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勇者と聖女

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よし、まずは寝起きの身の回りの確認からしよう。

一話と二話目が夢で目覚めたら現実世界だったなんて有り得るかもしれないからね。


目を開ける。


赤い天蓋付きベッド


脇腹辺りに違和感。


僕に抱き着く幼女


えっ


「何で?」


「んぅ・・・お兄ちゃん・・・えへへっ」


ちょっと待って画面の前の皆さん嬉嬉として警察に電話しようとしないで冤罪だから!


困った・・・ていうか僕をお兄ちゃん呼ばわりする彼女は誰?


僕に抱きついて目を閉じながら頬を緩くし微睡ながら微笑んでいる彼女は朝日に照らされて輝く金髪を肩まで生やしている。

そして寝室着なのだろうピンク色の薄いレース生地のワンピース、いわゆるネグリジェを着ている。


って、よく見たら聖女のエスペトじゃないか・・・焦った・・・。


うーん、改めて見てみると普段は人に無愛想な態度をとっていそうな聖女様の寝顔は年相応のあどけなさが残る可愛らしいものがあるな・・・幼い彼女は普段の聖女という立場に気苦労してしまっているのではないだろうか。


「んぅぅ・・・」


僕の手がエスペトの頭を一撫ですると彼女はくすぐったそうな声を出し、軽く身をよじる。


エスペトの金髪にくすんだ様子は一つもなく上質な絹のような滑らかさで梳いてみてもまったく指に引っ掛からず、できることならこのままずっと撫でていたいものだった。


僕は無意識に彼女の頭を撫でていたみたいだ。

それは彼女の立場に同情して心の負担を少しでも和らげてあげたいと思ったからかも知れない。


というか何故、聖女様が僕のベッドで寝てるんだ?

起こすべきだろうか?というかエスペトを起こさないと僕が起きれないか。


しょうがない・・・


「エスペト起きろ」


「・・・ん・・・お兄ちゃん・・・?」


どうやら聖女様は朝が弱いようだ。

僕は起きたばかりの目を擦っているエスペトに苦笑いする。


「えへへ・・・お兄ちゃんちゅーしよ?」


エスペトは寝ぼけ眼で微笑みながらそう言った。

だめ、お兄ちゃんはちゅーしません。と若干頬をひきつったのを感じたが僕はそう答える。


しばらくそんな調子で会話にすらなっていない会話をして数分、やっと意識がしっかりしてきたようで


「お兄ちゃん・・・あれ?勇者様?・・・・・・勇者様!?」


どうやらやっと僕が誰か分かってきたようだ。

エスペトは自分の頭を撫でている僕の手を見て、上気して赤くしていく頬と寝起きで少し赤い目を潤ませてこっちを見上げた。


そんなエスペトの頭を撫でながら反応を見てさて、どうするかと考えること数秒。


「お、おはよう?」


疑問形になってしまった僕は悪くないと思う。


「にゃああぁぁ!?」


「えっ!?あっ!ちょっとぉ!?」


エスペトは瞬く間に上気させた頬だけじゃなく顔全体を真っ赤にして叫んだと思うと、両手で赤くなった顔を隠して僕の部屋を風のように駆けて出ていってしまった・・・。


「どうしてこうなった・・・」


いやまあ、十中八九自分のせいなんだろうね・・・。



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