第22話 生徒会長からのこれからの提案
夕方、夕日が黄金色のオレンジ色の光を放ち始め、今日の体育祭の練習が終わったことを告げていた。生徒のほとんどはすでに帰路についている。
約束通り、俺は人気のない教職員用駐輪場の近く、パロト時計のルートへの抜け道に立っていた。
自動販売機で買ったばかりの缶のブラックコーヒーをすすりながら、金網のフェンスに寄りかかっていた。
しばらくすると、校舎の方から軽い足音が聞こえてきた。
「……待たせてごめんね、宇佐美うさみくん!」
白川しらかわさんだ。彼女はすでに体操着から普通の制服に着替えていた。だが、今日の夕方の彼女はどこか違っていた。足取りはいつものように軽くなく、顔に浮かんだ笑顔も……少し無理をしているように見えた。
「気にするな、俺も今来たところだ」俺は空き缶をゴミ箱に捨てながら答えた。「どうしたんだ? そんなしかめっ面して。ブサイクだぞ」
「むぅ……ブサイクじゃないもん!」
今の白川さんには、いつものような爆発的な反発のエネルギーがないようだった。彼女はただうつむき、人気のない歩道を俺の隣で歩き始めた。
俺たちは数分間、無言のまま歩いた。これは非常に珍しいことだ。
普段なら、他の生徒の目から逃れた途端、彼女はすぐに愚痴の連発や、どうでもいいくだらない話で俺を煩わせるはずなのに。
「おい……どうしたんだよ、白川さん。また天海あまみさんに抜け出したこと疑われたのか?」
白川さんはゆっくりと首を横に振った。彼女の目は、架空の小石を蹴っている自分の靴のつま先に向けられていた。
「葵ちゃんじゃないよ……更科さらしな先輩のこと」
「え? さっきの生徒会長? 実行委員の誘いならもう断ったんじゃないのか?」
「うん、実行委員の誘いは確かに断ったんだけど……」白川さんは少し足を止めた。彼女は俺の方を振り向き、迷いと悲しみの混じった表情で俺を見つめた。「でもさっき、校門を出る前に、更科先輩にまた呼び止められたの。彼女、私に……次期生徒会長の候補になることを考えてみてほしいって」
「…………」
……はあ? いくらなんでも急すぎるだろ。
「生徒会長候補?……お前が?」
「ほら! 宇佐美くんも絶対ありえないって思うでしょ!?」彼女は半ば泣きそうな声ですぐに言い返した。「私なんて、UFOキャッチャーと甘いお菓子が大好きなだけの偽ギャルだよ!? 学校を引っ張っていく能力なんて全然ないのに!」
「ちょっと待て、落ち着けよ」
「更科先輩が頼んできた理由は何なんだ? お前に直接打診してくるくらいなんだから、何か理由があるはずだろ?」
白川さんは長いため息をつき、制服のスカートの裾を握りしめた。
「え、えーと、特別なことじゃないんだけど……更科先輩が言うには、私がクラスで問題を解決する方法とか、役割分担の仕方とか、女子たちが文句も言わずに私の指示を聞いているのを見ていたらしいの。私には、生徒の間のコミュニケーションを繋ぐために生徒会がすごく必要としている『天性のカリスマ性』があるって」
(実は、更科先輩の理由は非常に理にかなっている。彼女の本性を知らない人間の視点から見れば、白川さんはまさに完璧な候補者だ。カリスマ性が天性であるだけでなく、神がかった演技力でコーティングされているのだから)
「で? 断ったのか?」
「断ろうとしたよ!」白川さんはフラストレーションを爆発させて叫んだ。
「私には無理です、経験もありませんって、色々理由をつけて言ったの。でも、更科先輩ってすっごく頑固で……! 逆に私の手を握って、期待に満ちたキラキラした目で私を見つめてきたのよ」
白川さんは両手を合わせて更科先輩の仕草を真似た。「『白川さん、青葉高校には、あなたのようにあらゆる層をまとめられるリーダーが必要なの。もう一度よく考えてもらえることを強く願っているわ』……だって! あんな風に見つめられたら、どうやって冷たく断ればいいのよ!?」
「じゃあ、引き受けたのか?」
「まだだよ! ……とりあえず、考える時間をくださいって言ったの」
「それに……立候補の条件として、生徒会長候補は副会長のポジションに就くパートナーを一人連れてこなくちゃいけないの。誰をパートナーにすればいいか、全然思いつかなくて」
彼女は突然、俺の方をじっと見つめた。その青い瞳に、いたずらっぽい希望の光が瞬いた。
「ねえ、宇佐美く〜ん……」彼女は甘えるような声で呼んだ。
「そういう目で俺を見るな。完全に断るからな」
「想像しただけで鳥肌が立つ。俺みたいな陰キャが、ギャル姫を支える副会長になる? 俺の高校生活は、その日のうちに完全に終わるぞ」
「うぅ……宇佐美くんが絶対に嫌がるのは分かってるもん」
「だいたい、もし私たち二人が立候補なんてしたら、秘密の友達関係が絶対にバレちゃうし。すべてが超面倒なことになるのは目に見えてる。あーあ……どうしよう? 考えてたら頭がすごく痛くなってきた」
白川さんは自分のこめかみを揉んだ。いつもは明るい彼女の顔が、今は困惑の色で満たされている。彼女は生徒会長からの高い期待に、本当にプレッシャーを感じているのだ。
俺は横から彼女を見つめた。毎日『完璧なお姫様』のイメージを維持することがどれほど疲れることかを知っている人間として、彼女が今どれほど重い心の負担を感じているか想像がつく。
その誘いは単なる役職ではなく、彼女の演技の期間をさらに長くし、さらに疲労させるような要求なのだ。
……正直に言えば、助けてやりたい気持ちはある。だが、生徒会の問題は俺のキャパシティをはるかに超えている。
俺たちは再び無言で歩き続け、いつものように別れる交差点の近くまで来た。
「……お、おい、白川さん」
俺の呼びかけを聞いて、彼女は足を止めた。虚ろな目でこちらを振り返る。
「うん……?」
「その問題考えてたら頭が痛いって言ってたよな?」
俺は、本当は痒くもない後頭部を掻いた。週末の予定以外でこういうことを提案するのは、なんだか気恥ずかしい。
「その……少し俺のアパートに寄っていくか?」
「いや、その……うーん……そんなややこしい悩みを家に持ち帰って、母親に心配をかけるくらいならってことだよ。俺のところなら……まあ、少なくとも大声で叫んだり、ポテチを好きなだけ食ったり、レースゲームでムカつく気分を発散させたりできるだろ。少し頭を冷やしてから、更科先輩の誘いを断る方法を一緒に考えればいいじゃないか」
白川さんの青い瞳が、一瞬にして明るく輝いた。今聞いた言葉が信じられないとでもいうように、何度も瞬きをする。
「え、えっ? い、いいの……!? ほ、本当に今から寄ってもいいの!?」
「もちろん。でも、夕食を作れなんて言うなよ。今日はお菓子とカップ麺のストックくらいしかないからな」
ほんの数秒のうちに、さっきの悲しそうな顔に代わって、彼女のあの満面の明るい笑顔が戻ってきた。
「やったあああああああ! 宇佐美くん、マジで最っっ高!!」
白川さんは飛び上がって喜び、爆発的な勢いで空中にパンチを繰り出した。
「よっしゃーー!!! レースゲームする! 今回は絶対に私が勝つんだから! のり塩味のスナック、いっぱい食べたいな!」
「はいはい。道端で叫ぶなよ、俺の鼓膜が破れるだろ」




