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No057 アイリの野望、領主編 「シズオカ領の旅4」 宗教を考える。 8歳5月~

ヤイズから出発したアイリ一行は

やや北へ上り大井川の川幅が狭くなったところにある橋を越えて

南街道を進んでいく。

ここからは、北東の方向へと南街道が伸びる。


北街道とかなり近い位置に3つ目の縦街道がある。

前世現代で言うと焼津の東に位置する場所。

ここが北街道と南街道の合流地点になる。

この先の主街道は一本だ。


その地に郡役場がある。

前領主が拠点にしていた場所でもあり比較的に人は多い。

しかし土地は狭く、アイリのように商業を中心とした政策でもなければ

アイリが戦場にしたあたりのほうが土地も広く有効だったはずだ。


彼の地は発展が遅れ、せっかくの広い場所も遊休地が多かった。

もし仮に農耕政策しか知らなかったとしても、土地開拓をして

そこを拠点に発展されていたら、アイリは相当苦戦しただろうと思っている。

山を切り崩し、荒れ地を開墾するなど全く考えなかったのだろうか。


伊豆の豪族対策の為に西側の裕福な場所でなく東寄りなったのか。

合わせて信濃や甲斐方面を警戒して

北からも守りやすそうなここにしたのだろうか。

前領主を放逐してしまった今ではそれを知ることはできない。


ただ、確かに南北の街道が合流する場所であり

地形的に言えば重要な防衛ポイントでもあると思う。


アイリはスキルに地図を持っているから

甲斐方面と伊豆方面の2面を守る位置は

フジカワの方が位置的にいいと見ていた。

フジカワ郷の施策は、それも含んでいる。


特に甲斐方面から侵攻する場合

フジカワの位置する場所を避けてやや西寄りにしたところで

ヤイズとフジカワから挟み撃ちにすればいいだけになる。


そんなことを考えつつも鑑定は行っている。

今までと比べると視察での移動範囲は狭い。

それほど時間はかからず周辺を見て回る。

黄色い輩はどんどん捕縛する。


さすがに懸念していたことだが

アイリはここまで進軍していない。

鑑定が無ければ見つけにくいのは当然だ。


視察中に、久しぶりに赤いのを見つけた。

「赤いのが数人いるわね。・・ふぅん」

戦場でもなければ、アイリを敵視する存在などあまり見ない。

シズオカ領においてアイリのことを知る存在も少ないはずだ。

皆アイリが領主だと聞いてから態度が変わる。


黄色で数人固まっているのは見たことがある。

それは賊の集団だった。


気が付かないふりをして鑑定を続ける

もちろん地図マーカーで移動場所なども探る。

「少し泳がせてみるかな・・ふふ」

赤の集団から何人かが移動していく。


付近にいる特殊諜報員に合図を送る。

特殊諜報員は、それを見て素早くアイリの元に来る。

「あれとあれの後をつけて。」人を指してそう命じる。

何人かの特殊諜報員が動き出す。


アイリの視察に来ているのは、メイド隊だけではない。

その地にいる諜報員の他に特殊諜報員も密かに控えている。


キチョウにも伝える。

「あの集団に警戒しておいて、出来るだけ気づかれないでね。」

他のメイド隊にもそれが伝わる。


数人は、アイリとサヤカ、オイチを守る位置に移動した。

それを見てサヤカも何か気づいたようだ。

アイリは知らないが、サヤカはメイド隊の朝練に参加している。

メイド隊の動きと空気が変わったことに異変を知った。


その間もアイリは地図マーカーを見ている。

移動した人間が止まったようだ。

それは2か所。何かの建物だろう。


ほどなく特殊諜報員の伝達係りから

尾行先に行った特殊諜報員からの伝達が報告される。

表向きは民家のようだがそこに数人の男がいる。

いずれも武装しているとの事。


アイリは刀狩り令などは発していない。

だから、武装する人間がいてもおかしくはない。

それが武官であれば問題はない。

しかし、この地での武官はアイリの部下だ。


アイリは報告に来た特殊諜報員に、郡役場にいる防衛兵出動の伝達を頼む。

「2拠点の制圧をお願いね。出来るだけ速やかに捕縛して。」

伝達係りの特殊諜報員は行動が素早い。

そう言う技能持ちを優先して配置している。


尾行している特殊諜報員2人は、尾行に特化したスキル持ちだ。

まず、よほどの武術技能がないと気ずかれることはない。

剣術士でもアイリが皇王様に配備した抜刀隊の上位クラスになると

武術技能だけで何やら気配を感じるらしい。


もしかしたらキチョウでも感じ取れるかもしれない。

努力のスキルは、万能の技能バフスキルだ。

発動すれば能力が桁違いに上がる。

キチョウは自然にそれが身についているようだ。


今も警戒しながらスキルが発動しているのがわかる。


地図マーカーを見ながらアイリは言う

「2か所の包囲がもうすぐ終わるわね。」

「メイド隊は、直ちにあそこにいる連中を捕縛してください。」

周囲に聞こえない程度に命じる。


1軍はアイリたちの防衛が主任務だ。

2軍メンバーが急ぎアイリが指示した集団に駆け寄る。

マーカーでは包囲が狭くなっているから

戦いが始まっているのかもしれない。


残っていた赤い集団は、メイド隊と戦闘に入る。

周囲にいた領民が慌てて逃げ回る。

こう人のいるところで戦いとかは避けたかったが

何やら相手がやる気満々のようだから仕方がない。


その時、アイリの後ろから数人の人間が駆け寄ってきた。

アイリは赤い集団を見ながら地図を見ていたから

それに気が付くのが遅れた。


キチョウは何か感じたようだ。

キチョウの叫びで、アイリの近くでも、

駆け寄ってきた集団とメイド隊1軍と戦いが始まる。

アイリはようやく鑑定で赤い集団だと気が付く。


アイリが捕縛戦闘だと指示したせいで

簡単に戦いは収まらない。


逃げ惑う領民たちの隙から

一人の男がアイリめがけて飛び込んできた。

その凶刃の初撃を防いだのは、何とサヤカだった。

サヤカは短刀を手に男と対峙した。


メイド隊が誘導された可能性が高い。

多分この男が本命だと見える。

アイリは、慌てて合図を送る。

それは特殊諜報員に向けての物だ。


アイリが自ら戦っても構わないが

サヤカとオイチが危険だ。

特にサヤカがアイリに隠れて戦闘訓練などしていることを

アイリは知らない。


人物事典に載るほど戦闘技能が高くなれば知ることになるのだが

サヤカは、まだそれほどではない。

むしろ良く反応できたと思える。


アイリの命を受けた特殊諜報員は、空手のような体術を使う。

この国の柔術的なものとは異なる体術だ。

懐から双節昆を取り出して、男を翻弄する。

これはアイリが体術系スキル持ちの男に与えたものだ。


アイリは、単なる歴女ではないオタクでもある。

そして自分でもいろんな武術を学んだ経験者だ。

黒歴史の産物ともいえる。

「忍者の中には、こういう体術使いがいてもいいじゃん。」

これがアイリの変なこだわりの怖さでもある。


手裏剣を投げないだけましかもしれない。

吹き矢とか使わないし、まだいいともいえる。

しかしそういう存在も育てているかもしれないのがアイリだ。


その男を最後にアイリを狙う者はいなかった。

アイリは警戒しながら周囲を鑑定する。

見回すだけなのだが、アイリの視界には赤い存在はいない。


戦闘はしばらく続いたが、赤い集団は捕縛に至った。

「メイド隊にもオイチやサヤカにも怪我がなくてよかった。」

アイリは安心した。


今更だが、赤色なら捕縛戦闘などと言わず処分確定で良かった。

今まではそうしてきたはずだ。

捕縛した集団は郡役場の防衛隊詰所前に突き出される。


2拠点の制圧で捕縛した者を含めて総勢28名

全て人物事典が赤い。

アイリは人物事典の記載を気にしながら首謀者らしい男に聞いてみた。

何故アイリを狙ったのかを知るため捕縛戦闘を命じたのだ。


首謀者が口をきかなくても、仲間の前で処分しながら

次々他の者に聞けばいつかは口を割る人間が出る。

最終的には赤は全員処分なのだが人間こうなると弱い。

拷問などするよりよほど簡単だと言える。


アイリが知った情報の断片をつなげるとこうなった。

元領主の側近で私腹を肥やしていた人物が首謀者。

他領の誰かからアイリを狙うように唆された。

成功すれば恩賞だけでなく重く用いてくれるそうだ。


他領とはどこの者なのか聞いた。

アイリは距離的に信濃か関東かどちらかだと思っていた。

返ってきた答えは驚くべきものだった。

皇都周辺の領の者。


扇動しやすいこの地の弱点を見抜き

こんな仕掛けを遠地からわざわざ仕掛ける。

皇都方面にはアイリが知るだけで二人のスキル持ちがいる。


一番怪しいのは、皇王様に仕掛けていた奴だ。

多分同じ人物が背後に存在する。アイリの感がそう言う。


こういう、暗殺まがいの手段を使うやつなど

この国の人間の中では、かなり珍しいと言える。

皇王様事件の毒に関してもそうだ。

アイリは、細川家にいる人物が怪しいと的を絞る。


近江方面の京極家にいるスキル持ちは、まだ近江攻略中だ。

その情報を聞く限りでは、暗殺まがいの手段を講じるようではない。

普通に戦い、勝利している。

ただ、アイリのような奇襲が得意だという感じだ。


「ふふふ・・そのうち倍返しするから覚えてらっしゃい。」

幼女の口が歪む。


アイリは、まともに正面から闘う相手ではないと見抜いた。

「策略家ではあろうがゲスイ奴。」これがアイリの認定だ。

この後、アイリから特殊情報員に細川家の参謀的な人物特定の指示が下る。

「どんな工作を行っても構わない。」絶対あぶりだしてやる。


その後、領民を落ち着かせるのが大変だった。

仕方なく予定にない時間を過ごすことになった。

その間、内政官になる人材を登用できたのだが割に合わない。


「私は領主として、領民の平和と幸福を願います。」

「皆を守り、豊かになるように努力しますから協力してください。」

アイリは領民の前でそう言って頭を下げた。

領主が幼女で、領民に頭を下げた。領民は二度驚くことになる。


この先もアイリはこれを継続することになった。

領民に直接アイリが伝えることで、信頼を得る。

アイリが普通の領主でないことを知ってもらう。

「私はいつでも領民の目線で政治を考える領主でいると誓います。」


何やら政治家の意思表明のようだが

現代の政治家と異なり、アイリの言葉に嘘偽りはない。

それはこの地の領民にも伝わっていくだろう。


アイリは、次の郡に移動しながら同じように

領民に頭を下げ言葉を伝えた。

視察というより政治宣伝のようだ。


郡役場は現代の清水あたりにある。

自然の景色がいいところだ。


富士山が見えるとオイチが喜んでいる。

「あそこ、きれいな山がある。」


「あれはね、富士山だよ。たぶんこの国で一番大きい山。」

アイリは、この国をすべて知っているわけではない。

異世界だから異なるかもしれないがここは、なんちゃって日本だ。

現代人知識がつい言葉に出てしまう。


「あの山も、アイリ様の領地なんですか?」

オイチは素直な疑問をアイリに言う。

この国の領地の境界というのは実に曖昧である。

アイリの歴史オタクの知識を使っても理解できない。


しかし答えは、世界事典スキルの世界地図にある。

世界とは大仰な名前だが、実態はアイリの支配範囲だけの地図だ。

それ以外は皆白い、白地地図だったりする。

多分アイリが移動すればマッピング機能でそこだけは表示できるだろう。


アイリの支配地は、地図が全表示になり

アイリが命名した場所は、それが表示される。

仮支配であるなら地図は表示されても命名した文字は出ない。

アイリの地図には、立派に支配地認定で富士山と言う文字が出る。


「そうよ、あれも領地になるの。」

アイリは小さな胸を張って自信満々に言う。

それを聞いたオイチは何やら感動しているようだ。


ただこの時代の富士山自体は、使い物にはならないだろう。

登山など無理だし、周囲の樹海は深い。


もしこの国に宗教があれば、

富士山に踏み込む人がいたかもしれない。

前世歴史上の富士山は浅間神社に属するからだ。


アイリ最大の疑問の一つ、この国には宗教がない。

仏教だけでなく神教もない。

この世界のこの国、最大の歴史の歪だ。

日本書紀や古事記に属する歴史記録もないからよくわからない。


アイリが4領支配して各地に残された記録類を集めた。

主に木簡レベルなのだが、それと口伝の歴史。

一番は、皇王様に聞いた皇王家の歴史口伝。


前世歴史とこの国が大きく違うのは、

かなり昔までさかのぼることになる。


まずは、アイリがいろいろ考えても

どうにも皇王家の初代の女王は卑弥呼の類似存在なのだ。


中国大陸には日本の歴史文献が多くある。

その中で時折見かける卑弥呼の存在。

三国志の魏国が記録した魏志倭人伝などが有名だ。


日本の歴史学を学んだ時にアイリが疑問を持った点が多い。

古事記と日本書紀がすべての日本歴史の原点になっているからだ。

それはアイリの歴史学を学んだ前世記憶にもある。


卑弥呼についての記録。

日本書紀の神功皇后紀においては、

魏志倭人伝の中の卑弥呼に関する記事を引用して、

卑弥呼と神功皇后が同時代の人物と記述している。


存在が確認できたということはわかる。

それと卑弥呼の時代には、すでに天皇家が存在している。


アイリが持つ疑問と同じようなことを考える歴史家もいる。


あくまで卑弥呼が古事記や日本書紀に書かれていることから

ヤマト王権の誰にあたるかと江戸時代から議論され続けたという話。

結局、ヤマト王権の誰かであるという確証もなく、

別の王朝だった可能性もある。と曖昧になる。


北史(中国の隋書)における倭国についての記述で、

「居(都)於邪靡堆、則魏志所謂邪馬臺者也」

都は邪靡堆にあるが、魏志に則れば、いわゆる邪馬臺者である。

とあり、邪馬台国の存在を裏付けているのだが・・。


日本の一般的な歴史解釈では

基本的には連続性のあるヤマト王権の誰かであるだろうとして

日本書紀の編纂時から推定されたということになる。


卑弥呼は邪馬台国の女王である。しかしヤマト国の人間でもある?。

ヤマトを大和とするのは平安時代後のいいかたで、実際には「大倭」である。

つまり記録からみて倭国を表す。


もし仮に日本が倭国だという言い方だと想定すると。

その時代は既に統一国家だったのかというのが次の疑問になる。

国家が乱立しててもおかしくはないのはどの国の歴史も同じだ。


大和国とは統一国家になったことは間違いないと思われる。

しかし、IF歴史だが邪馬台国が統一国家になっても

おかしくはなかった気がする。


このあたりは、歴史の禁忌とされるため前世ではあまり触れなかったことだ。

邪馬台国と大和国は呼びが似ているから同じだと屁理屈を言われるだけでも

何も反論する気もない。前世のアイリは単なるオタク歴女なのだ。


さて、これも禁忌寸前で天皇家に関することは前世現代人としては避けたいが

古代の日本では、ヤマト王権の首長を「大王」オオキミと呼んだ。

後に中央集権国家の君主として・・これはそれ以前が統一国家では無い事を表す。

大和朝廷時代の大王が用いた称号だった「天皇」という呼び方が

用いられることになる。という歴史記述がある。


ここから天皇家はヤマト王家末裔として歴史にでることになる。

ところが「天皇」という名称に正式に固定されたのは

1936年(昭和11年)のことだ。

それまでの呼び方はいろいろあるが「皇帝」というのもその一つになる。

呼び方が多いため昭和時代に正式統一されたのだ。


アイリの想定を日本歴史に置き換えて

皇王様の初代は卑弥呼でなくても天皇家と近い存在とした場合を考える。

なら、歴史上の平安時代以降、祭祀が重要な役割を示すことになるのだが

この世界ではどうなったのだろう。

それは神教に大きくかかわる部分でもある。


この世界で言う聖祭日、これは建国祭であると聞いた。

この国で神に匹敵する初代皇王である女王とその偉業を祝うのだ。

昔はこの期間に祭祀を行っていたらしい。

皇王様の居館が、神社に似ている点と各地にあったという話から

昔は各地で祭祀が行われていた可能性がある。


これを肯定すると

宗教ではないが神への祭祀はあったことになる。


前世歴史では、

平安時代に祭祀は天皇家の役割になっていると記録がある。

神教が大きくかかわるには、祭祀が重要な役割りになる平安時代の前、

奈良時代以前にまでさかのぼる必要がある。


奈良時代は、仏教が非常に広がった時代だ。

奈良の大仏様など有名観光地もある。

ここで仏教とのかかわりが出てくることになる。

これは宗教というものを政治や権力に関連させた歴史ともいえる。


仏教伝来は、更にその前の時代を見ることになる。

奈良時代の前の飛鳥時代は、かの聖徳太子の時代になる。

小野妹子らを隋に遣隋使として遣わしたという時代でもある。

その後、遣唐使の派遣へと続く。


要するに盛んに中国との文明の橋渡しを行ったと言えるのがこの時代だ。

不思議な話だが邪馬台国は

すでにその前から中国と文明の橋渡しをしていたはずだ。

ここでもなんだかもやもやした疑問が出るのだが・・。


仏教の伝来の元になった中国の歴史はというと

卑弥呼の存在の記録がある三国志の時代の次は晋の時代。

東晋、西晋、十六国時代と言われる時代だ。

その次は南北朝時代。

これらは漢の時代以降、長く戦乱が続いた時代になる。


中国への仏教の伝来は、三国志の時代の少し前。

後漢あたりだが、流行し始めるのは南北朝時代になる。


南北朝時代が終わり、やがて統一国家である髄の時代になり

その後が同じく統一国家の唐になる。

中国の髄、唐の時代は、言わば平和になり

特に唐の時代は、仏教が花開いた時代でもある。


唐の玄奘・義浄などはインドへ赴いて大量の経典を持ち帰り、

貴族・皇族の庇護を受けて大いに栄えた。と記録にある。

玄奘とは戒名で、法師・三蔵は尊称である。

玄奘は、大唐西域記をインドまでの旅の記録として残した。

これは、後の西遊記。いわゆる孫悟空の話の元だ。


アイリが、宗教が無いこの異世界なんちゃって日本は

その唐の時代、日本では飛鳥時代に、

何か大きな異変があったのではないかと考えた。

アイリ曰く「歴史のターニングポイント宗教版」である。


仏教による宗教伝来の手法は他の宗教にも応用され

それは権力者にも利用される。これがのちの日本の歴史だ。


アイリは思う。

人間の心は弱い、領民の前でアイリ自身がいろいろ言わなければ

不安定な領地は保てない。

きっと宗教を最初に利用しようと考えた人は国の平和を望んだのだろう。


後世、私利私欲の人たちが、宗教を利用し方向性を変えたから

アイリにとって、前世歴史上の宗教に良い印象はない。

しかし、今のアイリは伝道師と同じ事をしている様なものだ。


「うーん、宗教は嫌いだけど・・」

これから先の統治にはそういう手段も必要なのかなと思う。


領地が広がればアイリの手が届かない地域が広がる。

変な宗教が勝手に広がるのは、アイリも望まない。

しかし、アイリが伝えたいことを基にするなら

今行われているプロパガンダと同じだ。


後の歴史でどう解釈されるのかはわからないが

アイリは、この国にも何らかの統一した教えが必要だと認識した。

学校のように教育学習だけではだめだ。

道徳の教育の様なものは必要だし、自分の考えを理解してほしい。


まだ遠くに見える富士山を眺めながらアイリは一人

いろんなことを考えていた。


そうだ、まずは祭祀を復活させよう・・ふふん。

アイリはまた、おかしな野望を持ったようだ。





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