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No014 アイリの野望、内政編 「政策報告」 西部政策1年目修了。4歳7月~5歳聖祭日、

領主館での家族との団欒の話です。

夏が来るとアイリは、製紙工舎を設営した。

労働者で手が空いた者をそのまま工舎に採用し、紙の量産に入った。


装飾品工舎も軌道に乗ってきた。

絹生産の目途も立った。

女性用の工舎も増やせるだろう。


カザマ領西部4郡のおおまかな地図もできた。

キヨス郷内地図も完成した。

紙の生産と共にこれらも販売になる。

ただ、手書きなので量産は無理だ。

とりあえず、版画印刷の技術を教えておいた。

多少は何とかなるかもしれない。


教育制度や教育内容などは、アイリも意見を出した。

本はまだかかる。印刷技術が壊滅的だったというか無い。

版画の技術では文字はかなりつらい。

そういえば、黒に白抜き文字の本を見たことがある。

多分今のレベルだと作ってもあれになると思う。


学校はまだかかるが、幼年教室の拡張はできるだろう。

とりあえず、写本で賄う。一人1冊は無理だ。

教員は家庭内教育をしていた経験者に頼んだ。


防衛院は、従来の武官を移籍してとりあえず衛兵的な役割に付けた。

まだ、兵隊育成や兵器開発、武器防具の調達など課題は山積みだ。

募兵などの計画はしているが、まだ実施していない。

武器防具、兵器開発の目途が立てば実施する予定だ。


武器防具の試作案はとりあえずのものは出来た。

形だけで想定したレベルではないが・・。


治療院は順調に活動を進めている。

祈祷師的な治療は見つけ次第、排除していく。

治療院では、健康に対する説明や教育もしている。

自己管理は大切だ。予防の必要性を教える。

心臓マッサージや人工呼吸なども説明した。

使用検証して効き目のある薬は治療院証明を付けた。

これは治療院内の薬剤店で販売している。



日々忙しいが、アイリは何事も全力で取り組んだ。

即断即決し、即実行、検証を行いチャレンジする。

忙しくしていると時の流れは速い。


やがて秋が過ぎ、冬がやってくる。

あちこちからの報告で成果は上々だった。

皆の努力を労い、頑張った人は褒めた。



アイリも聖祭日で5歳になる。

今回の正月休みも領主館で過ごす予定だ。

この一年は、すごくつらかった。

でも成果が残せたので、父上に報告できる。


「父上、母上ただいま戻りました。」

「おかえりなさいアイリ、少し大きくなったわね。」

「お仕事大変だったでしょ、しばらくゆっくりしていきなさい。・・・うふふ」

「うむ、一人で良く頑張っているようだな。わが娘として誇らしいぞ。」

今回は少し時間が離れていたせいか、妙に両親とも嬉しそうに見える。


和みムードのところ申し訳ないが、報告すべきことだけ済ませてしまいたい。

「ありがとうございます。」アイリは真面目な顔になる。

「早速なのですが、西部4郡における政策報告をしたいです。」

あまり細かい話をしても仕方ないと思い、

今まで実施してきた政策内容を、かいつまんで説明した。

聞いていた両親とも、あまり意味が分からない様だった。

実際のところ、アイリの政策改善数が多すぎるし、すべて常識外れだ。

まぁ頑張ったことだけ理解してくれればいいんだけどね。


その後、成果報告をわかりやすい範囲だけ報告した。

「最後に、準備を含めた1年の成果です。」

「今年の収益が昨年の3倍近くになりました。」

実は税収だけでなくアイリ直轄事業の売り上げも計上されている。


「キヨス郷の領民数は1万人以上に及んでおり、いまだ増加中です。」

「周辺まで広く影響がでており、西部全域で領民数が増加となっています。」

「課題としては、更なる食料の需給率向上があげられます。」

言いたいところはここだ。食糧問題の解決。

人が増えれば直面する問題でもある。

西部内の生産自給率を上げても、やがては追い付かなくなる。


「準備を含めてたった一年の成果と思えぬな。アイリよくやったぞ。」

父上が誇らしく言ってくれた。褒められるのは嬉しい・・ふふふ。


「来年末には、さらに上回る報告ができると思います。」

「予想では、現在の更に倍になることでしょう。」

アイリは胸を張って少し鼻息が荒い。


「おお、それはすごいことだな。次の展開は考えておるのか?」

父上が食いついてきた。


「旦那様、アイリの政策を元に、東部4郡も展開してはいかがですか?」

母上は、結構聡明だと思う・・。

実は、東部への展開は想定していたからとても助かる。


「ふむ、そのとおりだな。しかし、アイリ一人では対応できまい。」

父も納得しているようだが、私の心配をしてくれる。


両親の話に対して矢継ぎ早に言葉を返した。

「まずは、私に直轄権限をお与えください。」

「側近はカンドウを使います。」

「私の政策を近くで見ておりましたし、苦労を共にした経験者でもあります。」


父が少し考え込んだ・・気がかりは避けておきたい。

「来年早々に西部とキヨス郷の最終指示を行います。」

「確認まで含め、半年ほど猶予をください。」

「指示、確認を終えましたら、私自ら東部政策を行います。」


東部政策で考えていたことを話しておく。

「東部への展開は、西部での実績もある経験者を幾人か用意します。」

「それと、領内全体と地域状況の考慮が必要と思います。」


ここからが大事なところになる。アイリは一息入れてから続ける。

「東部に対する政策の基準は、農耕政策にしたいと思います。」

「領域の特色として、西は商工業、東は農耕業と分けます。」

「基本行政政策は同じとし、領地内は統一します。」

「領地全体で見れば、東部の農耕政策が軌道に乗れば・・。」

「西部の課題である食料の供給につながります。」

考えていたことをとりあえず言ってみた。


「ううむ。アイリには、参った・・・。」

「東部への政策展開も予測しておったようだな。」

父の話を聞いて、ふふんとアイリの鼻息は荒くなった。


「実のところ西部は農耕できる土地に限りがあります。」

「地の利から商工業向きだと判断していました。」

「事前に調べましたら、東部は農耕できる土地が多くあります。」

「東部は領主館もあり、西部の時ほど政策の対応は難しくもありません。」

「東部政策は、すぐに軌道に乗るでしょう・・ふふふ」

アイリはにっこり笑う。


アヤノは、アイリの話を聞いて少し微笑んで言う

「では、アイリは東部の政策中はこちらに来れるのですね。うふふ」

母上の言葉はいつも優しい・・。


「はい母上、西部の目途が立つ半年後。」

「こちらへ戻り、領主館を拠点といたします。」


「まぁ、また一緒に生活できるなんて嬉しいわ・・。少し寂しかったのですよ。」

母上の癒しオーラ発動中となった。

この一年離れすぎてたしなぁ・・少し反省だよ。


「うむ、それならば話は早いな。アイリに全権を任せよう。」

父上は、いつも私を信頼してくれる。

これで領地全体の運営管理ができる。この領地を一流にしよう。


「さぁさぁ、これで難しい話は終わりにしましょうね。」

「ここからは家族団欒の時間ですよ。うふふ」

結果、母上が難しい話を切り上げさせてくれた。


「話を聞いてくれて、ありがとうございました。父上、母上。」

「今回もたくさん土産を持ってきました。受け取ってくださいね・・ふふふ」

さぁここから私のターンだ。親孝行作戦と行こうか。


今回、父母への贈り物は、たくさん準備した。

アイリ直営工舎で自分考案の試作品をいくつか作ってもらった。

試作品作成の部署をアイリ工房と名付けたところ

アイリ工房の職人に選ばれることは職人たちのステータスになっているようだ。

そんなことで、やる気になってくれるのは嬉しいが

単に私の我儘聞き隊なのだけどね・・・。


両親に渡すのは、布製の靴下と靴、部屋着、部屋着の上に着る羽織着

人任せだけでは、心がこもってないと思い、羽織着だけは自分で作った。


靴下はそのまま前世の記憶内のものの類似品で履きなれないだろうからやや薄め

靴に関しては、厚めの布にしたスニーカーのイメージだ。

靴裏には、ゴムがないから丈夫な熊の革を縫い付けて、靴内には茣蓙を敷いて

足裏が部屋感覚になるように工夫した。

カンドウ爺に見せたらアシブクロ(足袋)とか言われたのは、忘れよう。


ここでは、裸足での生活が当たり前で、草履や下駄などを履いている。

冬場はきついだろうと、そういった思いで作成した。

革職人にそのうち軍靴ではない革靴を作ってもらいたいと思っている。


部屋着は着物ではなくて、服だパジャマっぽい。

上着は、木製のボタンを作り、ボタン止めにした。

慣れないボタンの数が多いと大変だからと思い、大きめのボタン3つだけにした。

下はスボンだ、腰の辺りを紐で縛れはいい。


ちゃんとした背広のような洋服やドレスなどは、生地が追いつかなくて断念した。

現在作れる布では、ヘタレて型崩れしてしまうからだ。

ちゃんとした生地が出来たらメイド服を真っ先に作るつもりだったりする。


羽織着は、袖がなくベストのようなもので装飾として縁取りに毛皮を使ってみた。

父のは熊毛で、母のは兎毛だ。なんとなく両親のイメージにしてみたつもり・・。

ウサギはかわいそうだったが狩られて毛皮になったものは仕方ない。

可愛いし有効利用させてもらった。

ちなみに両脇にポケットも付けておいた。


カンドウ爺には、毛無のアイリ製羽織着をあげておいた。

爺にはお腹冷えたら大変だろうと前を紐で止めるタイプにした。

決して、ちゃんちゃんこではない・・・つもりだ。

カカカのカンドウ爺とか少し笑えるけど。


側仕えのシキノやサヤカにも、少し簡素だが両親と同じものを渡した。

そうそう、サヤカは乳母から側仕えに変えてもらった。

自分が5歳であっても大人と変わらないからと言ったら、納得してもらえた。

一応、乳母じゃなくなってもルームメイトのままだ。

いや実は、サヤカはメイドなんだが・・。

次の機会で、職名を変えるから少し待っててほしいと思っている。

替えのアイリ製エプロンも、もちろん渡した。


父母は、靴紐やらボタンに苦戦したが何とか使えるようだ。

前回以上に喜んでもらえてうれしかった。

父は、羽織着は私が作ったと言ったら

普段の着物姿でも羽織着を着っぱなしになった。

母には忘れずにエプロン基本バージョンとフリルバージョンの

アイリ製エプロン2種類セットを渡した。

母も普段からエプロン姿になった、しかもフリル付きの・・・。


側仕えの二人は、エプロンは私の命令で着用するものの、

それ以外に渡したものは、

何か特別な時以外は使わないように大切に仕舞っておくのだそうだ。

これからもきっと色々あげちゃうから気軽に使っていいのにと思う。


ちなみに二人とも聖祭日に3日ほど休みをもらって里帰りをした。

実家の家族に主のお嬢様からこんな物が頂けて名誉だと報告したらしい。

実家のある村では、大層な話題になっているみたいだ。


前回何も贈らなかった領主館メンバーにも、今回は贈り物を渡した。

料理人二人には、割烹着と包丁、まな板のセット。

包丁やまな板はキヨスで最高のものを用意した。

特別注文で、二人の名前を銘として入れてもらった。

銘入れは本来作成者名が入るものだが、

この地に銘入れなどという風習はないようだ。

きっと、これを切っ掛けにして、流行ると思う。


お礼に私の好物だらけの食事が提供された。


その他の人は男性なのでと思い、動きやすい作務衣にした。

この地での着物は浴衣仕様のような感じだ。

最初、上下ある作務衣だから戸惑っていたのかと思ったら

姫贈呈品だと戸惑っていたらしい。

作業用の服だからと言って安心して着てもらえた。

着物に近いデザインだし、機能的でいいかもね。


父の部下の人も気に入ってくれて作務衣ばかり着ているそうだ。

使用人達に平伏されたのは少し引いたけど

主から物がもらえるというのはとても名誉らしい。

そういえば、側仕えの二人も名誉だとか言っていた・・・。


みんな喜んでくれたようでうれしい。

その後、父からすぐ作務衣が欲しいと言ってきたのは言うまでもなかった。

これは早々に用意して使用人に届けてもらった。

父も作務衣に羽織着という姿に代わった。


「まぁ、皆うちのファッションリーダーだよね。・・・ふふふ」

そんなこんなであっという間に5日は過ぎてしまったのだけど


アイリにとっては次へのステップに進むための充電ができたと言える。





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