207. 義妹の消息を追って見たら
“なぜ山”
――早押しクイズ
ドラゴンは普段どの辺にいるのか気になっていた。ゼクスから漏れ聞いた話を総合すると、そこそこの数はいるはずで、タカマノ帝国で定期的に狩られてしまう下位龍がいることを考えても、大山脈に多くのドラゴンが生息しているのだろう。
チユに渡したブレスレットの座標を確認すると、推測通り大山脈の上の方にある。人間では到底到達できないところだ。
あのあと、結局、タカマノ帝国ではなく、ドラゴンの保護下に入ったようだ。考えれば当たり前のことではあるが、チユに会いたくても、向こうが降りてくるのを待つしかない。ある程度、座標が下になったらアラートが上がるように設定する。運が良ければ会えるだろう。
チユに会えれば、何かことを起こすときにドラゴンを静観させたり、うまくいけば力を借りたりすることが出来るかもしれない。
朝の掃除が終わって朝食を採ったあとに、神殿の読書室で本を読みながら、考える時間を設けていた。
「豪華ではないけど美味しいご飯に、暇潰しとしての読書……これで住民が頭悪いわけないよね」
しばらくヴァルハー神国に住んでみての感想だった。マリアに話を聞いてみると、こういう状況になったのはつい一年ほど前のようだ。ちょうどギヨームが神官になった時からいろんな制度が変わり、住民は住みやすく、参拝客は楽しく滞在出来るように、そして、神官は『神威』を使うことが出来るようになったそうだ。
それまでの生活は最低とは行かないまでも今よりずっと厳しく、冬には毎年餓死寸前になっていたらしい。それが状況が一変し、住民たちも勉強をするようになった。ヨゼフ以外の子供もみんな本が好きで、読んでいる内容も冊数も明らかに多かった。
「ギヨームは明らかに異質……それはつまり転生者である可能性が高いんだよね」
現在、この世界に生きている転生者だと確認または推測しているだけでも5人。千聖、チユ、ユキ、玉藻、そしてギヨーム。決して珍しい存在ではないということなのだろう。
異世界から召喚する魔法はデザルト王国の一子相伝のスキルかと思っていたが、別の方法で召喚されることもあるということだ。約千年前に召喚された玉藻、5年前に転生したチユ。それにギヨーム。
「ここで情報不足か……」
色んな情報収集手段を持っているが、どうもうまく活用できていない気がする。
「『掲示板』で聞いてみたら何かわかるかな」
ずっと、このスキルを使うのを躊躇っていたが、よく考えたら千聖の身バレがあるはずもなく、単に頭のおかしい人と思われて終わるだけだと結論付けた。
「よし」
書き込む内容はこうだ。
『今、異世界にいるんだが、何か聞きたいことある?』
掲示板では有名なテンプレートだ。こちらからの質問にしなかったのは、まずは掲示板を見ている人に本当に異世界に居るんだと思わせたかったからだ。
「あれ……?」
今確認すると『掲示板2』になっていた。書いてあることは2がつく前と同じだが。
「もしかして、レベルアップした?」
急いで【レベル】タグを確認するも、まだ『1』のままだった。千聖は知っていた。何もしてないのに壊れることはあっても、何もしてないのに直ることはないことを。でも、がっくりと膝をつく。
「本格的にデバッグしようかな」
幸い、今の千聖には時間だけはたくさんある。急いでもクルトを助けるだけの力がないのだ。回り道でもなんでもやってみるしかないのだ。レベルが上がればプログラムをしなくても新しい能力が手にはいるかもしれない。
既存の『上書き』スキルから考えると期待されるのは『継承』とか『実装』辺りだろうか。あとは貰ったとしても使い処がわからない『多重定義』とか。
特に『継承』を取れたら非公開メソッドまで一緒にコピーできるので、今までのコピペと比べたら、何段も上のレベルで能力の行使が可能になる。レベルをあげるための苦労もする価値はあるだろう。
だが、今まで時間をかけても成果が出ていない。それと比べたら神代文字を読める人を探し、あの古い書物を読めるようにした方が成果が出るかもしれない。
あとは情報収集の貧弱さを何とかするのも必要だ。
こうやって考え直すと必要なことは山積みで、そのどれもが簡単には終わらないことばかりだった。そうなると優先順位をつけて、一つずつ終わらせるしかない。
「まずは掲示板に書き込みしようっと」
千聖は掲示板に書き込みをした。何らかの反応が返ってくるだろうか。それともこのスキルはハズレスキルなのだろうか。
掲示板連動開始です。
■対話型掲示板連動告知
>千聖の閲覧範囲
千聖が掲示板を閲覧している時間は決まった範囲があります。範囲時間外の投稿は閲覧していません。
また作者の投稿も閲覧していません。
閲覧時間:
2018年12月09日 0:00~2018年12月16日 23:59
対象掲示板:
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1171390/blogkey/2187628/
>千聖の投稿
千聖の投稿は作者が代行します。以下の書式で投稿された発言は千聖が発言したものとして扱ってください。
【サブタイトル】は千聖が今ストーリーのどこにいるかを表しています。
以下の書式に沿わない作者の投稿は、作者自身の投稿です。
書式例)
千聖「(発言内容)」【サブタイトル】
投稿例)
千聖「今、異世界にいるんだが、何か聞きたいことある?」【207. 義妹の消息を追って見たら】
※個々の投稿への返信は千聖の状況によります。
>千聖の行動への反映
知り得た情報は千聖の判断により逐次行動に反映されます。どの投稿の情報を元にしたのかは、初回に限り出来うる限り描写します。
ただし、文章そのものや名前は出しません。
>御願い
お気軽に参加してみてください。
感想と比べると名前が出ちゃうのでハードル高いとは思いますが……。
■用語解説
>高原国の東<
巨大な山脈が連なっており、それを越えてもまた山脈があります。昔話では山脈を越えた先には巨人の国があるとか。
>継承<
親クラスの機能をすべて受け継ぐことで、子クラスのプログラムを少なくさせる機能です。多重継承が実装されているプログラム言語は少ないのですが、interfaceよりは便利かと思います。
>実装<
Javaは多重継承を禁止されているのですが、interfaceを使うとメソッドを持つことを強制できます。ただし中身はクラスで書く必要があります。何が便利かというと……何が便利なんだろう……。




