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第90話 帰り道
帰り道、美久は考えていた。
これからのこと。
定期的に通うこと。
みんなともっと仲良くなること。
図書館を復活させること。
音楽会を定期的に開くこと。
季節ごとのイベントを考えること。
そして、いつか...
「猫カフェ開きたいな」
ぽつりと呟いた。
人間と猫が共存できる場所。
祢古町みたいな、特別な場所。
でも、もっと開かれた場所。
誰でも来られる場所。
猫に触れない人も、楽しめる場所。
夢は、少しずつ形になり始めていた。
ラジオから、軽快な音楽が流れる。
もう、雑音は入らない。
祢古町の魔法は、ここまでは届かない。
でも、心は繋がっている。
鈴が、優しく鳴る。
チリン、チリン。
まるで、みんなの声が聞こえるように。
『また来てね』
『待ってるよ』
『今度は、もっと長く』
『約束だよ』
美久は、笑顔で頷いた。
「うん、約束」
そして、アクセルを踏んだ。
人間の世界へ。
でも、もう一人じゃない。
帰る場所がある。
待っていてくれる仲間がいる。
それが、何より嬉しかった。




