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なんか知らんけど世界が騒いでる~転生したら最強赤ちゃんでした~[カクヨムに連載中]  作者: Kurara-Lunaria


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第25話 世界一の配信者

◆アルヴェイン領・冒険者ギルド


昼過ぎ。


普段より明らかに人が多い。


依頼掲示板の前も、酒場スペースも、人が溢れている。


「なあ、今日来るってマジなのか?」

「さあな。でも噂は広がってるぞ」

「もし本当だったらやべえだろ……」


期待と緊張が入り混じったざわめき。


(完全に別件で騒がれてますね。)


「ん?なんか今日人多くないか?」


ルークは気にした様子もなく中へ入る。


ギィ……


視線が一瞬集まるが、すぐに外れる。


“今の主役”は別にいる。


カウンターへ。


「いらっしゃいませ、ルーク様」


「ミュリエル、なんか騒がしいな」


「ええ、その……実は――」


言いかけた、その瞬間。


ギルドの扉がゆっくり開いた。


ギィ……


空気が変わる。


ざわめきが止まり、


全員の視線が、一点に集まる。


入ってきたのは――


長い銀髪を後ろで束ねた男。


整った顔立ち。


余裕のある表情。


ただ立っているだけで、周囲の空気を支配する存在感。


「きゃああああ!!」

「ゼノス様!!」

「本物だ……!」


一気に歓声が爆発する。


(来ましたね、“世界一”。)


「……ああ、ゼノスか」


(反応が軽すぎません?)


ミュリエルが驚いた顔で小声になる。


「もうご存知なんですか……?」


「昨日会った」


「えっ」


一瞬固まるミュリエル。


その間にも――


ゼノスは周囲を軽く見渡し、


迷いなくルークの方へ歩いてくる。


コツ、コツ……


人の間を自然と割るように進む。


誰も止めない。


止められない。


そして――


ルークの前で止まった。


軽くしゃがみ、目線を合わせる。


「おはよう、ルーク。

昨日は用事があってすぐ帰っちゃったけど、今日話そうと思って」


まるで昨日の続きのような口調。


「おう」


(温度差がすごいですね。)


周囲はざわついている。


だが二人の空気だけ、やけに落ち着いていた。


ゼノスは軽く笑う。


「ギルドで会うのは初めてだな」


「確かに」


「準備、進めてる?」


「特にしてない」


(してないんですか。)


ゼノスは一瞬だけ間を置いて、


吹き出すように笑った。


「ははっ、いいね。そういうの嫌いじゃない」


周囲の冒険者たちは困惑している。


“世界一”が、


普通に会話している。


しかも相手は――子供。


ゼノスは少しだけ声を落とす。


「ちょっといい?」


「いいよ」


二人は少しだけ人の少ない場所へ移動する。


視線は追ってくるが、気にしない。


壁際。


ゼノスは腕を組み、ルークを見る。


「一応確認な」


「うん?」


「昨日の話、本気でいいんだよな?」


「コラボのやつ?」


「そう」


「いいよ」


即答。


(迷いがありませんね。)


ゼノスは満足そうに頷く。


「よし」


「じゃあ改めて――」


少しだけ真面目な顔になる。


「明日、一緒に潜る」


「了解」


「ダンジョンはルークが昨日行っていたところと同じでいいか?」


「うーん。まあ強い敵がいるならどこでもいいよ。」


(要求が雑ですね。)


ゼノスは口元を歪める。


「任せろ。退屈はさせない」


その一言に、確かな自信があった。


「配信は同時でいいか?」


「どういうことだ?」


「お互いの視点で配信する」


「へぇ、面白そうだな」


「だろ?」


ゼノスは手を差し出す。


「じゃあ正式に」


ルークも特に気にせず握る。


「よろしく」


その瞬間――


周囲がざわついた。


「また握手したぞ!?」

「コラボ確定だ!!」

「やべえええ!!」


(隠す気ゼロですね。)


ゼノスは軽く振り返る。


「まあバレるよな」


肩をすくめる。


「今日中に告知出す」


「早いな」


「これでも仕事だからな」


(さすがトップですね。)


ゼノスはそのまま歩き出す。


出口に向かいながら――


一度だけ振り返る。


「明日、楽しみにしてる」


「ああ」


短いやり取り。


だが、それだけで十分だった。


ゼノスはギルドを後にする。


ギィ……


扉が閉まる。


一瞬の静寂。


そして――


「うおおおおお!!」

「コラボだあああ!!」

「マジでやるのかよ!!」


爆発するギルド内。


興奮が一気に広がる。


「……なんか大事になってない?」


(なってますね。)


ミュリエルが苦笑する。


「とても、なっています」


「まあいっか」


(よくないと思いますが。)


ルークは軽く伸びをする。


いつも通りの調子で。


「じゃあ帰って寝るか」


「明日楽しみだな」


(本当にブレませんね。)


その何気ない一言が――


配信界の常識を、


大きく塗り替えることになる。


その瞬間は、もうすぐそこまで来ていた。

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