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Ender Magia Chronicle  作者: 真夜
第一章 報復人 -BIRTH AVENGER-

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46.狩人 -Plan-

 リビングに戻ってきたジャックは、サルビアの部屋から持ってきた手紙を取り出し、そこから導き出されたシールウッドの正体を全員に告げる。


「クロウと関わりがあったのはそういう理由からか。親父、そういうことなんも言わないから」


 ライラックは感心すると同時に、父親から何も聞いていなかったことに、少しだけ悔しそうな顔を見せる。


「じゃあ、彼はこっちの味方って認識で問題ないのよね?だったらこっちに来てもらえば?今は見方が一人でも欲しいでしょ」


 ステラの提案は正論ではあるが、ジャックは少し考える。

 恐らく、シールウッドは今も街の中で様々な場所から情報を探ってくれている。

 そこに狩人とクロウから目を付けられている自分たちと一緒に行動すれば、情報収集の邪魔になる可能性が高い。

 人数が欲しいのもそうだが、自由に動き回れる諜報員のような人間も必要だ。シールウッドはまさにそれに最適な人材だった。


「いや、やめておこう。街で公に動けなくなった今、新しい情報を仕入れるにはシールウッドを頼るしかない。

 接触もなるべくしない方向で行こう」


 エトワールとライラックもそれに頷く。


「もともと親父も手紙とのやり取りだけだったんだ。ここは慎重にした方がいい。

 ウッディに会うのもジャックだけにした方がいいだろ」

「それであんたたちはずっと話していたみたいだけど、これからどうするか決めたのか?」

「一応ね。それと昨日はごめんなさい。色々ありすぎて私も考えが足りずに焦ってた」


 エトワールがジャックに向けて、頭を下げるのを見て、ジャックは一瞬戸惑ったが少しばかり恥ずかしそうに答える。


「いや、あんたやラックの人を助けたいって気持ちは間違いなく正しい。俺がただその余裕がないだけだ。だから、こっちも悪かった」


 ジャックの謝る姿にその場の全員が珍しいものを見たかのように目を見開く。

 その視線をジャックは耐えられずにすぐに話題を戻す。


「それより、これからの予定は?」

「ああ、リアが居れば魔王が近くに来れば居場所がある程度絞れる。だから、しばらくは街を襲いに来ないか、街の周辺を回りながら調べることにした。

 魔王はもうこの周辺まで来ている。この街を襲撃しに来てもおかしくない。

 本当はマギアトゥールの刀の男のこともあるし、アトラシントに戻って状況を立て直したいところだけど、戻れば長い間、魔王を放置することになる」

「なるほどな、だったら、そのことをシールウッドに伝えておく。……お前たちはすぐにこの家を出るのか?」

「ええ、だけど少し問題もあって……」

「問題?」


 エトワールはそのつもりのようだが、少し困った顔でライラックの事を見る。ジャックも聞き返しながら釣られて同じ方向を見る。


「シオンの事だ、前の襲撃で怪我もしている。だから、連れて行けば危険に巻き込まれる。かといってここに一人にしておくわけにもいかない」


 ライラックの意見はもっともであり、ジャックは少し考えると一人だけ頼れる人物を思い出す。


「マーザに頼もう」

「確か、酒場の店主の?でも私たちは嫌われているみたいだったし、受け入れてくれるの?」

「ピースメイカーにはそうだけど、シオンを預かるくらいならしてくれるだろ。あと、俺が直接会いに行って説得する」

「大丈夫なのか?」


 ライラックはマーザがその場所にずっとジャックが訪れていないこと聞いていたため、その心配をする。

 だが、ジャックの様子はどこか振り切れており、返事も早かった。


「ああ、それにいつまでも逃げてるわけにはいかない」

「わかった、じゃあ早速向かうか」


 ライラックはすぐに行動しようと立ち上がるが、ジャックは首を振る。


「いや、行くの俺とシオンで向かう。何人も連れて歩けば目に付きやすい」

「確かにそうだな。じゃあジャックに任せて、戻り次第、俺たちも出発しようか」

「うん、私もそれで問題ない」

「わかった。じゃあ俺はシオンを呼びに行くよ」


 ライラックの言葉にエトワールとジャックが頷き、ジャックはシオンの元へ向かう。


=================================


 ロザリアの告白に、何とか動揺を隠しながらシオンは平静を装う。

 そこにドアがノックする音が聞こえ、シオンは反射的に返事をする。


「入るぞ、シオン」


 ジャックがゆっくりと扉を開き。シオンの部屋に入る。一瞬、ロザリアを見るがすぐに視線を外し、シオンのほうを見る。

 その行動からジャックがロザリアを意識している推論が、当たっているのではないかとシオンは感じてしまう。


「シオン、今大丈夫か?」

「っうん、大丈夫だよ」


 詰まった返事にジャックは違和感を覚えながらも、あえて触れずにライラックとエトワールたちとの話し合いで決めたことを彼女に伝える。

 それをすべて聞いたシオンは少しだけ悲しげな表情を見せるが、すぐに切り替える。


「そっか……わかった。……でも少しだけでもみんなと一緒でよかった」


 シオンの言葉にロザリアは取り繕う様子もなく、今にも泣き出しそうな表情になっている。


「伝えに来てくれて、ありがと。じゃあ荷物をまとめるから二人は下で待ってて」

「……ああ」


 ジャックの返事を聞くとシオンはロザリアを部屋の外に連れ出し、その扉を閉めた。

 ジャックとロザリアは何かを言う暇もなく部屋の外に締め出される形になった。

 まるで悟ったかのような理解の良さと素直さはシオンの美点ではあるが、欠点でもあるとジャックは感じた。

 ここで自分も一緒に行きたいと我がままでも言えば、ジャックはその方法や別の策を考え始めるだろう。だけど、シオンはそれをしない。

 彼女はラックのような頑固さも持っているが、ジャックのようなどこか諦めに近い思考も影響を受けてしまっていた。


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