別れ
レンの言った通り、レンの両親は離婚した。レンはここに残ることになった。
レンは相変わらず人気者で、秘密基地も相変わらずおもちゃだらけだった。
私たちは三年生になった。
谷先輩は卒業してしまった。私の青春の一ページはこうしてめくられた。
「今日は花火ばしよう!」
あのときと変わらずレンが言う。秘密基地に遊びに来る人間は日に日に減っていき、今では五人だけになってしまった。カズト、ノボル、ユタカ、私、レンの五人だ。
カズトとノボルはスカートめくりの天才だった。ユタカはおっとりしていて、私と少し似ていた。
「花火、久しぶりばい!」
カズトが言う。
「俺、蛇ダマする!」
とノボル。
「花火いいよねー。」
とユタカが言う。
「レン、バケツは持ってきたと?」
「バッチリばい!」
これで準備は整った。私たちは思い思いに花火を楽しむ。
去年と違うことは、そこにロケット花火が加わっていることだった。
牛乳ビンにさしてライターで着火する。
ヒゥゥウンという音がしてロケット花火は飛んでいく。
この頃まではレンは元気だった。
四年生、五年生になり、相変わらず秘密基地に来ているのは五人だけだった。
私たちは私たちに名前をつけた。熊本ファイヤーズ、と。
誰かがファイヤーって炎のことだぜ、と言い出して突然に名前が決まった。
野球チームのような、サッカーチームのような、そんな感じだ。
カズトもノボルもユタカも変わらなかったのに、レンは変わってしまった。熊本ファイヤーズの名前が決まって、大喜びをするはずのレンは、
「いいんじゃない?」
としか言わなかった。
レンは変わってしまった。以前のように元気もなく、人前に出ることを避けるようになってしまった。
それでも私たち熊本ファイヤーズはレンを慕っていた。
そんなとき、それは起きてしまった。




