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No051 アイリの野望、領主編 「新たなるスキル持ち」 有名人揃い踏み? 8歳3月、

アイリの元にどんどん有名人が集まります。周辺にも有名人が登場してきます。

アイリはこの日も忙しくしていたが、ふとあることを気にしだした。

この国には宗教らしきものがない。


神社や、寺が見当たらないのだ。

無神教である前世オタクの影響なのか

以前から気が付いていても、あまり気にしていなかった。


気にしだしたのは、信長の近江進行時に一番苦労した相手が

本願寺や比叡山をはじめとするいくつもの寺や仏教信者。

一向一揆に関しても同じことがいえる。


比叡山など最たるもので信長のイベントとして有名だ。

その他にも雑賀衆とか仏教に関係している存在は手強い。

本願寺家など国まで持っていた。


だいたい信長が没した地は、本能寺という寺だ。

寺が無いのこの国を歴史はどうさせるのか・・。

これを考えだしたら気になって仕方がない。


各地には道祖神のような祠はある。

これは自然を守り豊穣を期待するという思いだけで存在している。

誰か個人の教えとかではないから宗教とは言えない。


あえて類似の存在がいるとしたら皇王様になる。

しかし宗教の教祖ではない。

立場が神の次とされるからだ。


この国で神と称される存在はこの国を作った初代皇王。

皇王様から聞いた話では

聖祭日とはもともと建国を祝うための物だった。


神社は似た建物が皇王家の居館である。

皇王家の居館は各地にあるらしい。

既に管理していなくて朽ちているところもあるだろうとおっしゃっていた。


しかし、寺はない。仏教と言えるものがない。

これは、仏様。いわゆる仏陀という存在がこの世界にないか

この国へ伝導する人がいないかのどちらかなのだろう。


そもそもそのレベルで歴史が歪んでいるのは

アイリにはどうしようもない。

精々冗談で「私が第六天魔王である。」と言うくらいだ。


とすると「毘沙門天」とか言われた上杉謙信はどうなるのだろう。

毘沙門天は梵名: ヴァイシュラヴァナ

日本では、持国天、増長天、広目天と並ぶ、多聞天として

四天王と言われる。


しかしこの四天王とかいうのは、ここから発生したのではないだろうか。

異世界物語では魔族の四天王とかがいたりする。

やられるときに「残念だが俺は四天王で最弱だ」とか自分を卑下する輩だ。

「くっ、殺せ」の女騎士のセリフと並ぶキタコレセリフだったりする。


上杉謙信がいたらスキルは毘沙門天だろうと思っていたのだけど・・。

変なことに脱線しながらアイリは考えていた。

上杉謙信も一向一揆には苦しめられていた。

本願寺家とも戦っている。


上杉家と織田家とは同盟関係があったのに

この本願寺家との講和後、本願寺からの依頼を受けて

織田家との同盟は破綻した。

その後、足利家の陰謀で信長へ兵を向けるようになる。


その時、信長は右大臣となっていて朝敵には当たらない。

単に足利家と織田家の紛争でしかなかった。

大した大義名分もないのに謙信は信長と戦うことにした。

初戦の手取川の戦いでは大勝。その後しばらくして急死する。


謙信の正しくあるという姿勢が何時かしら歪んでしまったのか。

本願寺と言い足利家と言い良いように利用されていた感が否めない。

アイリはこれを思う。

神がかり的に強かったけど、お人よしだったと。


足利家もいないし寺もないこの世界なら全然関係も違っていただろう。

そうすると一番の敵は何?


そんなことを考えていると

今日の仕官面談の時間になった。


これは、フラグではなかったかと後々思うことになる。

アイリ曰く「フラグが立った!」足の悪い少女が立ったわけではない。


何故か謙信本人が仕官に来たからだ。

いや厳密にいえば、類似の同名者だ。


カゲトラ(景虎) 所持スキル「神軍」

歴史上での謙信は長尾為景の4男、上杉家へ養子に行って上杉姓になる。

そしてスキル持ちだった。

実は毘沙門天の化身というのは後の創作で誇張されたと言われる。


当時称されていたのは軍神のほうだ。

歴史で称された名をスキルとして持つのは

スキル持ちの中のパターンの一つでもある。


何故ここにいるのか疑問だ。

聞けば何代か前は領主家であったが側近の裏切りに会い騙され

没落していくことになる。


その後他領へ行き、父親の代は仕官していたが今は亡くなっている。

父親の名は何故か為景ではなかった。

カゲトラは仕官先が合わなかったらしい。


「私利私欲の主は仕えるに値しない」そうだ。

この国の領主に多くいる種類の輩だったのだろう。


そこでアイリの話を聞くことになる。

聞けば単なる少女だが領民に慕われ戦が上手い。

皇王様に気に入られ取り立てられてた。

カゲトラにとって謎の多い人物だったらしい。


4領を支配し正三位になったと聞き、領をでてきたという。

自分の目で確かめ「主たるに足る人物なら仕官する。」だそうだ。

ここまでの移動で目にしたものは、カゲトラの心を揺さぶった。

領内の平和と豊かさ。


アイリのことを聞くと皆、称賛したらしい。

アイリは聞く「それで私は合格かしら?」

カゲトラは「うむ。是非仕官させていただきたい。」と答えた。

ここに久しぶりのスキル持ちと限りなく類似の同名者が現れた。


アイリは鑑定時点で採用を決めている。

「わが軍の指揮官になるなら、まずはお勉強してくださいね。ふふふ」

有名人でも容赦ない幼女だった。


これによりカゲトラは指揮官候補として

軍編成や兵器の事、アイリ軍術を学ぶことになる。

後日、カゲトラはそれらを称賛したという。

いつしかカゲトラの人物事典は青くなり。記述に心酔の文字が入った。


真面目な性格もあって、新しい戦い方の指揮が出来るように努力している。

そのうち前線に出れるだろう。


「これで7人・・・。まだ遠いわね。」

アイリの持つ織田軍の指揮官数である。


秋までに指揮官が集まってくれないと計画が難しくなる。

指揮官として即戦力であっても、たとえスキル持ちであっても

アイリの特殊な軍の指揮をすることはできない。学ぶ時間が必要になる。


アイリと共に戦場に出て、間近でアイリの指揮を見た現在の指揮官。

その指揮官との経験差は大きい。


アイリの戦術や戦略などの作戦指示を聞いて

自分は何をすればいいのか理解できる知識は必要だ。


その為には最低三か月はかかると見ている。


アイリはその後も面談を行ったが、

その日は他に、これという人材は現れなかった。


何故か相変わらず。

織田家、徳川家に関係する同名者がやって来くる。



数日後

皇王様の婚姻の儀が近いこの日

アイリに驚く情報が舞い込む。


関東方面で力を持った豪族が領主になり武田家を名乗った。

それだけではなく甲斐方面で蘆名家と小競り合いをしだした。

蘆名家が信濃にいることが変なのだが・・。

武田家は甲斐発祥の家名、元の鞘に収まるのであろうか。


この国は家名とかもアイリの知る歴史と異なる。

領主しか家名を名乗れなければ、領主になるまでその存在は知らない。

甲斐の地は小領地として信濃に編入されている。


相模、武蔵あたりを勢力に置いた武田家が

自領の完全支配より甲斐へと手を伸ばすのは不思議な話だ。

この武田家を名乗ったのは元豪族だった親から後を継いだ人物らしい。

蘆名家との遺恨があるのだろうか。


武田家領主の名は、タロウ(太郎)。犬の名ではない。

太郎という名前は履いて捨てるほどいる。

しかし、武田家を名乗る太郎は一人だけだ。


武田 信玄。幼名、通称名は太郎。

その後、晴信と名乗り、出家後の法名が信玄だ。

同名者が幼名のままというのはこの国ではよくある。


アイリのように力技で名を変えるのは珍しい。

もし類似の存在なら、これはかなり手強い人物だと言える。


「謙信がいるなら信玄もいるか・・。ふうん。」アイリは一言いった。

こう続けて有名人というのも何かしらの縁がありそうだ。

それが危険でなければいいのだけど・・。


何やらこの国で大きなものが渦巻いているようだ。

今までいた出来の悪い領主が駆逐され

実力者が名をあげるのはこの国では珍しくもない。


ただ、その前までは小競り合いはあったものの

あまり目立つ存在はいなかった。

ここ1、2年ほどの間に急激な変化が出てきたのは偶然だろうか。


一番急激に変化したアイリが言う言葉ではないのだが・・・。


この後、いつもの仕官面談の時間になり

この国の流れの激動さを知ることになる。


この日は、二人続けて驚愕の人物と会うことになった。


何故か徳川家に関係する人物が多く偏っていた。

これが何を表すのかはわからない。

ほどなく指揮官枠の仕官面談は終わった。


その後、久しぶりの軍師枠で仕官希望者が二人いるという。


1人は、

ヤハチロウ(弥八郎)と名乗った。

スキル持ちだ。 「智謀」スキル。

このスキルを世界辞典で調べてみた。

どちらかというと軍事もできるが、より政治向けだと言える。


アイリのオタク歴女の記憶から思い当たる人物を探す。

弥八郎に関係して智謀を持つ人物。政治が得意っぽい可能性が高い。

出した答えは、本多正信。徳川家康の参謀。

徳川幕府の黎明期に活躍した人物だ。


スキル保持者だから、類似だろうが同名だろうが当然採用する。

ただ攻撃軍の指揮官になるのは大変かもしれない。

むしろ防衛軍の指揮官向けと言える。

留守が任せられる人材がいるなら心置きなく外に行ける。


歴史での本多正信は

当初、徳川家にいたが一向一揆側に参戦し徳川家を出た。

その後、浪人の様な状況になり松永久秀に仕官する。

そこから再び徳川家に戻った人物。

アイリは、織田家と徳川家両方の立場である。


正信が息子の正純に言った言葉にこういうものがある。


武家は軍法を諸道の根本とするのだ。

軍法というは軍事ばかりに用いるものではない。

軍法は常の備えである。

善い政治は勝ち、悪い政治は負ける。

勝負の本は国を治める事にある。


士農工商は天下の4民である。

士にしてその仕える家の老職を預かる者は、

農工商をもって木の根とし、大事に育てて、これを慈しめ。

諸士は木と同じで、合戦の仕方は枝葉に同じである。

勝負は花実に等しければ、その本を失ってはならない。


これはアイリの領地経営と基本的に同じ考え方だ。


ヤハチロウに何故この領地に仕官を希望したのか聞いてみた。

領地経営のすばらしさは、自分の思いに共感する物だと答えた。


「領民を慈しみ、農工商を支援するのは、この国では非常にめずらしい。

 今まで自分はそういう思いを持った主に出会えなかった。

 その上での強兵政策は目を見張る思いがした。

 平和と幸福はこれらすべてを成し遂げてこそあると思えた。」


ヤハチロウの言葉は、さすがに智謀スキル持ちだった。


アイリは言う

「いまだこの国は戦乱に明け暮れ、領民は苦しんでいます。

 まだまだ戦乱は続くから、戦いは避けられないでしょう。

 ですが私がそれを納めたいと思ったら力を貸してくれますか?」


ヤハチロウは

「私は正直、戦場での先陣には向いていないと思いますが

 お力になれるのであれば精一杯尽くしたいと存じます。」

こう答えた。


アイリの防衛指揮官の誕生であった。

領経営を任せながら防衛が出来る存在は貴重だ。

「ならばまず、新しく学ぶところから始めてください。」

結局容赦ないアイリだった。


しかし、ヤハチロウは嬉々として積極的にいろんなことを学んでいった。

この領に来て、こういう政策があるのかと感心したようだ。

彼も人物事典は青くなり、心酔の文字が付いた。


そして、2人目

これはオタク歴女のアイリが切望していた人物であり

あきらめかけていた存在でもある。


ゲンゴロウ(源五郎)  虫の名前ではない。

3人目の「策謀」スキル所持者だ。どうやら策謀スキルは多いらしい。

ゲンゴロウも多い名前だが策謀スキル所持者となると軍師格だ。

思い当たる人物は、真田 昌幸。 サナダも虫ではない。


軍師というより防衛戦の天才という感じだが

子供には信繁がいる。信繁は幸村の元になった人物。

彼は、真田幸村の父親である。


ノブツナとの関係を聞いてみたが兄弟や縁者では無かった。

出自も年齢も異なるのは、異世界だから仕方がない。

当の本人だと断定することもできない。あくまで類似の同名者だ。


しかし、待望の幸村関係者でもある。

信濃の豪族のところにいたらしいが、戦いに敗れ放浪したという。

蘆名家の戦争好きのせいだとアイリは思った。


蘆名家や武田家に行く道もあったはずだと聞いてみたら

単なる戦争好きでないほうがいいに決まっていると言われてしまった。

あまり意味もなく戦争するのは好きではないらしい。


そう言えば、歴史上の昌幸は戦争に翻弄され続けた人物だった。

自身を守る為に様々な大名の下についている。

武田家の後は織田家、その次は徳川家、豊臣家と続く

最終的には徳川家により滅した。


人物事典で技能と経歴を見る限りでは、知略の将とは思えない。

昌幸像は後の創作の影響があるとはいえ

確かに寡兵で大軍の徳川家と渡り合ったのは事実だろう。

この世界のこの国では能力を活かす立場にいなかったのかと思う。


戦いにも行けるし防衛も得意だろう。

先陣の指揮官より後陣や遊軍などに向いているかもしれない。


アイリは、

「重く用いるつもりですから、この領で学び努力してください。」

と言った。

「私の軍は負けたことはありません。大いに力を奮ってくださいね。」

続けてそう言うと、にこりと笑う。


ゲンゴロウは安心したかのように「もちろんです」と返した。

その後、子供はいるのか聞いたのは言うまでもない。

昌幸より幸村のほうが気になるオタク歴女だった。


ゲンゴロウも指揮官の勉強を行った。

軍やアイリ軍術を知り

「なんだこれは、うまく運用すれば天下が取れるかもしれん。」

と叫んだそうだ。

能力がありながら報われず天下取りに程遠い位置にいた昌幸のような言葉だ。

彼もやがて心酔という文字が人物事典に付いた。


今は必死に学んでいる。光明を見出したかのようにやる気満々だ。

学士ではなかった分、現場で戦場の空気を感じてきたのだろう。

ハンベエやカンベエより早く指揮官になれそうだ。


いや、今は両兵衛は立派な指揮官になっている。

自信さえつければ、策謀スキルで独自の戦い方も身に着けるだろう。



こうして月が暮れ、春がやってくる。





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