一年課題
次回は土曜日12時だと思います。
ドン!!
戦いが終わり、控え室に戻ったディーノは壁を殴りつけた。
「くそっ! (魔力がもうない、咄嗟に刺にしたけどあれが精一杯だった……あそこで試合が終わらなかったら負けてた!)
ディーノの魔力はもう残りわずか、最後の場面で刺を首筋に置くことができたがあれが竜人族の肌に通ったかは分からない。
己の負けを悟りディーノは苛立ちを覚えないはずがなかった。
しかしトラゴに対しての怒りではなかった。
トラゴが周りを弱者弱者と見るのは確かにあの実力があれば当然なのかもしれない。
それでもあの言動を許すことはできないが…
それよりもトラゴに後手後手に回ってしまい、魔力配分も戦略も上手くできなかった事への怒りが強い。
相手を過小評価し、無駄に魔力を使ったり、使わなかったりで上手く戦えなかった。
そのことでディーノは苛立っていたのだ。
そんな時に教師から呼び出しがかかった。
フィールドに出て欲しいとのことでディーノは苛立ちを整理できてはいなかったがとりあえず言う通りにした。
フィールドに出ると反対側にはトラゴが居た。
二人は互いを睨みつけているとフィールドの中央にマイクのようなものを持った校長がディーノ達とは別の入口から入ってきた。
「皆さん! 二人の戦いはいかがだったでしょうか? 特待生の名に恥じないものだったではないでしょうか?」
その声に観客席から不満が出ることはなく、無言だが周りが認めているのだとディーノは考えた。
「皆さん不満はないようですね。 ではこれにて正式に二人は特待生となりました。 これで新入生会を終わり……なのですが」
そこで校長は口を止めた、それにより全校生徒は校長に注目する。
「ここで三年生の一年課題について話したいと思います」
校長はそう言うと説明を始めた。
「まず一年課題というのはですね。三年生の皆さんにこの一年間で授業以外にやってもらうことです。 毎年内容は違いますが難度はかわりないはずです。 それをクリアして初めて卒業試験を受けれるようになります。」
この言葉に三年生、俺もおそらくトラゴも校長の言葉を聞き逃さないようにする。
「では内容について説明しましょう。 と言っても今年は単純明快です。 良かったですね。」
校長はニコニコと表情を初めて見た時から崩さない。
そして気になる課題を発表した。
「内容は……パーティーを作ってください」
「……へ?」
誰かの思わず出てしまったであろう声が響く。
それは全校生徒の気持ちを代弁……してはいなかった。
「パーティーは二人以上なら何人でも構いません、メンバーが決まり次第教員室で届けを出してください。 それで課題は終了です」
校長が説明を終えると退場した、それを見て教師たちが生徒の誘導を始めた。
今日はこれで終わりなので皆、寮だったり自宅へと向かい始める。
その光景を見ながらディーノは課題について考えてた。
(パーティーを作れという課題、作るだけなら簡単だがそれを課題にするってことは……)
別の場所でも同じように課題について考えているものは大勢いた。
「課題簡単で良かったですねお嬢様!」
「そんな単純なことではないわよソニア」
「―どういうことですか?」
「あとで説明してあげるわよ」
(パーティーを作らなければ卒業試験を受けれない、ということは試験はパーティーで受けるということ……)
「あの二人のうちどっちに行くイブ?」
「んー? 部屋に帰ってから考えるっすよ しかしあの二人は悩むっすよね」
「だろうな。 自分のスタイルに合った味方を吟味しないといけない。 面倒この上ないな」
(パーティーで何かをやる以上連携の向上は必須だとすれば……)
間抜けな声を上げた生徒やこの課題を難しいものではないと考えている生徒以外はすでに動き始めていた。
友人だったり、ルームメイトだったり親しいもので役割の合うものに声をかけ始めていたのだった。
(((これは早い者勝ち、争奪戦か)))
そう、生徒の人数には限りがある、兼任などできない以上優秀な人材は早い者勝ちとなるのだ。
その筆頭候補は特待生の二人、そして進学試験での上位陣となる。
進学試験で苦労した生徒たちはこぞって上位陣に声をかけるだろう。
では上位陣は楽かと言われれば違うだろう。
多くの声が掛かる中、自分のスタイルに合ったメンバーのいるところをしっかりと見定めなければいけない。
いくら実力があっても連携がモノを言う集団戦などでは戦闘スタイルや性格が合わなければ本来の実力が発揮できなくなる。
上位陣たちはしっかりと人を見る目が必要になってくるわけだ。
ディーノはこれからかかるであろう声をどうしようかと考えながら帰路についた。
オーバーウォッチのベータで遊んでたら遅れるところだった




