ローブ
次回は日曜日12時です。
昼前の時間、俺は今回も含めて計三回目にもなる学園の受付に訪れていた。
前回の試験終了後に五日後来るようにと言われていた約束のためだ。
あの試験の後、合格とも不合格とも言われず帰ることになったのだが帰ってからも自分がどうなったのか不安であまり寝つきが良くなかった。
そのため目の周りにクマができてしまったほどだ。
しかし今日を持ってそんな日々も終わるだろうと俺は考えていた。
おそらく、今日合否の発表があるはずだ、心して聴くことにしよう。
俺は意を決して受付の人に話しかけた。
「すいません ディーノですけど言われた通りにきました」
「はい、もうすぐ係りの者が来ます 奥の部屋でお待ちください」
受付の人は俺が目の前で深呼吸をしている間に色々と用意を済ませていたようだ。
受付の横の扉から中には入り、案内されたように奥の部屋に入る。
中には簡素な机と椅子が置かれているだけの部屋だった。
俺が座って数分もしないうちに俺が来るたびに案内してくれた人が入ってきた。
「やあディーノくん 五日ぶりだね」
その人は両手に何かを抱えて部屋に入ってくるなり俺に話しかけてきた。
「あ、はい えーっと」
「ああ自己紹介がまだだったね 私の名前はジェラルド ここの学園で教師をやらせてもらっている」
「ジェラルドさん…… 試験ではお世話になりました」
俺は試験中お世話になったこの人に礼を言うことにした。
「いいさ 役目だからな それにこれからここの生徒になるんだ そういう堅苦しいのはそれからでいいよ」
「え! ってことは!」
「ああ 君は今回の特待生試験、合格だ」
「――っしゃあ! 良かった〜!」
俺はジェラルドさんの言ったことを噛み締め、喜んだ。
第二試験で勝ったし、大丈夫だろうと思っていても不安は隠せなかった。
それがいま実際に合格と言われると肩の荷が下りたような気分だった。
「喜んでいるとこ悪いんだが話を続けてもいいかな」
ジェラルドさんは俺の行動を止め、話をしようとした。
俺はジェラルドさんの言葉で冷静になると自分が人目もはばからず喜んでいたのを少し恥ずかしくなり頬染めて椅子に座った。
「さてディーノくんは特待生魔法科の試験に合格したのだが入学は次の人の月の1日だ その日に新入生会とは別に全校集会が行われ、その時にお披露目という形になる」
「? お披露目……ですか?」
「ああ みんなの前に立ち、特待生がどんな人物なのかというのを教えるのさ その時ディーノくんにはみんなの前で自己紹介……まぁちょっとしたスピーチのようなものをやってもらう」
「うぇ! そんなものやるんですか!」
(みんなの前でスピーチとか……確かに小中高の入学式でそんなことやってる奴らはいたけど……俺はやったことはないぞ!)
「あの…なんか決まり文句っていうか代々こういうの言ってますよ〜みたいなスピーチの参考になるものとかってありますか?」
これは高校の友達に聞いた話がだこういうものには基本となるものが有り、それを少しアレンジして使うことで作りやすくしていると言っていた、だから俺はここにもそういうものがあるんじゃないかと期待したのだが……
「残念だが特待生用のそういうものはないな、他のならあるんだがなぁ」
「えー!! ないんですか!?」
「まぁ特待生なんて滅多にでないし、歴史上の特待生はどれもこれもあくが強くてスピーチは独特すぎるんだ まぁ心配しなくてもその場のノリで行ってもらっても大丈夫だから心配しなくていいよ」
ジェラルドさんはニッコリとしながらオレに言うが俺には胃が痛くなるような思いだった。
「さて次に行こうか 次はこれだな このローブを受け取って欲しい」
ジェラルドさんは机の上に置いた荷物の中からひとつ引っ張り出し、俺に渡した。
渡された茶色のローブを広げるとそこには左胸の部分に学園の証が入っていて両肩には黒と金色のラインが入っていた。
「これは?」
「これは学園生の証でもあり、制服の代わりでもある」
ジェラルドさんはそこでひと呼吸おいたあと説明を続けた。
「このローブは制服が出来ない代わりにできたものでね 生徒一人一人の身体的特徴が違いすぎるから制服は無理、ならローブならなんとかなるだろうということで作られたんだ 杖と剣が交わるように描かれている左胸の紋章は学園を表している 両肩の金のラインは特待生の証、黒のラインは来ている人物の得意属性を表すんだが君は全属性とのことだから黒になったんだ」
「へー(なるほどな ここはいろんな種族の生徒が来る場所だから制服だといろいろ支障が出るのか)」
俺は視線をジェラルドさんからローブに戻すとまたジェラルドさんは話を続けた。
「ローブの理由はもうひとつあってね三年生にもなると自分の装備ができてくる 武器科だと防具なんかを着ることになるから制服だといちいち着替えるのが面倒なんだ だからこそのローブってわけなんだよ」
「なるほど……」
「まぁローブについてはこれからは外出するときは必ずそれを着るようにして欲しい それは身分証明の代わりにもなる あと無くさないようにね」
「なくしたらどうなるんですか?」
「一応そのローブには名前が内側に刻まれているから持ち主に戻ることにはなると思うけどもし万が一拾ったのが悪人だとめんどくさいことになるからね 注意してくれよ あと罰金もでる」
「罰金ですか」
「なくしてはい終わりってわけにはいかないからね 罰金が一番予防にも注意にもなるから」
「そうですね…(無くさないようにしとこ……)」
「あとはこれが学園の注意事項やらが載ってる本だ 入学までに読んでおくように」
ジェラルドさんはそういい俺に小さな本を手渡す。
「じゃあ今日はこれで終わりだ 次に会うのは入学の時だね そのときを楽しみに待っているよ」
「はい! ありがとうございました!」
ローブと本をもち俺は学園を後にした。
今日が土の月の20日、だから入学まであと52日か……意外と時間があるなぁ
俺は入学までどう過ごすか考えながらミャゴーレに帰宅した。
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ディーノが去り、説明を終えたジェラルドが自身の部屋に帰ろうとしていた。
「ん? 何か言い忘れているような……」
顎に手を当て、ジェラルドは思考に耽ったが答えはすぐに出た。
「ああ! 特待生がもうひとりいるのを伝えるのを忘れたのか!」
2人の特待生というのは異例の事態だ。
ジェラルドが伝え忘れるのも無理はない。
「まぁ言わなくても問題はないか」
一人で答えを出すとジェラルドも部屋を後にした。
ローブは某ジェダイにエンブレムとラインの入ったもののイメージです。フードはないですけどね




