↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷鳴士、世界を救う  作者: けん@転生したら才能があった件書籍コミック発売中
第2章 オイルリグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/63

第62話 深部へ

「ベッコベコにしてやんよぉぉぉおおお!!!」


 カオリの怒声が、オイルリグの警告音をかき消すように響き渡る。


 キョウヤとユッカは、初めて見るカオリのビーストモードに、ただ口をあんぐりと開けたまま硬直していた。

 故障したガーディアンビーストにマウントポジションを取ったカオリは、まさにその言葉通り――容赦なく、拳で鉄塊をベッコベコにしていく。


 俺はそんな二人の様子を見ながら、淡々と告げた。


「まぁ、そういうことだ。この件は他言無用で頼む」


「あ、ああ……にしても、すごいな」


 キョウヤが呆れたように言うと、ユッカも頷く。


「うん……あれだけ豹変するなんて。よっぽどストレスを抱えてたのかも」

「そうだな。秘密主義の【雷光】に入りたいって言った理由が、なんとなく分かる気がするよ」


 俺たちは《チェインライトニング》で故障させたガーディアンビーストをすべて殲滅し、オイルリグ内部の探索を開始した。


 オイルリグには大小さまざまな部屋があり、そこではガーディアンビーストは出現しない。

 代わりに、宝箱が多数配置されている。

 特に広い部屋では、十個以上の宝箱が並んでいた。


 その中のほとんどに入っていたのは――


【名 称】ベリグランド塩水

【重 さ】1

【詳 細】機械に浴びせると錆びる


 試しにガーディアンビーストへと浴びせてみると、一瞬のうちに装甲が錆び、関節がギシギシと軋みながら鈍く動き始めた。

 俺たちは雷魔法の恩恵で苦もなく倒しているが、普通に攻略しようとすれば、このアイテムが不可欠なのだろう。


 さらに、今は重量制限で装備できないが、シルバ用の武器も手に入った。


【名 称】騎士の槍

【攻撃力】80

【重 さ】80


 弓、矢、槌、斧――様々な武器が宝箱から見つかったが、今の俺たちにとってはどれも縁遠いものばかりだった。


 このまま放置するのももったいない。そこで、俺たちが装備できない武器はキョウヤに譲ることにした。代わりに、彼らからは最新の情報と、余剰装備が出た際には優先的に譲ってもらうという条件付きだ。


 探索を進めながら、宝箱の中身を回収していく。

 ストレージや重量制限が問題になる場合は、一旦宝箱に入れたままにして、後で回収することにした。


 もちろん、シルバとカオリの《エリアヒール》を適宜唱えながら進む。


 探索開始からおよそ一時間――以外にも早くボス部屋と思われる場所を発見した。


 視線の先にそびえるのは、煤煙を吐き続ける巨大な鉄塔。

 その根元には、真紅に塗られた扉が威圧的に構えている。


 だが、その異様な扉を前にしながらも、俺たちの関心は別のところにあった。


「なぁ……ベリグランド湖ではエアクロウもサハギンも、一度倒したら復活しなかったよな? でも、ここじゃガーディアンビーストが延々と湧いてるように感じないか?」


 俺の疑問に、キョウヤが反応する。

 ボス部屋付近までたどり着いたというのにもかかわらず、ガーティアンビーストが俺たちに追いすがってくるのだ。


「確かに……迷宮の魔物よりも経験値は美味しい。ボスにユウトの雷魔法が通用しない可能性もある。ここはクリアギリギリまで狩るか?」


 皆がキョウヤの意見に賛成だった。


「じゃあ、ボス部屋にはギリギリで挑むとして、いったん船に戻ろう。マジックポーションにまだ余裕はあるが半分ほど使ってしまっているしな」


 ガーディアンビーストの経験値は美味しいが、ここのフィールドにいる以上、常にシルバとカオリの《エリアヒール》を唱える必要がある。


 俺以外の五人はすでに装備が整いつつあり、重量制限に引っかかり、余計な荷物を持つ余裕がなかった。

 そのため、オイルリグで拾った装備品の回収は、すべて俺が担当することに。


 本来なら、何度か船に戻り、装備品を街へ運ぶ作業を繰り返す必要があると思っていた。

 しかし、船自体にアイテムストレージが備わっていることを発見。


 これを利用しない手はない。

 オイルリグで入手した装備品をすべてストレージに詰め込み、一度街へ戻る。


 あらかじめキョウヤのパーティにも声をかけておき、彼らに不要な装備を譲渡。

 その代わりとして、船のストレージには大量のマジックポーションを積み込んだ。


 これで、回復のたびにいちいち街へ戻る必要もなくなる。

 戦闘効率が格段に上がり、より効率的に経験値を稼ぐことができるようになった。


 再びオイルリグへと上陸し、今度はボス部屋ではなく、ガーディアンビーストが湧いてくる方向へと進路を取る。


 群れで襲い掛かってくる場合は、《チェインライトニング》で一掃。

 五体以下であれば、俺とアリサのコンビネーションを軸に、あえて雷魔法を封じた近接戦闘で仕留める。


 次々とガーディアンビーストを撃破しながら進んでいくと、やがてオイルリグを支える四本の巨大な支柱のひとつ、その真上へとたどり着いた。

 その支柱は内部が空洞になっており、ぐるりと階段が張り巡らされている。

 どうやら、ガーディアンビーストたちはこの下層から這い上がってきているらしい。


 俺が先頭に立ち、慎重に階段を下りようとした、その瞬間――

 ふっと鼻を刺す刺激臭が消えた。


 違和感を覚え、ステータスを確認すると、そこには見慣れたはずの《弱毒》の表示がない。


「おい! ここから先は、弱毒効果がなくなってるぞ!」


 俺の声に、仲間たちもすぐさま自身のHPバーを確認する。

 その横に、ずっと表示されていた忌々しい紫色の毒マークは、完全に消えていた。


 皆の表情がふっと軽くなったのも束の間――


『シンニュウシャ、シキュウハイジョセヨ』


 無機質な警告とともに、下層から大量のガーディアンビーストが這い上がってきた。

 それも階段からだけではない。

 壁を垂直に駆け登る様は、まるで鉄製の蟲の大群のようだった。


 その異様な光景に思わず身震いしそうになるが、アリサの手前、カッコ悪い姿は見せられない。

 俺はすぐさま詠唱に入る。


「《チェインライトニング》!」


 金色の雷撃が階段を駆け上るガーディアンビーストを穿ち、連鎖するように壁をよじ登るやつらにも伝播。

 金雷が網のように広がり、下層へと轟音が響き渡る。


 雷に貫かれたガーディアンビーストたちは一瞬で故障し、そのまま下層へと転落。

 落下した衝撃でさらに連鎖的に破損し、エフェクトを残して次々と消滅していく。


 レベルアップの音が頭に響く中、俺たちは迷いなく階段を下り続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。