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Grandeur trip online  作者: サフランライス
25/28

第二十四歩 やがて夜へ、そして明日へ

生物の生態を考えるのは楽しい。

生物の名前を決めるのがムズい。

次回は掲示板の予定です。

目の前で戦いが終わる。

まだ、体の震えは治まらない。

まだ、後を引いている。

でも、

この二人は私を助けに来てくれたのだろう。


かっこよかった。


私が言葉に出来たのはそれだけ。

特に、あの白髪の女の子が。

私より身長が少し高いくらいなのに、ゲームの中とはいえあんなにも立ち回れる。

男の人も強い。正直何が起こったのかすらわからなかった。周りのプレイヤーの方々がやはりトッププレイヤーの一人だなと言っていたので私ではそこまで届くことは無いだろう。


何より同じ女の子でありながら、私と近い歳であろうと思われる彼女の方が私には輝いて見えたのだ。


私も・・・彼女のように。

強くなりたい。

かっこよくありたい。

自信を持てるようになりたい。


そうすれば、きっと、変われるかもしれない。

フレンドになって一緒に行動すれば、解るかな。


狭く白い壁に囲まれて一人だった少女は、この世界(ゲーム)で擬似的に外に出た。先ほどまで暗雲に包まれていた少女の世界はとある光によって澄みわたる空が見えていた。少女はその光に手を伸ばした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


さて、人の目があるなかでかなり派手にやってしまった。え?闘技場?知らんな。それよりも聞かないといけないことがある。


「お主トッププレイヤーの一角じゃとぉ!?」

「・・・言ってなかったか?」


マジか、まぁそんな事を調べていないから当然だ。ふと思えば初級ポーションの割には効力高めだったな。ふと貰っていたポーションを見てみる。


初級ポーション:品質10+

初心者が作成できるポーション。だったがこのポーションは並のポーションよりも高い治癒力を持つ。


思わずポーションとソウを二度見する。はぁ?10+?なにそれ。しかも並のポーションより良いもの?は?

何よりこいつ、こんなポーションをフィールドワークの報酬だからってポンッと渡しやがった。複数個。ありえん。


「・・・お前の持ってきたピュアウォーターで品質が限界越えてる・・・俺からすればそっちの方が驚いたんだが。まぁまだ在庫はある。こんな素材を持ってきてくれた報酬でもある」

「さ、さいですか」


とんでもない縁が出来ちまったもんだ。ある程度大切にしていかんと。毒牙の暗殺者ねぇ・・・敵にまわしたくないな。首チョンパは勘弁願いたい。


「あ、あの・・・」


そんな声が後ろから聞こえた。後ろを向くと先ほどの・・・めんどい、三馬鹿に絡まれていた少女がいた。身軽そうな店売りの「冒険者」シリーズの服装と鉄の剣、そして目を引くのが腕に付けるタイプの小型ボウガンと首から下げられた双眼鏡。それらを身につけていた。


「なんじゃ?」

「助けてくれて、ありがとう」

「なぁに、これくらい屁でもないわ」

「・・・スカウトと罠師、か」

「う、うん、そう」

「止めんか、全く・・・」

「二人とも・・・強い、カッコいい。特にシオンさんが」

「(´・ω・`)」

「思い出したかのように顔文字使っとる・・・」


ところで、さっきからこの子の目がキラキラしながら俺を見てるんだけど。なんで?聞いてみるか。


「どうした?さっきからわっちのことを見つめて、何か顔についとるか?」

「違う。シオンさんが私と近い歳であの人たちに啖呵を切れることが凄いと思った。私には、出来ない」


ん?ちょいとまて。私と近い歳で?


「す、すまぬ。一つ聞いて良いかの?」

「何?シオンさんの質問なら何でも答える」

「お、おう・・・失礼じゃが年齢は?おっと秘匿チャットでな」

「うん」

「・・・どうゆうことだ?」


朧:16

シオン:え

朧:16です、シオンさんは同い年くらいかと。


その内容を見た瞬間、俺は膝から崩れ落ちる。

いや?確かに?身長縮んでいるよ?某名探偵程ではないけど?でも、でもさぁ、ねぇ。あれ?何で目から汗が?そういえば目の前の少女と目線ほぼ一緒だよ?強いて俺が若干上だけど。上だけど、大事なことなので二回言った。


「し、シオン?どうした?」

「ど、どうしたんですか!?シオンさん!」

「・・・一言だけ、言わせてほしいのじゃ・・・」


「わっち二十歳ィィィィイイイイ!!」


その叫びは空しくファスティアの活気に紛れて消えた。




「・・・どうしてこうなった」

「私にもわからない」


二人の視線の先には赤黒い液体を蟒蛇の如く飲み続ける白髪の二十歳(?)がいた。ここはファスティア南区の飲み食い処「光風」である。シオンはここで、やけ食いとやけ飲みをしていた。


「なるほどのぅ、まわりがみょうにしんせつでおまけくれるのってそうゆうことじゃったか〜」


すでにゲームの中でありながら出来上がっており、状態異常の「酩酊」にかかっていた。


「・・・朧、今シオン何杯?」

「初手エール、次に翠玉ブドウの白ワイン。ブランド米 《かぜまとい》の日本酒っぽいもの、岩石芋の焼酎。ディープスライムの体液とキホウクラゲとお酒のカクテル《深海の華》。今は血塗れトマトとレッサーワイバーンの血と脳髄ザクロと度数の高いお酒のカクテル《ブラッドサバト》です」

「・・・かなり飲むな」

「更におつまみはランドカウのもつ煮込み、ウィンドランナーのスコッチエッグ、ツルギイカのお刺身、野菜と海藻のサラダ、ピコシェルクラブの丸揚げ。今は綿毛鳥の唐揚げですね」

「かなり食うな!」


思わずソウも思案癖をすっ飛ばす程である。実際シオンの前には空の食器やグラスが多く積まれていた。シオンは今食べ終わり、新しく料理と酒を注文していた。顔もある程度紅潮しており、表情が緩んでいる。


「ふふふふふ、旨い酒と飯はいいのぅ。じゃがこれでわっちが酒を飲めるとわかったじゃろぉ?このゲーム未成年には酒を注文出来んからのぅ!わかったか!頼むから未成年扱いせんでくれぃ・・・」

「・・・わかった、わかったから」

「成る程」

「・・・どうした、朧」

「これが噂で聞くギャップ萌えというものなのですね」

「・・・(^ω^;)おっ?」

「成る程これが・・・!」

「・・・(´Д`;)」

「それも心得ているとは、やはりシオンさんは凄いです!」

「ソーウー?お主も食べておるかぁ?今わっちは気分が良いからアーンしてやろうかの?」

「シオンさんとソウさん!ぜひフレンドになってください!そして私はシオンさんに着いていきたいです!」

「おお!了解じゃ!良いぞ良いぞ!わっちにぃ〜ついてこい!」

「ありがとうございます!シオンさん!」


「・・・これが、混沌か・・・」


そのあとどんちゃん騒ぎになり、互いにフレンド登録を行った後、お開きになった。もう良い時間なのでログアウトを行ったが、結局今日もウォクエリスに旅立てなかったシオン、もとい柚人は絶対明日には出発しようと心に決めた。


明日のシオンの旅には朧が同行するということになっていた。夜の七時半に合流し、向かうことになった。新しいフレンドが出来たシオンこと柚人と、初めてのフレンドが出来た朧こと満はお互いに笑みを浮かべるのであった。



その頃、公式掲示板ではとある動画がで話題になっていた。余り戦闘の様子を見たことがないPC「毒牙の暗殺者」のPvPの様子が描かれておりその姿に沸き立っていた。

が、それ以上に毒牙の暗殺者の横で戦っているPCに注目が集まった。この後大量の「( ゜д゜ )彡(ソウ)爆ぜろ」のコメントで埋め尽くされ、その様子を見ていたソウは頭を抱えたという。



ーーーーーーーーーーーーーー



おや、お帰りなさい。

今?夜の11時少し前だね。

僕?迷惑になっていないか?

大丈夫大丈夫。このくらい遅いのなんて慣れてるさ。

むしろ、何時もより早いくらいだよ。

何で帰ってないかって?

そりゃもちろん君の主治医だからね。

経過観察や最悪そのゲームが実はデスゲームです、とか。

万が一を想定して、ちょくちょく様子を見に来てたんだ。


で?どうだった?

歩けることがこんなに楽しいことだった、か。

それは何より。僕も嬉しいよ。

・・・怖い目にあった?三人の男の人に囲まれて?

だ、大丈夫だったの!?怪我は?あ、ゲームだからそれは良い?あっはい。

うん、うん。

助けてもらった?良かった、何事もなくて。


憧れの人が出来た?その人たちと友だちになれた?

その縁は大事にすべきだ。良い人との繋がりは中々出来るものじゃない。

だって今君はとても楽しそうだ。

そんな嬉しそうな顔を見たのは初めてかも知れないね。

人っていうのは常に奇跡の連続で生きていると僕は思う。

え?どこかで聞いた?気にしないでほしいな。

・・・まぁ受け売りだけどね。

とにかく、その人に会えたのはきっと、奇跡だ。


これからは君次第だ。

君は助けられたんだ。

もし、その人たちが困っているようだったら力になってあげなさい。

それは巡りめぐって君に良いこととして帰ってくるだろう。

ゲームの中とはいえ、手に掴んだ大切なものは手放してはいけないよ。

一度手放すと、とりもどすのはかなり難しいからね。


・・・ちょっと説教くさくなっちゃったかな?

さぁ、そろそろ寝ときなさい。

起きれなくなるぞー?


・・・。


さぁ、この狭い病室から抜け出して人を、物を、別世界を見てきなさい。

そして月島 満。君がまたこの世界で羽ばたけるように応援し、協力しよう。


だから。


今日はゆっくり、お休み。

明日また、元気な姿を見せてくれ。


そして、見知らぬ誰かさん。

誠に勝手なんだけど。

そっちの世界での満を、頼むよ。


彼女に、光を与えておくれ。


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