プロローグ
「あ~あ、何かいいことないかな」
そう言ってイスにドカッと腰掛けたのは、学校1の男前(!?)体育部総キャプテンの葉山晶(♀)
「そうねぇ~。素敵な王子様でも現れてくれたら、何も言うことないんだけどなぁ~」
両手を胸の前で組んで、大きな瞳をウルウルさせながらつぶやいているのは、小説家志望の超乙女チック少女、相田美香。
「そうだよ!残り少ない高校生活をenjoyするには、素敵な彼氏が必要なんだよね。」
美香の言葉を聞いた晶は、教室中に響き渡るほどの大きな声で叫んだ。
クラスメイトが一斉に晶を見た。
「晶!あんたは声が大きいんだから、もう少し小さい声でしゃべってね。」
「はいはい。」
晶は声のトーンを落として返事をした。
「それにね晶。大学受験が目の前に迫ってるんだよ・そんな悠長なこと言ってる場合じゃないでしょ」
T大の医学部を狙ってる、生徒会長の広沢優子が言った。
「でもね。優子だって彼氏欲しいと思わない?」
「別に・・・男子は皆、だらしなさすぎ!」
「皆とは限らないよ。」
「もう・・・2人してそんな大きな声で恥ずかしいわ。落ち着いて。」
晶と優子の間に静かに止めに入ってきたのは、茶道の橘流の家元を両親に持ち、本人も次期家元でもある橘綾音である。
こんな何から何までバラバラの4人が、どうしてこんなに仲良しなのかは桜花高校の七不思議とまで言われている・・・。
結局、enjoyライフの話はお弁当タイムへと持ち越されたのである。
「ねぇねぇ、さっきの話だけど、皆で彼氏を作る競争をしてみようよ~。後、半年しか高校生活はないんだから。」
晶が3人を見渡すように言った。
「きゃあ!晶、いい考えだね。私、頑張るぅ。ねっ、優子、綾音?」
優子は受験の為の参考書から顔をあげた。
「私、それ全く興味なし!まず大学へ行って医者になるのが先だし。そんな暇ないよ。」
「やぁだぁ~優子。そんなに待ってたら、おばさんになっちゃうよ~。」
美香がフォークを持って、1人でバタバタさせている。
完全に乗り気らしい。
「私もちょっと・・・。苦手です・・・。特ににぎやかな方とはお話しするのもちょっと・・・」
「でもね綾音。今のうちから免疫付けとかないと、将来困っちゃうよ。」
美香が自分のことのように、哀しそうに首を振る。
「とにかく!私も綾音も興味ないの!晶と美香は頑張ってみたら?応援はするよ。暇なときにね。」
優子は今度は参考書を見たまま答える。
綾音も優子の言葉にうなづいた。
黙って3人のやり取りを見ていた晶が急に立ち上がる。
「美香!優子!綾音!」
「はいっっ!!」
「な、なに?びっくりするじゃない。」
突然立ち上がり、叫ぶ晶に驚いて、落とした参考書を拾いながら優子が晶を見上げる。
綾音は瞳を見開いたまま見つめる。
「卒業するまでに、彼氏を作って、楽しい日々を送るぞー!おーーー!!」
晶のすごい迫力に、乗り気な身かはもちろんのこと、優子も綾音も思わずうなづいてしまった・・・。




