十三 【言霊の代償の対象】
ガイアは海の向こうの地平線を眺めながら代償について語りだした。
「この世に存在する魂を持つ者達は決して平等ではない。罪を犯した者、犯される者、その者達の報復、そしてそれは周りをも巻き込み広がり繰り返す。重罪軽罪関係なくこれ等に当てはまる者、その者に関わりを持つ者は全て言霊の代償に当てはめられてしまうのだ」
つまり罪を犯した者は神が能力を使用するにあたって死ぬ可能性があること。
そして、言霊を使用する神自身ですら罪人となるとガイアは言う。
「何なんだ言霊って!そんなん……生き物だったら全員当てはまるんじゃねぇのか?生き物は生き物殺して食って生きてんだし、知らぬ間に罪人ってこともあるだろ?」
「そうだ。罪なくしてに生きていくことは不可能。代償候補は生命力を持つ全ての者となる……分かるか?周りにいる者を含めて全ての人間や人外が対象となるのだ。代償は必ずついてくる」
全人類が代償の対象。しかし、この能力は特定の使い方により不思議と対象者を絞り込むことができるようだ。
「は?全人類が対象ってことは地球の人間だけでも七十億居るんだぞ?どうするだよ?」
「言霊は蘇生以外なら万能の能力だと教えたな?例えばだ、複数人の人間が貴様を殺そうと囲う者を言霊で「"今この時、我を囲う全ての者に死を"」と言って消し去るとする。その場合は代償は何なのか、どこで行われているかも分からぬ……貴様、俺と妖精種に言霊を使った時の代償を聞いていたな?あの件は別だ。対象は元々絞り込んで行ったものなのだ」
「え!?」
ガイアの依代にした妖精種の子供に使った言霊による代償は、ガイアが意図した通りとなったと言う。
「どうやったんだ!?っつーか、誰が犠牲になったんだよ!?」
「貴様等を妖精種の場所まで案内をした老人が居たであろう」
案内をしてくれた老人は妖精種の子供を世話をしていた人間。
ガイアはクロウ達が妖精種の住むあの村を訪れた時に、予め妖精種と老人に依代とそれを行うための言霊の話していた。
村の者達を含め、了承はしていたようだ。
「解せぬ能力だ。確実ではないが、言霊に乗せられた者の一番深い関わりのある者が代償の対象となる確立が極めて高いのだ。あの老人が対象となるだろうと思い事前に話していたが……思った通りとなったわけだ」
「もしかして……あのじいさん」
村長は代償による突然の死に備えてクロウ達を待っていたようだ。
そしてガイアが妖精種の身体に入ったと同時に、村長の生命力も消え去ったと言う。
「そんな……お前はそれで良かったのか?」
「あの老人はできた人間だった。身体を貰い受けて分かったが、妖精が眠るその瞬間まで面倒を見ていたようだ。クロウ、一つ言っておく。あの時貴様が言霊を発動させるために使った魂はあの妖精種自身の魂だ。俺と貴様に自分の魂を使ってくれと言って誓いを立てた。そしてあの老人。彼奴も貴様に誓いを立てているのだぞ?」
ガイアはこの世界に人外種を連れてきた異次元の天使だということを妖精種に話していた。
そのため、妖精種は言霊を使うための魂のストックになることを自ら望み、ガイアに身体を渡すことも躊躇なく承諾した。
一緒に話しを聞いていた村長も我が子のように育ててきた妖精種が誓いを立てるならと、村長もクロウに魂を渡すと誓いを立てた。
「そんな……身内で了承を得た犠牲で、しかも自分の魂も渡すって。どんなに凄い能力でもこんなん知っちまったら使いたくても使えねぇよ」
クロウは村長のことや犠牲を考えると、この先の言霊の使用を拒む。
過去に妖精種の少年を救い、村長とも会話をしているようだが、どうしても思い出すことができない。
記憶が欠落してほとんど覚えていない者の魂など使いたくない。
すると、クロウが記憶の話しをした途端にジハードはそれが疑問だと割り込んできた。
「あの……ずっと思っていたのですが、なぜ自分で記憶を探ろうとはしないのですか?貴方は魔法が使えるのですよ?」
「!!」
考えもしなかった。
想像力があれば大抵のことはできる魔法が使える。
実際にクロウはなにも考えずにメアルの頭の中を魔法を使い覗いていた。
「何で気が付かなかったんだ……ガイア!お前も気付かなかったのか!?」
「……」
ガイアはなぜか口を閉ざす。
しかし、クロウはそれよりも魔法についての疑問が浮かび上がっていた。
そもそも万能に近い魔法があるならば、この先言霊の能力を使わなくても良いのではないかと思い、ガイアに違いを聞いた。
「言ったであろう。魔法は魔力、魔力が底をつけば生死に関わる。魔法は想像力を働かし、頭で考えたことを行える。だが、自分以外の第三者に干渉することはできない。蘇生はもちろんだが、治癒なども不可能。何かを具現化しそれを相手に当てることや加えることはできるが与えることは無理だ。しかし、言霊は蘇生以外ならば全て可能とすることができる」
ふーん、何回聞いても良く分からねぇ。
与えることができないことには理由があり、神以外に"魔力の器"となる核がないからだと言う。
仮に治癒魔法ができたとして、第三者に魔力を注ぐことにより体の細胞が反応して治癒ができるはずなのだが、魔力核を持たない人間の体は魔力を認識できないため、反応もない。
いくら注いでも無意味のようだ。
「貴様が恵華達に血液を飲ませることによって、共に空間転移できるようになったのは、貴様の生命力と魔力が含まれた血液が魔力核を作り出してしまったからだろう。極めて小さい器だがな」
……なーるへそ。
ガイアもそのような試みをしたことがないので、魔力核備えられた恵華達が今後どうなるか分からないが、共に空間転移や転送する分には問題ないようだ。
「じゃあ魔法と言霊が違うのは相手を回復させたり何でもできるって……あれ?魔法も血を飲ませたら干渉できるんならあんま変わんなくね?」
「貴様は本当に阿呆だな。これから何人にも一人一人血を与えるのか?どのような魔法にどれくらい魔力を消費するか分かるのか?大規模なことを想像し、それを実行した途端貴様は魔力切れで死ぬかもしれんのだぞ?阿呆。貴様は何度死に直面すれば覚えるのだ?阿呆が」
……なるへそ。
バカにされながら話されてイラ立ちながらも納得したクロウは、舌打ちをして自分の額に手を当て記憶を探ろうと魔法陣を展開させた。
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