第100話「もう一つの明かされる過去」
「いやいや!! 色々と手っ取り早いし助かるが、先生はそれでいいんですか!?」
倉崎君とは出会って数日だけど、恐らく今までにないくらい狼狽えているのがわかる。
「いいも何も、いずれわかることだろうし、長期的な目でみて早いうちに状況がわかっておいたほうが対策が取りやすいと判断したまでだ」
「じゃあ俺たちの気遣いはなんだったんだ……」
「お前たちの気遣いは間違ってないさ。まあ、人を尾行する行為は褒められた行動とは言い難いがな」
なかなかいたいところを突いてくるみなちゃん。
しかし、本題を聞こうにもどこから聞いたらいいものか……。
それは私だけではなく、みんなも同じようにどう切り出すか迷っているようだった。
「それじゃあ私について簡単に説明しよう」
沈黙を破ったのはみなちゃん本人だった。
「私がこの街周辺に越してきたところからでいいか。 ここに訪れたのは高校生の時だったな。星来高校に転校してきたんだが、わかるか?」
「そりゃあまあ、この辺の進学校の一つですからね。中学の頃のクラスメイトも何人か進学しましたし」
「……今考えるとあの学校が進学校というのはいささか信じがたいと思わせるような友人が多いんだがな」
……みなちゃんの友好関係ってどうなってるんだろうか?
それはともかくとして星来高校はここから数キロ離れた山の方にある高校だったはず。
「私はとある事情で人間不信に陥ったことにより転校してきたわけだが、そこで出会ったのが二人の男子生徒だった」
人間不信……。
恐らく以前みなちゃんが教えてくれた過去のものだろう。
「その男子生徒二人は一言で言えば頭の悪い二人だったんだが、その二人を……いや正確には片方によって段々と仲間が増えていった。そして早い期間で仲間内に溶け込め、いろんな馬鹿なことをやったことを今でも思い出せるよ」
みなちゃんが珍しく儚い笑みを溢している。
「とまあそんな感じで日常を過ごしていたが、私の場合はそれだけで終わらない、やるべきことがあった」
「やるべきこと?」
「ああ、それは特殊な兵士としての任務だった」
先ほどとは打って変わって雰囲気が変わったのがわかる。
恐らく本題はここからなのだろう。
「私は……信じてもらえるかわからないが吸血鬼を葬ると言った表では明かされていない極秘の軍、通称『ハンター』と呼ばれる部隊に所属していた」
「吸血鬼……そんな空想上の存在が実在していた、ということですか?」
「ああ、とは言ってもさっきも言った通り表では明かされていないし、残っている吸血鬼はそれほど残ってもいない。仮に残ってたとしても危害を加えるような奴らは稀だろう」
段々と現実味がなくなっていく話だけど、きっと嘘ではない……のだろう。




