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タイトル考え中...  作者:
第一章
3/9

*REST-parallel side*佑希

いつだって、空回りで



テストみたいに上手くはいかない――



***



朝、教室へ入ればいつも通り真っ先に君を探す。


それがいつの間にか俺の習慣になっていたなんて。


君は知る由も、無いのだろう。




席に着けば、隣には君が居て。

支度をする俺を睨んでいるのは、見なくても直ぐにわかった。



手を止めて、君に視線をやれば


君と目が合って。


不覚にも、あの頃を思い出す。




「なに、徠梦。」

言いたいことがあるのであろう彼女に、俺は声を掛ける。



「別になんでも。」

真面な返事がこないのは予測通りだったけど。

こんなんじゃ、会話にもならない。



「言いたいことあるなら言えよ。」

できるだけ嫋やかに、宥めるような口調で言う。



「だから別になんでもないってば。」

そんなちっぽけな努力も虚しく、彼女は依然として変わらなかった。



「だったら、何で睨むワケ?」



「ただ気紛れ。」




俺はでかいため息をし、会話にならない会話を終わらせた。



徠梦が俺に対して睨んでいた理由(ワケ)なんて、そんなの聞かなくともいとも容易く分かっていた。


きっと、黒板に貼られた模造紙が原因――

否、正確に言えば俺が原因だろう。





まぁ、多分。否、きっと。

理由は其以外にもあるだろうけど。




幼なじみで、家も隣同士で席も隣同士の俺たちの距離間は。



それぞれ遠いところにあって


彼女に近づこうと触れようと

手を伸ばし足掻けば


彼女との距離は

縮まるどころか広がるばかりで


そんな彼女を見ていると

俺たちは未来永劫、交わることは無いのだと


痛感してしまう。





俺は、黒板に視線をやる徠梦の横顔をぼんやり見詰めた。





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