ジルの中心街
次は日曜日の0時投稿です。
俺の住む街スーベスト洲ジア、この中心街はかなり賑わっている。
理由はジアの近くに大きな森林があり、そこはベスティアが出没しやすい場所として有名だからだ。
この森林を抜けるのは、かなりの力量が入り、人数をかけないと全員無事に抜けるのは厳しいので、商隊は回り道をしなければならない。
そのため、この回り道沿いにあるジアは商隊の休憩地点であり、商隊についてきた冒険者がここでクエストを受けたり、商隊が冒険者を雇うため、人が多くなるのだ。
しかしこの町の住宅街には、中心街と比べて人がいない。なぜならジアで住むにはギルド職員や商人でなければ厳しいからだ。
畑や、農場用の広い土地が用意できなため、中心街にあるギルドや商店で働いていないと安定した収入は得られないし、狩りなどもベスティアが頻繁に出るためできない。
そのため、外から来るものが多いため、時々嫌な奴も来るのだ。
太陽が一番高く上がり、人の往来が多くなってきた中心街の大通り、あたりからは豚、牛、鳥肉など様々な肉の焼ける音や、野菜などを煮込んでいるのかいい匂いを漂わせている。
この町の特性上、宿屋や飯屋が多いのでこの時間はかなり人が多く(といっても地球のものとは比べ物にはならないが)、あたりは騒がしい。
俺は父と一緒にこの大通りを歩いていた。
「ねぇ、お父さん、どこでご飯食べるの?」
「そうだなぁギルドの食堂もあったんだが、そこにすれば良かったかな? まぁ私の知ってる店にしようか、いいとこだぞ。」
「うん、いいよ! でも今度はギルドの食堂にも行ってみたいよ。」
「まぁ、またいずれな。 そう何度も来れるわけじゃないんだからな、ディーノ。」
俺が話をしながら父の知ってる店に向かっていると何やら騒然とした場所があった。
何やら口論をしているのか離れたところでも聞こえてきた。
「だから言ってんだろがよぉ、俺のほうが絶対に強いんだよ!」
「何言ってやがる!この前俺との成果対決で負けたくせに!」
「はぁ?! この前のは成果の対決であって直接対決じゃねぇだろうが、調子乗ってんじゃねぇぞ! この毛むくじゃらの獣人族ごときがよぉ。」
「何が毛むくじゃらだ、戦うことしか能のないウロコ肌の竜人野郎が!お前なんか冬になれば何にもできないだろうが!」
「はっ お前だって冬になりゃ動きが鈍るじゃねぇか、俺様は暑さに強いからいいんだよ。 どっちにも弱いお前よりましじゃボケェ。」
「戦うことしかできないお前より、いろんなことのできる俺のがましじゃボケェ」
口論していたのはガタイの大きいクマのような手をした獣人族の人と地球じゃリザードマンなどと呼ばれそうな竜人族の人がいた。
二人の口論の内容はどんどん変な方向に向かい罵倒の仕合のようになっていった。
周りから注目を集め、いつの間にか人だかりが出来ていた。
「ねぇ、お父さん あれなぁに?」
「見ちゃダメだよ、ここらじゃよくあることなんだ。 馬鹿な奴が多くてね、喧嘩することが暇つぶしのひとつになってるんだ。」
父がそう言ってると二人は懐から武器を取り出し店の前で喧嘩寸前の状況になっていた。
「と、止めたほうがいいんじゃいの!? 武器出してきたよ!」
「ああ、普段なら止めに行くんだがね、だけど今回私の出る幕はないみたいだね」
父が見た先には騎士甲冑のようなものを着た二人の人が来ていた。
二人は喧嘩をしている男性を、ほんの数秒で武器を取り押さえ地面に組み伏せていた。
「ねぇお父さん、あの人たちってなんなの?」
「この町の騎士団の人たちだよ」
「騎士団?」
「そう、騎士団。 まぁまたいつか話すさ。 それよりもご飯だ、もうすぐだからな。」
父は先ほどのことを気にすることなく歩いて行った。
俺もそのあとを後ろを振り返りながらついていった。
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父が案内してくれた店は比較的リーズナブルで一食35オルで量の多い食堂だった。
この世界にもご飯はあるらしく数年ぶりの白いご飯を俺は噛み締めた。
おっと、オルのことを説明しないとな。
オルとはこの世界の共通金銭だ。
銅貨一枚で1オル、大銅貨一枚で50オル、銀貨一枚で100オル、大銀貨1枚で500オル、金貨一枚で1000オル、大金貨一枚1万オル、小金塊10万オル、大金塊100万オルになっており、円換算で1オル10円になる。
そのため一人一食ぶんで大体大銅貨一枚 一泊飯付きの宿で200オルかかる。
相場の方は地球の方とあまり変わらない。
一般人の一食分の食費は平均50オルだそうだ。
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父とご飯を食べたあと、中心街を一緒に見て回ることになった。
見た事のない食材やベスティアのドロップ品など面白そうなものもたくさんあったが、俺が一番気になったのは地球と同じ食材だった。
この世界には地球と同じものが数多くあるが、ないものも存在する。
その多くが地球の発酵食材だった。牛乳はある、だがチーズはない。
大豆はある、しかし醤油や味噌は見たことがない。
発酵食材でもあるものはあるが、やはり元日本人の俺としては醤油や味噌がないというのは悲しい、かと言ってどこぞの転生小説みたいに製造の知識はないので自分で作ることもできない。
大豆を何かにつけて置いておけばできるものとはわかるが残念ながら詳しく覚えてないのが悔しい。
そんな風に思いながら父と歩いているとこちらに走ってくる人影が見えた。
「アドレアさ~ん!? アドレアさ~ん!?」
「ん?どうした? そんなに慌てて?」
「ああやっと見つけた! どうした?じゃないですよ また森で犠牲者が出ました」
「なんだと? しょうがない行くしかないか。 ディーノ、お父さんちょっと用事ができたからギルドに行かなくちゃいけないいか?」
「別にいいよ、どうせもう約束の時間だしね」
「そうか! じゃあ帰りはこの道をまっすぐ行けば家の近くに出るから、大丈夫だな?」
「うん!じゃあ行ってらっしゃい!」
「ああ! じゃあ母さんに晩ご飯遅くなるって伝言も頼む。 気をつけて帰るんだぞ ディーノ。」
父はそこまで言うと先ほど来た人と一緒にギルドのほうに向かっていった。
俺は父を見送ったあとうちに向かうことにした。
ギルドのことは全部とまではいかないがどういうところかはわかった。
しかしそれ以上に気になることが多くなってしまった。
この世界は楽しいな、心の中でそう思うと足取りは軽くなった。
感想、指摘待ってます。




