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始まりは残酷に

次は水曜日の0時に投稿します。

ついにこの時が来た。待ち遠しくて、ここ数日間は夜眠れなかったぐらいだ。


しかし、この眠れない生活もあと数日で終わるはずだ。


そう、俺が待ったものとは、俺が驚き、憧れたもの`魔法´だ。



「「お誕生日おめでとー」」


「ありがとー」


俺は両親の祝福に満面の笑みを持って答えた。


この笑顔は3年前とは違い、心の底からの俺自身の笑みだ。


この3年間、俺はこの世界のことを学び続けた。


父の本でわかる範囲でだがあらかた学んだはずだ。


だが、これだけは知っていても手を出すことを許されなかった。


目の前に、手を伸ばせば届きそうなのに手を伸ばしてはいけない。


そのもどかしい日々とはおさらばだ。


なぜなら今日、この日を持って俺は6歳になった。


母に魔法のこと教えてもらうと約束した歳になったのだ。


俺はその事を思うと誕生日パーティの普段より豪華な料理のことなど目も暮れずに両親に聞いた。


「ねぇ、お母さん! ぼくも6歳になったよ! 魔法教えてくれるよね!」


俺が、そう言うと母はにこやかに笑いながら答えた。


「はいはい、わかってますよ。 でもちゃんと司祭様に聞いた後よ。 そう約束したわよね?」


「え~、聞かないとダメ~? 今すぐ教えて欲しいんだけど~」


「ダメ! 約束守らないと教えませんからね!」


「は~い」


俺は体に引っ張られているの精神年齢が低くなってないか?こんな風に言うはずはなかったんだがなぁ。


まぁいい、それよりもいつ行けるのか聞かなくては。


「じゃあいつ司祭様のところの行くの?」


「そうねぇ、あなた、今度の休みはいつになりますか?」


「そうだな、5日後かな。 ちょっと忙しくてね。」


「え! お父さんも一緒じゃないとダメなの!?」


俺は突然の母の言葉にかなり驚いた。


しかし母はさも当然のようにこういった。


「当たり前じゃない、家族の大事な行事の一つですからね。 ちゃんと一家全員で行かないと。」


「そんな~、じゃあ後五日も待たないといけないの?」


「もう! 3年間待ったんだから今更5日増えたぐらいで文句言わないの!」


「そうだぞディーノ。 お父さんもお前の大事な行事が見たいんだ。 我慢してくれ、な?」


「はぁ~」


俺は落胆を隠せなかった。しかしここまで待ったんだ、待たないとなぁ~

とりあえずはパーティを楽しむとしよう。


俺は気持ちを切り替えて、五日後を待つことにした。




―――――――――――――――



五日後……


「やっとだよ! どんだけこの日を待ったか!」


俺は朝目覚めてベットから降りると声を抑えずに行った。


喜びのあまり部屋の中を飛び跳ねていたが、満足すると少し気恥ずかしさが出てきて大人しくなってしまった。


それでも待ちに待った日なので、駆け足でリビングに向かった。


俺が着くと驚くことにいつもより早起きにも関わらず、既に両親がご飯を用意して待っていた。


「あれ?いつもはまだ寝てる時間じゃ……?」


「何言ってるのよディーノ、あなただけがこの日を待ってたわけじゃないんだから」


「ディーノ、言ったじゃないか家族の行事なんだぞこれは。 私たちだってずっと待ってたんだから当然行動も早くなるさ。」


俺はふたりの言葉が嬉しくて、少し涙が出そうになったがそれをこらえ、二人に見せないように椅子についた。


「じゃ、じゃあ早く食べていこっ。 中心街に行かなくちゃいけないんだから早く用意しなくっちゃ!」


両親は俺の言葉を聞き、頬を上げながら席に着いた。



―――――――――――――――



あのあと、みんなして早食いをし、準備をしたのだが、家族3人で中心街に行くのも久しぶりになるので俺は心が躍っていた。


服装は普段より外出向けの小奇麗な服装だが動きやすさを重視した服装となっている。


中心街に着くとそこから更に奥の方、大きな建物であるギルドのさらに奥の方にその建物はあった。


教会は地球の一般的なそれとは違い、見た目は正面から見ると普通の一戸建てのような大きさだが中に入ってわかるのだが奥に長い建物だった。


入ってすぐのところに案内所があり、そこで来訪者の目的に会った部屋へ案内されるのだ。


まるで、病院のようだなと俺が思っていると両親は受付から帰ってきて、俺を連れて行った。


「さぁここよディーノ、ここからは一人で行ってきてくれないかしら? なにか私たちに話したいことがあるそうなの。」


「うんいいよ、でも中で何をすればいいの?」


「なかにいる司祭様の言うとおりにすれば大丈夫さ、なぁに何も難しいことはしないから、安心していきなさい」


「わかった! じゃあ行ってくるね。」


俺は両親そう告げると目の前の部屋に入っていった。


中に入ると気の優しそうな、身の丈ほど長い白いローブを着た人がこちらに背中を向けて立っていた。


俺がその人をジッと見つめていると、俺が居ることに気がついたのかこちらを振り向いた。


「やぁ、君が今日の儀式予定者だね。 ん? ご両親はどうされた? 普通なら一緒に来ると思うのだが……」


「あ、あのお父さんたちは話があるっていって別のところの行きました!」


「ふむ、そうか。 まぁそういうこともあるか。 よし! じゃあ私についてきなさい、こっちだ。」


司祭?さんは奥の方に進んでいったので俺もついていった。


するとそこには外部から光のこない暗い部屋と中心に水晶が置いてあった。


水晶の大きさは成人男性の頭と同じくらい大きなものだった。


水晶が光っているのか、水晶の近くだけは歩ける程度には明るかった。


「さぁやることは簡単だ、まずはこの水晶に手を置いておくれ」


「は、はい!」


俺が恐る恐る手を置くとその瞬間部屋に光が満ちてきた。


「ふむ、魔力はこの程度か… では次だ。 水晶に手を置いたまま、君が描く魔法を水晶の中にイメージしてくれ。」


司祭様は俺にも聞こえないような小さな声で何かを言ってから俺に次の手順を教えた。


俺は言われた通り、水晶の中に俺の魔法を思い浮かべた。


俺が思う魔法とは初めて見た母の水球だった。


すると水晶の中に水が出てきた。


水は水晶の半分ほどまで溜まって行くと止まった。


「ふむ、適性は水だね。 なかなか相性がいいようだね。 さてこれで終わりだ。」


司祭様は先程と同様に何かをつぶやいたあと俺に終わりを告げた。


「え?これで終わりなの?」


おれは思ってたよりもあっさりとしたもので驚きを隠せなかった。


「ここに来たものはいつもそう言うよ。 でも驚くことに結構時間は立っているよ。」


「え!?どうして!?」


「君が水晶に触っている間は君だけはいつもより遅い時間の中にいた、ということさ」


「ん?どういうこと?」


「詳しいことは私たちにもわからんが、おおよそのことは大人になると自然とわかってくるさ」


司祭様は俺にそう言うと部屋の扉の横に立った。


「さぁ、ここが出口だ。 ここからおかえりなさい。」


「は、はい」


「そうだ、これをご両親に渡しなさい。 そこに君の結果が出ているよ。 ご両親と一緒に確認するといい。 ではいい日を。」


そう言って俺にメモを渡すと部屋に戻っていった。


「ふーん、これが俺の儀式の結果…かぁ。 なになに、魔力C、適正水B…か。 どういう評価なんだ?」


俺は結果の紙を何回も見ながら来た道を戻っていった。


戻るとそこには両親が待っていた。


「ど、どうだったかいディーノ?」


父は何やら来た時よりも緊張したような声で俺に聞いた。


「はい、これが結果だって」


「どれ、Cの水B……か、アニェーゼ……」


父は小声で俺の結果をつぶやいてから母にメモを渡した。


「あなた……」


母がメモを見ると何かを決心したように父の方を見た。


「ま、まぁ帰ろうじゃないか、久しぶりにみんなで外食してから帰ろうか!」


父は何故かどもりながらそう提案した。


母も俺も異存はないので、父に従うことにした。


「そうだ、僕の結果どういう結果だったの?教えてよ」


「あ、ああ。 魔力は人並みにあるし水魔法の適性が高いみたいだね、よかったじゃないかディーノ。」


父はそう言うとすぐに俺の方を向かずに歩いて行った。


母も何も言わずに父についていくので俺もついていった。


なにかいつもと違う二人に違和感を覚えたが、さっきの教会でなにか言われたのだろうか?




―――――――――――――――



儀式のあった日から両親は人が変わったように俺に接してきた。


念願の魔法の練習を母とすることになったのだが、俺は上手く魔法が使えないでいた。


母が言うには体の中心にあるエネルギーを頭に持って行き、頭でイメージして腕に流し、そこから魔法を出すという方法だが俺にはそれができないでいた。


頭のイメージは母のやっていた魔法をイメージしていてそれを腕に流し、魔法を出そうとしているのだが最初の体の中心のエネルギーを俺は出せなかった。


どこにあるのかもわからない、感じることもできない。


俺は失敗ばかりを繰り返していた。


俺の体には青あざがいくつも浮かんでいた。


魔法を失敗しても何かが起きるわけではない。


何も起きないから失敗なのだが、ではなぜ俺の体に青あざができるのか。


それは俺が失敗するたびに母が俺のことを叩いてくるからだ。


その強さは手加減されているようではなく、かなり痛い。


あの優しい母がなぜそんなことをするのか俺には理解できないでいた。


反撃などは頭の隅にも考えず、俺はお仕置きを受けていた。


変わった母は俺が寝る時間になるといつも父と同じ部屋に居て泣いていた。


たまたま聞いていた俺は、俺が魔法を失敗するのが悪いのだと思って、次の日も魔法の練習をするがうまくいかない。


父も家に帰ってきても俺とはあまり話さなくなった。


帰ってきた時の挨拶に返事はしてくれるがそれだけだ。


なにやらお酒を今までよりも飲むことが多くなり、酔っ払って寝るのが普通になっている。


そうして、俺は朝から夕暮れまで魔法の練習をし、夜は父や母の変わった姿を見るようになり数10日が立ったある日、


























俺は、森の中にいた。








ようやくタイトルの半分を回収しました。でももう半分をどうするかちょっと行き詰ってます。

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