


「え゛…?」


冗談かと思い、リリアは本をめくる。

そして、捧げものに関する記述が書かれたページを開き、該当のページまでめくる。


「うわ…本当に書いてある…。白鳥を模した姿で舞を奉納する。」


「だろ?それで、長老に話すと由緒正しい衣装をお借りできた訳だ。」


「…お父さん?」


「なんだ?」


「この本には、確かに白鳥を模した姿とは書いているけど、全然違うこと書いているわよ。」


「へ?でも、長老に聞くとこの衣装が…。」


「『一糸纏わぬ姿より、神聖なる絹で織ったローブに、ケープを羽織』って書いてるわよ?」


「…長老めぇ‼」


「長老めぇじゃない‼」


クリサンの言動に頭痛がしだすリリアであった。




結局その日、具体的な解決策を試すことなく、ひとまず書物を読もうと結論付けた。

結果、長老の言うヒントとなるものがいくつか見えてきたのである。


一つ、大地の神は女神であり母性を持って、信仰するものを守るということであった。

また、嫉妬深く、自分を裏切るものには最終的に夜の眷属へと堕とすとも。


二つ、大地の神は常にそこに在り続けており、魔方陣を使用すれば交信ができること。


三つ、大地の神が嫌うものの中にはパルベリーは含まれていなかったこと。


四つ、ダークエルフもまた、夜の眷属として大地の神の恩恵を預かれること。


リリアにとって、四つ目の内容は、不幸中の幸いであった。

少なくとも夜の間は、大地の神に見放されずに済むのである。

これで、大地の神に見放され死を迎えるという最悪の結末は回避できるのである。


「とはいっても、これだけかぁ…。」


辺りが薄暗くなった中で、火も灯さず書物を読むリリア。


リリアの部屋の扉を叩く音がする。


「リリア、今、大丈夫かしら?」



母リウムである。


「うん、大丈夫だよ、お母さん。」


リリアが答え、扉を開ける。


「で、どうかしら?何か分かった?」


「うん、大地の神について、多少は。あと、大地の神との交信方法かな?」


「まぁ、直接話を聞くことができるのね?」


「そうみたい。でも、そのためには、新月の日にいろいろとやらないとダメみたい。それに、そのいろいろとやった後に、満月の日まで待たないとダメみたいで…。」


「あらあら、時間がかかりそうね。」


「うん。でもね、夜になれば恩恵は与えられるって書かれてたから、少なくとも死ぬなんてことはなさそうだよ。」


「そう、それは良かったわ。」


リウムは低い双丘の胸をなでおろす。


「で、リリア、この暗さで本を読んでたの?」


「へ?暗い?」


「外を見てみなさいな。」


リリアは促され、外を見る。

すでに、月明かりが辺りを照らしている。


「…もう、夜だったの?」


「随分前からね。夜の恩恵かしらね?」


「あー、確かに昼間並みまでいかなくても、はっきりと外の風景が見える。」


「便利ねぇ。」


リウムはマイペースに答える。


「確かに、便利だわ。なるほど、これが夜の恩恵…。」


「ま、なんにせよ、ごはんが出来ているから食べましょう?」


「うん。」


そういって、リリアはリウムとともに食卓へとつくのであった。




その夜、リリアは謎の夢を見てうなされる。


クリサンが持ってきた衣装を着て、辺りを飛び回るリリア。

魔力を込め静かに浮かび、手をはばたかせ、里の上空を飛び回る。

時折、里の中の泉に着水しては、紐を引っ張り、鳴き声をあげさせ、喜びを表す。

自身からキラキラした効果がなされ、大地の神に対し必死に喜びを表現している。

その後、隠された衣装の機能をフルに活用し、一昼夜踊りを捧げ続けていた。

ちなみに、夜は、白鳥の後頭部にあるボタンを押すことで目からライトが放たれる。

尻尾を一回ひっぱると動くたびに可愛らしく尻尾が振られる。

二回引っ張ると白い衣装が真っ黒に変身する。

リリアに知りたくない知識が、蓄積されていくのであった。


ようやく前進の気配を見せる事件なのであった。


リリア‼リリア‼リ・リ・ア‼

ネタの原動力は、君にかかっている‼

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