エゼール
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今日は始めて父の仕事場に行けることになった。
最近では体を動かすことに不自由はなくなったし、やっと普通に喋れるようになった。
まだ言葉のズレに慣れてなく間違えてしまうこともたまにあるが、まぁ問題なく喋れている。
こうなってくると心に余裕ができたのかまた聞きたくなることが多くなってくる。
で、その中の一つが父の仕事というわけだ。
勉強をしているときは、見たこともない世界の知識を集めることに夢中になっていて気にもとめなかったが、ある時ふと聞きたくなったので聞いてみたのだ。
いつもと変わらぬ、家族が揃った晩ご飯の時間、あたりは暗くなり、家の中もどんな原理で出来ているかはわからないが光っているランプのような光源がなければ足元を見るのも難しくなるような食卓。
並ぶ料理はいつもと変わらず、パンとサラダ、スープに塩味の効いた豚肉のバランスのいい食事だ。
母と父が笑顔のまま今日起こったことや噂の話をしていて、その話を俺はパンを頬張りながら聞いていたのだが、口に入れたパンをスープで流し込むと自然と口から質問が出た。
「ねぇお父さん?」
「ん? なんだいディーノ? 何か勉強でわからないことでもあったのかい?」
「お父さんってなんの仕事してるの?」
「仕事? あぁ、ディーノには話したことがなかったか?」
父は母との会話を中断して俺の疑問に答えてくれた。
「私はね、冒険者ギルドで働いているんだ」
「冒険者ギルド?」
俺は今まで地球のフィクションの中でしか聞いたことのない職場に困惑し、どんな仕事かも朧げながらでしかわからず疑問符を上げた。
「ああ、そこでベスティアのクエストの発行とか、若造どもに訓練をしてやってるのさ」
「お父さんはね、元々はエゼールでとっても強い軍人さんだったのよ」
「エゼール?」
俺はまた出てきた新しい単語に頭を混乱させた。
「エゼールっていうのは、人族の軍のことだよ、ディーノ」
「私はエゼールでそこそこ名の通った軍人だったけどある軍の任務の時にアニェーゼと出会ってね。それで軍をやめてね。あの時は親に怒られたもんだよ……」
昔のことを思い出しているのか時々青い顔しながら考え込んでいる父を尻目に母がそのあとの言葉を継いだ。
「で、今は冒険者ギルドで働いて、私たちの生活を支えてくれているのよ」
俺は母の言葉を聞き、好奇心に目を輝かせながら父にお願いしてみた。
「お父さんの仕事場に行ってみたい! いいかな!?」
父は意識をこちらに戻し、俺に答えた。
「う~ん、どうかなぁ? 子供が来ても面白いとこではないし、ギルドが許してくれるかなぁ?」
父は俺のお願いに前向きだが母は違ったようだ。
「もう、あなたはディーノに甘すぎです! 職場の人に迷惑をかけるかも知れないし、何でもかんでもお願いを聞くのは間違いじゃないですか?」
「まぁそう言うなよアニェーゼ。 私だって、お願い全部を聞くわけじゃないさ。 でもディーノのお願いはあれが食べたい、これが欲しいって物をねだってるわけじゃないんだから叶えてやりたいじゃないか。」
「でも職場の人に迷惑をかけるのは良くないことじゃないですか? それに冒険者の中には粗暴な者もいますし、ディーノが怪我することがあったらどうするんですか?」
「ははっ、アニェーゼもなんだかんだ言ってディーノが心配なだけじゃないか!」
父は笑いながら母をおちょくると、母は豚肉をナイフで切りながら言った。
「おちょくらないでください。で、どうするんですか?」
「ギルド側の了承が取れたら連れて行こうと思っているよ。あいつらもバカは多いが愚か者は少ないからな、大丈夫だろう。」
「それに冒険者のことなら君がこの中で一番わかってるんじゃないか?」
「まぁ…… そうですけど……」
「んぐっ お父さん、どういうこと?」
俺は父と母の討論を尻目にご飯を食べていて、切り分けた最後の豚肉を飲み込み、フォークをテーブルに置いてから父に聞いてみた。
「母さんは昔、冒険者でな、男女問わずに結構人気があったんだぞ」
「昔の話です。ディーノは気にしなくていいのよ。 それで話を元に戻しますけど、ギルドの了承が取れたところでディーノを一日中面倒見れるわけ無いでしょ? そこはどうするんですか?」
「ああ、ディーノには昼ご飯の時間に帰らせるよ。 途中まで私が送ってね それでいいかいディーノ?」
「うん!大丈夫だよ」
「はぁ… もういいですけど、ギルドの了承が取れての話ですからね」
「はぁい」
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あの会話の後、俺は食器を流しに片付けて部屋に勉強の続きをしに行った。
さっき会話に出た冒険者ギルドという職業やエゼールのことが本に書いてないかなと今まで読んだ本も引っくり返しながら探してみた。
ギルドのことはわからなかったがエゼールのことはほんの少しだけわかった。
エゼールは人族の軍隊のことで、主に王族警護や王宮守護が仕事らしい。エゼールの中にはネディラという魔法使いの部隊がある。
こちらの仕事もエゼールと同じだそうだ。
ネディラ以外のエゼールは地球で言う中世ヨーロッパの軍隊のようだという印象を受けた。
騎士甲冑を身に纏い、ベスティアを討伐するのかな?
エゼールになるには試験がいるらしい、どんな人間でもなれるというわけではなさそうだ。
そんな軍の中にいて、自称だがそこそこ人気のあったという父はなぜこんな田舎町にいるのだろうか?母と結婚しても王都で王宮警護の仕事をしていればいいのに……
疑問は尽きないが今日はもう寝ることにしよう。
いつギルドに行けるようになるかはわからないが楽しみだ。
ストックが少なくなってきた……書かなきゃ(使命感)




