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大麻のデマを考える 大麻の本当の真実(第一弾)  作者: ストップ大麻デマ!ボランティア
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省略三段論法の恐怖:大麻は水や砂糖より安全だから禁止するのはおかしい

『大麻は砂糖や水より安全だ。ケーキ禁止されたらみんな怒るでしょ』


んー。これ最初に言いはじめた人は自分でおかしいと思わなかったんですかね?食品と大麻を比較するようなこういうお馬鹿な質問に逐一答える必要は無い!とこのエッセイを書き始めた頃の過去の自分は思っていました。一部の推進派は大麻依存になってしまっていて、無理筋な質問でも妄想で良い質問に見えてしまうのだろうと。


でも、意外とこの手の大麻推進派のコメントはしつこいほど多くて、よく観察すると意外にも反論や反発は散発的で、受け入れられているような感じさえあります。真正面から跳ね返そうとすると食品の規制や健康問題にも薬物規制にも精通していなければならないし、だからこそ説明が長く難しくなるから読者がわかりやすいような反論を書くのも大変で、論破できても美しくない。論破損というやつだ。


結論から書くと、この手の話は、省略三段論法というレトリックが使われている。敢えて言えばダマシのテクニック。とても厄介で危険だ。


省略三段論法とは、三段論法のうち、前提となる条件を省略して、前提条件がおかしくてもそれっぽく見せるレトリックです。簡単なので是非明日から濫用してみてください。私はそんな人を見つけたら軽蔑しますけどね(これもレトリック。レトリック自体は悪くありません。科学の議論の中で使うのは悪ですが)


ではさっそく、まず、有名コマーシャルに感化された私の世界観を三段論法にします。


①不完全なものをより良く改善できることは素晴らしい。

②この世界はろくでもなくて不完全でどうしようもない。

③この世界は素晴らしい。


この状態だと普通の論理的な文章です。前提となる①②がはっきりしているから改善するのは面倒で楽しく無いとか、神が作った世界だから完全だとか、前提の部分を議論しやすいですね。


では、前提を省略してみましょう。


①省略

②この世界はろくでもなくて不完全だ。

③だからこの世界は書いて素晴らしい。


いいですね。この素晴らしいろくでもない世界に乾杯。味があります。文学的で前提がわからない分、読者側で前提を想像させるわけです。こうしてしまうと、「は?なんで不完全なのに素晴らしいの?素晴らしい基準は何?」と尋ねない限り議論はできません。しかも、ヒトは自分で推測した理由は自分で否定し難くい性質を持っています。これだけでも結構厄介です。


さて、スパイスとして省略三段論法に比較を入れましょう。まずは普通の三段論法から。


①異世界は交通事故が発生しないから安全だ。

②この世界は交通事故が起こるから危険だ。

③異世界とこの世界を比較したら異世界の方が安全だ。


ん?この三段論法はおかしいですね。これは意図的にそうしてます。誰にとって安全かも書いていないし、何の指標の比較なのか明確でなく、ツッコミどころ満載です。交通事故がなくても魔獣に襲われるかもしれません。


さて、省略します。

①異世界には交通事故は無い。

②省略

③だからこの世界より異世界の方が安全だ。


一気に議論がしにくくなりました。これを更に別の省略三段論法の文章と組み合わせます。前提ももっと省略できそうです。


①省略(異世界には交通事故は無い)

②省略(この世は交通事故が起こるから危険)

③この世界より異世界の方が安全だ

④省略(どんな人も安全な世界へ転生したい)

⑤異世界転生できないとみんな悲しむ


→この世界より異世界の方が安全だ。異世界転生できないとみんな悲しいでしょ!


すごく乱暴で稚拙なことしてるように思いますが、このページの冒頭のコメントに戻りましょう。


『大麻は砂糖や水より安全だ。ケーキ禁止されたらみんな怒るでしょ』


同じ構造ですね。では、省略部分を展開します。


①省略(大麻での直接的な死亡はほとんど無い)

②省略(砂糖の取りすぎによる生活習慣病などの二次的死亡者数は多いし、水も大量に飲めば理論的に死亡する)

③大麻は砂糖や水より安全だ。

④省略(砂糖みたいな大事な食品を禁止されたらみんな怒る)

⑤ケーキ禁止されたらみんな怒るでしょ。


省略部分は想像ですが、省略部分を展開したらいろいろツッコミどころ満載なんです。別パターンの展開。


①省略(大麻には精神依存はあるがタバコより弱い)

②省略(近年、砂糖中毒という現象があることが報告されている。水中毒という言葉もなんか流行った)

③大麻は砂糖や水より安全だ。

④省略(禁止するかどうかは依存性の有無だけで決めるべきだ)

⑤ケーキ禁止されたらみんな怒るでしょ。


省略部分を展開すれば、①②と③の間のところで論理の飛躍があるとわかるし、砂糖は依存があっても必須の食料品だから規制するなら摂取量の目安の設定でしょう、とか誰でも一蹴することができる。


※砂糖中毒については以下の文献参照

糖分も含めて高カロリー食品では、報酬系が働き依存に似た状態となることが動物実験でわかっていて、おそらく人間でもそうだと考えられている。

Sugar Addiction: From Evolution to Revolution

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6234835/


さて、省略しすぎて文学の世界に行ってしまった表現として他にどんなものがあるか見てみましょう。この手の質問を集めて並べ、分類、分析する。つまり俯瞰ってやつ。


以下は見たことある推進派の意見をもとに今自分で適当に思い出しながら考えた。根拠の無いデタラメです。また、タバコ、アルコール、大麻、LSDなどでも同様の質問、コメントは多かったので一部タバコやLSDとかの例も入れています。大麻入れ替えても文学的に成立する問いだけどね。


(食品、生活習慣比較系)

・塩分の取り過ぎによる生活習慣病による死亡は大麻による死亡より多い。

・大麻による健康リスクを気にするくらいなら食物添加物を気にした方がいい。

・砂糖には依存性があり様々な疾患を引き起こす。大麻の依存性は弱く大麻による死者はゼロ人だから大麻は砂糖より安全。

・ダイエットは害があるが、大麻には害が無いから禁止するのはおかしい。

・水を大量に飲むと死ぬ。大麻による死者は無いから大麻は水より安全。


(規制が緩い薬物と比較系)

・大麻はアルコールより安全

・大麻はタバコより安全

・大麻は危険ドラックより安全


(スポーツ競技系)

・幻覚剤のLSDの事故で死亡するリスクは馬術競技より少ない。規制するのはおかしい。

・大麻で死亡するリスクは柔道などの学校競技で死亡するリスクより少ない。


変形だが、直感的に下記のようなものもなんか省略されている匂いがする。


(長期的なリスクに対する年齢系)

・60歳以上ならみんながんになる。だから高齢者は禁煙しなくていい。

・リスクはあっても高齢なら大麻許可していいんじゃない?長期的な健康への影響少ないだろうし。


あとはもうなんだかなという破れかぶれ。


(トンデモ、ナンデモ系)

・なんでもリスクがある。大麻くらいでピーピー騒ぐのは製薬業界の陰謀だ!

・自殺は禁止されていない。大麻を禁止するのは横暴だ。


これらを俯瞰してみてまず気がつくことは、比較や影響の評価を示す言葉なのに、『定義』や『対照群』、『情報源』の記載が無いことだ。医療系や理系の研究室なら、反射神経的に、どこ情報?、何と何をどの条件で、どの集団に何の評価項目を設定してどんな解析方法で比較した場合?、と袋叩きにされる。ゴットと仏どちらが慈悲深い?と訊いているのと変わらないからね。質問が悪いとはこのことを言うのだろう。


また、次に思うのは、大麻の有害性を過小評価していることだ。過小評価する手立ては様々だが、大きくわけて3つほど手段があるようだ。


①統計の誤った使用(直接的な影響と間接的な影響の比較など)

大麻では直接的な死亡例が大変稀なので、大麻による直接的な死亡(そして0と誇張)と何かの間接的な死亡と比較することが多い。このエッセイで度々書いてきたように、大麻は運転機能に影響し、実際事故も飲酒運転並みに起きている。


②一般的結論の特殊な集団への間違った適用

高齢者のような特殊なグループを持ち出す場合もある。発がんのような話だと、一見そうかなとも思えてしまうが、別の疾患(COPDなど)などの発生や発がん後の予後などの別の指標を全く無視して結論づけているところが誤っている。また、高齢者や小児など特殊な集団は、成人全体と比べてそれ特有の危険があるから一般的な成人だけのデータでは不十分だ。例えば、アルコールの肝機能への害で言えば、高齢者など腎機能や肝機能が低下した人への影響は成人より大きい(あたり前すぎるけれど)。


③よくわからない比較対象を持ちだす

そもそも比較対象としているリスクそのものが正しく捉えられていない。というか、読む側も知るわけないじゃん。『薬物の話してるのになんでスポーツとか食品とかでてくるんだよ。』と、薬物の専門家は思って困惑するだろう。まして、一般の人なら『あれ、そうなのかな』と思ってしまうかもしれない。食物添加物にはもちろん規制があってヒトへの影響はコントロールされているし、食料品でも例えばコンニャクのゼリーには高齢者や小児への注意が記載されています(外国では禁止だ)。砂糖や塩分には摂取量目安がありますし、スポーツ事故を防ぐための取り組みも、事故対策推進事業など沢山あります。


では、トンデモ系の質問について考えて行こう。なんでもとか、自殺、水、空気みたいな極端な例を持ちだすのが特徴ですね。


(トンデモ、ナンデモ系)

・水を大量に飲むと死ぬ。大麻による死者は無いから大麻は水より安全。

・なんでもリスクがある。大麻くらいでピーピー騒ぐのは製薬業界の陰謀だ!

・自殺は禁止されていない。大麻を禁止するのは横暴だ。


トンデモ系の質問には何が省略されているのでしょうか。( ) 部分が省略された箇所です。


・なんでもリスクがある。(なんで薬物規制をしているの?)大麻くらいでピーピー騒ぐのは製薬業界の陰謀だ!

・自殺は禁止されていない。(なんで自殺は禁止されていないの?)大麻を禁止するのは横暴だ。


ちょっとわかりにくいかな。前提条件の代わりに答え難い質問が背後に隠れているんですね。なんで殺人はいけないの?


ちなみに、自殺は犯罪ですが法律で保護される対象が自分自身なので罪には問われないです(諸説あります)。薬物規制は、日本国憲法で政府は国民の公衆衛生を守る努力をすることが規定されているから行われています。数ある有害な薬物の中で特に乱用されるような薬物については大麻のように特別に指定されて禁止されています。



レトリック、こいつにどう戦っていくか。結構厄介です。






長くなってしまったので二つに分けます。

次もレトリックの話と、その対策を書く予定です。

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