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超機械生命体アストライア  作者: 獅子王子(元桂ヒナギク)


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21/31

21.失踪人 後編

 宇宙船。

 恭子と雄一が現れる。

「うわ!」

 雄一はアストライアの巨体を見て驚いた。

「どういうこと? なんでアストライアが?」

「普段はここで保管してるのよ」

「どういうこと? 高木さん自身が変身してるんじゃないの?」

「違うよ」

「どう言う理屈なの? 教えてよ」

「説明すると長いよ?」

「じゃあいいや」

 恭子が操縦席に座る。

「高木さんってどこの出身なの?」

「ヴァルシア」

「それどこにあるの?」

「水瓶座」

 恭子が目の前のパネルを淡々と操作する。

 雄一は窓から地球を眺めている。

「お、マジで丸い」

「出発するよ」

 刹那、アルクビエレ・ドライブが始まった。

 一瞬だった。

 瞬きする間もなく宇宙船は乙女座へと辿り着く。

「ここは?」

「乙女座」

「もう着いたの!?」

 窓の外を見渡す雄一。

 空間の一角に機械仕掛けの惑星が見える。

「もしかしてあれがギアール?」

「移動するよ」

 恭子が時空移動装置を操作すると、二人の体がギアールの地上に転移した。

 そこは全てが機械でできていた。

 花も、草も、木も。

 ありとあらゆるものが機械だ。

 ちなみに水は機械液。

「ここがギアール……」

 雄一は初めての土地に感動を覚えている。

 その時だ。

 警報のような音が鳴り響いた。

 そして。

『警告。生命反応検知。排除します』

「え?」

 雄一が疑問符を浮かべる。

 遠くから足音。

 足音はだんだんと近づいてきて、その主が姿を現した。

 でかい。

 怪獣のようにも見えるが機械仕掛け。

 機械獣きかいじゅうだった。

「高木さん、なんとかできる?」

「しょうがないわね」

 恭子はスティックを取り出すとスイッチを押す。

 その瞬間、恭子はアストライアの姿になった。

 機械獣がいきなり電磁砲レールガンを放った。

 アストライアはすんでのところでかわし、ヴァルシアブラストを放つ。

 機械獣は爆発し、バラバラに砕け散った。

 アストライアは光に包まれ恭子の姿に。

「で、どこへ行けばいいだんろう?」

 恭子は辺りを見渡す。

「ん?」

 だだっ広い機械平野の奥に城のようなものを見つけた。

「あれは……」

 二人は城へ歩いた。

 近づいてみると、とても大きな機械仕掛けの城だった。

「こーんにちはー!」

 恭子がお笑い芸人の錦鯉の声真似をしながら扉を開けた。

「何しとんねん!?」

 雄一が突っ込んだ。

 中に入ると真っ暗だった。

「何も見えないね」

 その時、電気が点いて辺りが明るくなった。

 正面に階段。

 踊り場があり、そこで左右にわかれた階段。

 二人は階段を上がる。

 二階。

 踊り場の上の位置に扉がある。

 中に入ってみるとそこは玉座の間になっており、何者かが奥の椅子に座っている。

「よくぞきた、異国の旅人よ。私はこの機械惑星の王ギアールだ。して、この城に何か用かな?」

「単刀直入に言うわ。剛力 康太はどこ?」

「剛力 康太? なんのことだ?」

「とぼけないで!」

 恭子は山奥で見たデータのことを話す。

 するとギアールの王の顔に影が差した。

「つまり貴様は剛力 康太を取り戻しにきたと言うわけか」

 少々の間。

「お前たち、捕らえるんだ!」

 ギアール王の命令で兵士たちが二人にサーベルを向けながら囲む。

 だがその瞬間、兵士たちは一斉に倒れて気を失った。

 恭子がレイクローディを使ったのだ。

 一部始終をもう一度見よう。

 兵士たちがサーベルを向けて囲む。

 恭子が目にも留まらぬ速度で一人一人順番にうなじに手刀を入れて倒して行く。

 レイクローディ解除。

 そして今に至る。

「なんだ、何が起こった?」

 何が起こったのか理解が追いつかないギアール王。

 恭子はギアール王に向かって歩く。

「もう一度言う。剛力 康太はどこ?」

 ギアール王は怯える。

「えっと……えっと……」

 恐怖のあまりうまく喋れない。

「なんか言いなさいよ」

「えっと……人体改造研究所の実験室。そ、そこで最終テストをしているはず……」

「ではその人体改造研究所とやら案内してもらえる?」

「は、はい」

 ギアール王は恐る恐る立ち上がる。

「金田、行くよ」

 二人はギアール王についていく。

 そして研究所に辿り着いた。

 研究所の実験室。

 写真で見た剛力 康太が練習用ロボットと戦っている。

「やああああ!」

 康太はロボットの体に渾身の飛び蹴りを放ち破壊した。

「遅かったか」

 康太がこちらを振り返る。

「ギアール様……。その方たちは?」

 ギアール王は素早く康太を後ろに隠れた。

「助けておくれ。あいつら、ワシを」

「なんだかわからないけど、敵なんですね?」

「思う存分ぶん殴って構わん」

 恭子の顔が真剣な表情になる。

「康太くん、待って! 私はたちはお母さんに頼まれて連れ戻しに来たの!」

「お母さん? 僕にお母さんはいない」

「お母さんがいなきゃあなたは産まれていないわよ」

「……………………」

「いや、そうじゃなくて。あなたは学校でいじめられていた。だから肉体改造で強くなろうとしたのね。でも間違ってる」

 康太が何かに反応した。

「お母さん、あなたを待ってたのよ。一週間も」

「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ!」

「いーや、黙らないわ! お母さん、あなたからバイトに受かったって言われて、喜んだはずよ。なのに嘘ついてこんなとこ来て。お母さん、お父さんとも話して警察に相談してるのよ。あなた、どれだけの人に迷惑かけた思ってるの!」

「……………………」

「だから、お願い。戻ってきて」

「……!」

 理性を取り戻す康太。

「そうだ。僕は……」

 恭子の方に歩き出す。

「おい、何をしている康太!」

 康太は恭子の横につき、振り返った。

「もうお前の言うことなんか聞かない。よくも僕を騙してくれたな」

「くそ!」

 ギアールは逃げ出す。

 しかし、その先にはテレスが待ち受けていた。

「そう言うことだったのか」

「輝須さん!?」

 驚き戸惑う恭子。

 どうしてここに輝須がいる、と。

「君たちと別れたあと、あの建物を調べたんだ。そしたら長距離空間転移装置が隠してあるのを見つけてね。座標がここにセットされたままだったから、追ってきたんだ。流石に遠かったぜ」

「いやいや250光年!?」

 恭子が突っ込むのも当然である。

 しかしテレスは嘘をついていた。

 彼もまた、自身の宇宙船のアルクビエレ・ドライブで追いかけてきたのだ。

(超距離空間転移装置……そんなものがあの建物に。輝須さん、よく見つけたな)

「観念しな、ギアール王さんよ」

「う……」

 そこにポリシアの捜査員が駆けつけてくる。

 捜査員はギアール王を拘束しポリシアに連行する。

「ところでよ、あんたたちどうやって来たんだ?」

「ACRの超距離空間転移装置よ」

「なるほどね」

 雄一が小声で恭子に訊ねる。

「なんで嘘つくんですか?」

 それに対して恭子も小声で答える。

「私がアストライアってばれちゃうでしょ」

「ああ」

 納得。

「ん? どうした?」

 と、テレスが訊く。

「いや、なんでもないです」

「さてと」

 テレスは時空転移装置を取り出す。

「それじゃあ俺は一足先に地球に戻ってるぜ」

 装置を起動して姿を消すテレス。

「私たちも帰りましょう」

 二人は時空転移装置で宇宙船に戻り地球へと帰った。

 失踪事件は解決した。

 剛力康太も無事保護され、ギアール王も逮捕された。

 しかし。

 勘違いだけは、相変わらず解決していなかった。


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