メイユーとのひととき
次の朝、二人はいつまでも離れがたく別れを惜しんだが、ついに戻らねばならない時間となった。
「リンファ。来週は新年の行事がある。妃たちも、この日だけは宮城へ参内するのだ。それが終わったら、その翌週から彼女らを訪れることにする。週に一度、一人ずつ順番に。だから次にリンファを訪れるのはひと月以上先になるだろう……それまで待てるか?」
昨夜、タイランは何度も愛してると囁きながら抱いてくれた。だからきっと大丈夫。
「はい。お待ちしております」
微笑むリンファにもう一度、優しく口づけしてタイランは部屋を出て行った。
☆☆☆☆
「メイユー」
「あっ! リンファ様!」
洗濯物を干していたメイユーが手を止めて走ってきた。妃となってからもリンファはちょくちょくメイユーやジンリーを訪ねている。
「これ、お菓子、良かったら」
「わぁ、いつもありがとうございます! みんな楽しみにしてるんですよ〜」
王から届けられた菓子などは、一人では食べきれない。女官にも渡しているがそれでも余るのでいつもメイユーたちにあげているのだ。
「国中の珍しいお菓子ばかりですもんね。さすが王様って感じ!」
「でもこれからは少なくなると思うわ。新年からは王のお渡りは減ると思うから」
「えっ、どうしてですか? 喧嘩でも?」
「違うわよ、メイユーったら。他のお妃様方のところへも行かれるのよ」
「そっか、まあそうですよねー。王様の身体は一つなのに大変だわ」
敬語と普通の言葉が混ざってしまっているメイユー。でもかしこまっていられるよりラクだ。
「来週は新年の行事ね。どんなことをするのかしら」
「宮城へ行くんですよね。いいな〜。私も行ってみたいです。後宮よりずっと広くてずっと豪華で、人もたくさんいるんでしょう?」
「私もまだ行ったことないからわからないの。あとで様子を教えてあげるわね」
「楽しみ! 新年は私たちも一日だけお休みで、仕事しないでのんびりできるらしいんです。親に手紙でも書いてみようかと思ってるの。まあ、私は書けないからジンリーさんにお願いするんだけど。父さんも読めないから、近所の字が読める人に送るつもり」
「そうね、お父様きっと心待ちにしているわ。あんなに寂しそうにしてらしたんだもの」
私もガクやフォンファに書いてみようか。本当の家族ではない私の手紙など喜んでもらえるだろうか。
(……でも、やっぱり書いておこう。私は今、幸せですって)
王を愛して、愛されて。こんなに大切にされている私は幸せ者なんだ。リンファはそう思い込むことで、タイランを独り占めできない寂しさを押し殺すことにした。




