病院
私たちはレンのいる病院へ向かった。
病院へつくと、まず受付でレンがどこにいるのかを聞いた。
ICU……レンはまだICUにいた。
私たちは見舞うこともできずに、途方に暮れた。
すると、中からレンのお母さんがでてきてくれた。
まだ会えないけど、意識が戻ったらまた来てやって欲しいと……そう、お母さんは言うと泣き崩れた。
私は大人が泣き崩れるのを初めて見た。ショックだった。
ユタカたちもそうだったろうと思う。
私は悲しかった。ただただ無力な私はレンに何もしてあげられない。
ただいたずらに時がすぎるのを待っているだけだった。
レンは一般病棟に移った。意識は戻らぬままだった。
私はあることを決めていた。それは、毎週この病院に来て、今週あったことをレンに報告することだった。
最初に来たとき、私は落ち着かないでそわそわしていた。
自分で決めたこととはいえ、何から話していいのかわからなかったからだ。
私はとりあえず熊本ファイヤーズの現状について話始めた。
「熊本ファイヤーズはレンがいなくなってからバラバラになってしまった。秘密基地は放置のまま、私以外の誰もが近寄らない。
それは多分、君が事故にあった理由が、僕たちに会うためだったということも大きな理由だと思う。
けど、もう一つの理由として、みんな大人になっていくんだな、と感じるよ。
僕は君と出会ったあの場所をなくしたくないし、だから毎日のように行っているんだ。
僕だけはあの場所を忘れずにいたいからね。
いや、みんなが忘れてしまったわけじゃないんだ。
でも、みんな塾とか部活とかあって……僕は塾も部活もしてなくて自由だからさ。一人で秘密基地でボーッとしてるのが趣味というか、なんというか……
そうそう、こないだの給食はレンの大好きなあげパンだったよ。僕はじゃんけんに勝っておかわりできたんだ。
じゃあ、そろそろ今日は帰るよ。また来週ね。」
そう言って私は病室を出た。
レンに少しでもつたわるといいなと思いながら。




