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想い紡ぐ道標  作者: 月見
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第4話「友達とのその後」


 帰り道。

 今日は千奈ちゃんと友達になれた。

 ちょっとしたことだけどやっぱりうれしい。


「そういえばさ、千奈ちゃんの家ってもしかして私の家の近所じゃないかな」


 前に尾行したときからずっと疑問に思っていたこと。

 この際だから聞いてみてもいいかもしれない。


「え? そ、そうなの?」

「前に千奈ちゃんの後をつけたときに商店街で見失ったからその辺なのかなって」

「ちょっと待って綾乃ちゃん。き、気づいてはいたけど本当に後つけてたの?」


 千奈の発言はもっともだろう。

 確かに誰かに後をつけられてたら怖すぎる……。


「それは本当にごめん……」

「う、うん。悪気があったわけじゃないのはわかってるから大丈夫」


 そうこうしているといつの間にか商店街前についていた。

 千奈は商店街を指さしながら口を開く。


「わたしの家は商店街の中。小道を通るから少しわかりにくいかもだけど」

「やっぱりそうだったかぁー。でも商店街には結構頻繁に来てたのに千奈ちゃんと会ったことないよね?」


 私の記憶が正しければ千奈ちゃんをこの商店街で見た記憶が全くない。


「多分時間帯の問題だと思う。……基本的に夕方は店番してることが多いから」

「店番ってことは自営業?」

「うん。も、もしよかったら寄っていく?」


 その誘いに乗り、綾乃は千奈の後をついて行くのだった。



 しばらく歩き、先日千奈を見失った通りに入る。


「ここがわたしの家」


 そこは角を曲がったすぐにある少し古びた本屋だった。

 それと同時に先日千奈を見失った理由は千奈はすぐに自分の家に入ったからだと言うことがわかった。

 案内されて店内に入ると、本屋独特のにおいが立ち込めていた。


「わぁー、千奈ちゃんの家って本屋だったんだね」

「うん。基本的に家にいるときはここにいることが多かったから」

「なるほどー」


~~~


「ってことがあったんだよ!」


 翌日、綾乃は昨日の帰りの出来事を姫城、梓、桜田に話していた。


「でも、なんでこんなに家が近いのに中学違かったんだろう?」

「そ、それは多分わたしの家と綾乃ちゃんの家だと学区が違うから……だと思う」

「この辺は学区によって通う中学が変わるから金森さんだけ違う中学だったんじゃないかな」


 千奈と姫城が説明してくれるが、綾乃にはよくわからなかったようで『そうなんだー』と生返事を返すだけだった。




 そして放課後。

 梓と千奈と話をしていると、梓のスマホのバイブレーションが響く。

 しばらく鳴っているため、おそらく電話が来ているのだろう。


「ちょっと出るねー」


 電話に出る梓。


「綾乃ちゃん、今日は家の用事があるから先に帰るね」

「うん。梓ちゃんにも言っておくね」


 千奈が教室から出ていき、梓もしばらくしてから話が終わったようでスマホから耳を離した。


「ごめん綾乃ちゃん。ちょっとお母さんから買い物頼まれちゃったから翔連れて帰るねー」

「うん、また明日」

「え? 俺も行くの?」


 強引に桜田の腕を引っ張って教室を出て行く梓。

 それと入れ替わるようにして姫城が綾乃の元へ来ていた。


「あれ? 金森さん、翔たちは?」

「なんか買い物があるらしくて梓ちゃんと帰ったみたい」

「そっか」


 右手の人差し指を曲げて顎に当て、少し考える姫城。


「姫城君はもう帰る?」

「ん―……どうしようかな」


 ふと周りを見渡すと、教室には綾乃と姫城以外誰もいない状態だということに気づく。


「それじゃあさ、少しお話しようよ」


 しばらく時間が経っているため、窓際からは夕日が差し込んでいる。

 その窓際に近づき、窓を開ける。

 風が少し吹いており、校庭で運動をしている人たちの声がより一層聞こえるようになった。


「ここ数日、まだ始まったばかりの高校生活だけど、ずいぶん長かった感じがするよ」

「確かに、こんなに立て続けにいろんなことが起こるのは俺も初めてだったよ」


 学級委員になったり、千奈ちゃんと仲良くなったり、高校生になってからいろいろ変わっている。

 多分これからもそうなるのかな。

 ふと、窓から校庭で走り込みをしている風景を見る。


「そう言えば、そろそろ部活申請用紙出さないといけないんだっけ」

「え? 金森さん結局出してなかったの?」


 姫城は驚きの表情をしていたが、綾乃はその意味を理解していなかった。


「……部活の申請用紙の提出日は昨日までだよ」


 言われてから少し考える。

 少し考えると、脳裏に『……ということで、明日までに入部届を出すように。以上だ』という一昨日彩咲の言ったセリフを思い出した。


「あー!! 忘れてた!!」


 千奈ちゃんとのことがあって部活の存在を忘れてた……。

 でも、部活もいいけど多分それ以上に……


「部活をしないのは少し残念だけど、後悔はしなかったから別にいいかな」


 動かなかったら、私はずっと後悔していたかもしれない。

 でも、そんな私を動かしたのは


「姫城君、君がいたから私は後悔しなかったんだよ」


 君の言葉。

 私はそのおかげで動けたんだよ。


「俺は大したことしてないよ。行動したのは金森さんでしょ?」

「ううん。それでもやっぱり姫城君のおかげだよ。だから、ありがとう」


 姫城に対し、笑顔でお礼を言う綾乃。

 そんな綾乃から視線を逸らすかのように空を見上げる姫城だった。


「あ、そういえば」


 何かを思い出したかのように声を上げる姫城。


「どうしたの?」

「いや、よく考えたら金森さんと連絡先交換してなかったなって思って」


 あ……。


「完璧に忘れてた……。というかよく考えたら梓ちゃんとすら交換してない……」


 スマホ自体基本的に使って来なかったため、その辺の感覚が全くなかったのだろう。

 急いでスマホを取りだすが、その直後綾乃の手が止まる。


「どうしたの?」

「あはは……私友達と連絡先交換したことなかったから操作がわからなくて」


 私のスマホの中には両親以外の連絡先は一切ない。

 理由としてはスマホを持ったのが中学3年生の時だったことが大きい。


「なるほど、じゃあちょっと貸して」


 綾乃の前に手を出す姫城。

 その手に綾乃は自分のスマホを渡す。


「連絡先を交換するときはこんな感じ」


 姫城がスマホの操作で綾乃に連絡先の交換の仕方を説明する。

 教えてもらったところ難しい作業はない。

 多分何回か同じ操作をすれば慣れてくるだろう。


「はい。これで俺の連絡先登録できたよ」

「ごめん。ありがとう」


 スマホを返され、連絡先の中には『姫城 紗輝』の名前がある。

 両親以外の、初めての連絡先。

 とにかくなんかうれしい。


「私、初めて友達と連絡先交換したよ」

「え? 今までは一人も……?」

「恥ずかしながら……」


「……やった!俺が一番最初だ」


 夕暮れの教室。

 そう言った姫城が笑う。

 嬉しさからの照れ隠しか、それとも恥ずかしさか、よくわからない感情で先ほどの姫城と同様に綾乃は姫城から目を逸らすのであった。

 始めましての人は始めまして。月見と申します。

 1話~4話のあとがきで申し訳ないですが、今回から「想い紡ぐ道標」という作品を書かせていただいております。

 この作品を書くきっかけとなったのは、個人で考えていたお話とは違うジャンルを書きたいという感じで考えていたら少女漫画に近いお話になった感じです。

 私は本来小説というよりはゲームシナリオに近いお話を書く方が得意だったりするので、小説の書き方はまだ勉強中の身です。

 今回の1話~4話までは普段私が書く書き方とは違う書き方をしていましたが、ちょっと書きにくさもあったため、次回からちょっと書き方を直していこうかなと思います。

 まだまだ未熟ではありますが、応援をしていただけると私のやる気が出ます!

 また、感想を書いていただいた方には本当に感謝しております(かなり嬉しいです)。

 これからも様々な人に見ていただけるよう、頑張っていきたいと思います。

 短いですが、今回はこれくらいで〆させていただこうと思います。

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