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金林檎はおやつに含まれますか  作者: 佐々木勇二


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第五章 カエルという男、あるいは彼女が欲しかったもの

三日目の朝、街道に人が増えた。

山脈が近づくにつれ、同じ方向へ歩く人間が現れ始めた。巡礼者、行商人、あるいはエリィたちのように山を目指す者。それぞれが少し距離を保ちながら、同じ道を歩いていた。

その中に一人、男がいた。

年は三十代後半か四十くらいだろうか。背が高く、荷物は少なかった。毛皮の外套を着て、帽子を目深にかぶっていた。歩き方は速くも遅くもなく、ただ一定だった。止まらない。脇見もしない。まるで歩くことだけを長い間続けてきたような歩き方だった。

エリィはその男を、しばらく後ろから見ていた。

何かが気になったが、うまく言葉にならなかった。

「師」

「うん」

「あの人、前を見ていますね」

「みんな前を見て歩く」

「でもあの人は、前を見ているんじゃなくて、前しか見ていない感じがします」

ヴェルト師は少し間を置いた。

「目が届いておるな」と老人は言った。それだけだった。


男と言葉を交わしたのは、昼過ぎに宿場町で休んだときだった。

エリィが水場で水筒を満たしていると、男も隣に来た。革の水袋を持っていた。しばらく無言で水を汲んでいたが、男の方から口を開いた。

「山へ行くのか」

「そっちの方向には、行きます」エリィは答えた。「あなたも?」

「ああ」

それだけだった。会話が終わりそうだったが、エリィはもう少し気になった。

「山に何かあるんですか、あなたも」

「ある」男は言った。「お前たちは?」

「私もあると思います。まだよくわかっていないんですが」

男はエリィを見た。帽子の陰から、目だけが見えた。

「よくわかっていないのに行くのか」

「気になるので」

男は少し黙った。それから「変な子だ」と言った。

怒った言い方ではなかった。ただ事実を述べるような言い方だった。

「よく言われます」エリィは答えた。


男の名前はカエルといった。

どこから来たかは言わなかった。何をしていた人かも言わなかった。山へ何を求めるかも、すぐには言わなかった。でも同じ方向なので、結果的に三人で歩くことになった。

ヴェルト師はカエルを特に歓迎も拒絶もしなかった。ただ「道は一つじゃからな」と言って歩き続けた。

カエルは無口だった。話しかけなければ話さない。でも話しかければ答えた。エリィは時々話しかけた。

「この道、昨日より雪が固いですね」

「ああ」

「気温が下がってる」

「そうだな」

「靴が滑りやすくなりますね」

「注意しろ」

会話というより確認だった。でもカエルはちゃんと答えるので、エリィは特に不満を感じなかった。


事が起きたのは、その日の夕方だった。

街道から少し外れた場所に、小さな集落があった。道を間違えたのか、あるいは近道のつもりだったのか、エリィが地図を見誤ってそこへ迷い込んだ。

「あー……」

「迷ったのか」カエルが言った。

「少し」

「少し、ではないな」ヴェルト師が言った。

集落は五軒ほどしかなかった。人の気配はあったが、静かだった。その静けさは不気味というより、疲れ切った種類の静けさだった。

一軒の家の前に、女の人が立っていた。外套もなく、腕を抱えて立っていた。エリィが近づくと、女の人は顔を上げた。目が赤かった。

「旅の方ですか」

「はい。道を間違えてしまって」

「そうですか」女の人は少し間を置いた。「夜になります。よければ、中に入りませんか」

断る理由はなかった。

中に入ると、火がなかった。暖炉に木はあったが、燃えていなかった。部屋の隅に子供が二人、毛布にくるまって縮こまっていた。小さかった。四歳か五歳くらいか。

「火打石が、壊れてしまって」女の人が言った。声が少し震えていた。「夫が出ていったときに持っていったので……もう三日、火がなくて」

三日。

エリィはその言葉を一度だけ頭の中で繰り返した。

荷物を下ろした。内側のポケットに手を入れた。金属板が三枚、そこにあった。

赤みを帯びたもの。青みを帯びたもの。白いもの。

赤を取り出した。

「少し待ってください」

暖炉の前にしゃがんで、板を薪の上に置いた。何と言えばいいかわからなかったので、何も言わずに、ただそこにあってくれ、と思いながら板に触れた。

暖炉に、火が入った。

大きくはなかった。でも安定していた。消えない火だった。エリィがファイアで起こす炎より、ずっと落ち着いていた。

子供たちが毛布の中から顔を出した。

女の人が、声を出さずに泣いていた。

エリィは板を拾おうとしたが、板はもうなかった。火の中に溶けるように消えていた。

ああ、使い切ったんだ。

と思った。

残念とも思わなかった。もったいないとも思わなかった。ここで使うものだったと、ただそれだけだった。


外に出たとき、カエルが立っていた。中には入らず、外で待っていたらしかった。

「使ったな」カエルが言った。

「はい」

「あれは山のためのものだろう」

「そうらしいです」

「なぜここで使った」

エリィは少し考えた。難しい質問だった。なぜ、と言われると答えが出にくかった。

「子供が寒そうだったので」

カエルは黙った。

「他に理由は?」とカエルが聞いた。

「……火打石が壊れていて、三日火がなかったと聞きました。三日は長いと思いました」

「それだけか」

「それだけです」

カエルはしばらくエリィを見ていた。それから前を向いた。

「わからない子だ」と言った。さっきと同じ、事実を述べるような言い方だった。

ヴェルト師は少し離れた場所で空を見ていた。何も言わなかった。


その夜は集落に泊めてもらった。

女の人が薄いスープを作ってくれた。食材が少なかったが、温かかった。子供たちはスープを飲みながら少し元気になって、エリィの外套を触ってきた。

「おねえさん、どこから来たの」

「北の方の聖堂から」

「せいどう、って何?」

「教会みたいなところ」

「きょうかいって何?」

エリィはどう説明しようか考えて、「神様に関係するところ」と言った。

「かみさまって何?」

「…………」

「エリィ」ヴェルト師が珍しく助け舟を出した。「子供の問いは底がない。答えを出そうとするな」

「でも聞かれています」

「そうだな」老人は子供を見た。「神様はな、どこにでもいる」

「どこに?」

「今ここにも」

子供は首を傾げた。「見えない」

「見えないものはいないのか」

「……いるの?」

「お前が今日食べたスープに、三日分の母親が入っておる。見えるか」

子供は考えた。それからスープを見た。「……見えない」

「でも、あるだろう」

子供はまた考えた。それからこくんと頷いた。

エリィはその様子を見ながら、ヴェルト師がたまに時々、こういうことをする人だということを思い出した。


夜、カエルが話した。

火のそばで、スープを飲み終わった後、女の人と子供たちは奥の部屋へ行った。残ったのはエリィとヴェルト師とカエルだった。

「山に行く理由を聞かれたな」カエルが言った。

誰も聞いていなかったが、エリィは「聞いても構いません」と言った。

「妻がいた」カエルは言った。「二年前に死んだ」

「……そうですか」

「山に行けば、戻せると聞いた」

「戻せると?」

「昔話に、そういうものがある。山の頂に至った者は、失ったものを取り戻せると」

エリィは暖炉の火を見た。赤い火だった。

「病だった」カエルは続けた。「長い病で、最後は苦しんだ。俺にはどうにもできなかった」

「…………」

「だから山に行く。どうにかできる力を、そこで得る」

話し終わると、カエルは火を見た。

エリィもしばらく火を見た。

それから、口を開いた。

「一つ、聞いていいですか」

「何だ」

「奥さんは、戻りたかったと思いますか」

カエルが顔を上げた。

エリィは火を見たまま言った。「怒らせたいわけじゃないです。ただ気になって。奥さんは戻りたがっていましたか。あなたが戻してあげたいと思っているのはわかるんですが、奥さん自身の話は、聞いたことがありましたか」

部屋が静かになった。

暖炉の火が、低く燃えていた。

カエルは何も言わなかった。

エリィも何も言わなかった。答えを待っていたわけではなかった。本当に気になって聞いただけで、答えはカエルにしかわからないことだった。

「わからない」カエルがようやく言った。

「そうですか」

「……聞いたことがなかった。そんなことを、聞く前に死んだ」

「そうですか」

「おかしいか」

「おかしくはないと思います。聞ける状況じゃなかったんでしょう」エリィは言った。「ただ、わからないままで山に行くんですね、という話です。それがダメだとは思いません。でも、わからないことはわからないまま持っていく方が正直だと思うので」

カエルはしばらくエリィを見た。

それから低く言った。「子供みたいなことを言う」

「子供なので」

「……そうだな」

それで会話が終わった。

カエルは毛布にくるまって目を閉じた。眠れているのかどうかはわからなかった。

エリィはもう少し火を見ていた。

特に何かを考えていたわけではなかった。ただ火が落ち着くまで、そこにいた。

ヴェルト師が隣でぽつりと言った。

「エリィ」

「はい」

「お前は正確だな」

「そうですか」

「ああ」

老人はそれ以上言わなかった。

エリィは何が正確なのか、よくわからなかった。でも問い返すより眠い方が勝ったので、毛布を引き寄せて横になった。

腹が鳴った。スープが薄かったのを思い出した。

でもそれくらいは、なんとかなる、とエリィは思って目を閉じた。


翌朝、出発のとき、女の人が食料を少し持たせてくれた。

「たいしたものじゃないですが」

「ありがとうございます」エリィは受け取った。

「昨日の火……」女の人は少し躊躇ってから言った。「消えなかったんです。今朝も、まだ燃えてて」

「そうですか」

「なんで消えないんだろうと思って」

エリィは暖炉を見た。赤い火が、静かに燃えていた。

「わからないです」エリィは正直に答えた。「でも消えなくていいんじゃないですか、今は」

「……そうですね」

外に出ると、カエルが待っていた。

何も言わなかった。ただ、同じ方向へ歩き始めた。

エリィもヴェルト師も、それについて何も言わなかった。

三人で、また山の方へ歩き始めた。

空は晴れていた。

金属の音は、今日は最初から聞こえていた。


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