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『無能と言われた【鑑定士】、実は世界樹の管理人でした 〜パーティーを追い出されたので、辺境で伝説の聖域を作っていたら、聖女や女騎士が「泊めてくれ」と泣きついてきた〜』  作者: やまご
第2章:聖域都市・建国無双編

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第58話:人類最後の希望――聖都侵攻と、再構築される『神の代理人』

王都を漆黒の苗床に変えた魔王アルスの軍勢は、ついに人類の最終防衛線、聖都『エリュシオン』を包囲した。

 城壁の上には、白銀の法衣を纏った数千の聖騎士たちが、震える手で十字架を握りしめている。その中心に立つのは、現世における神の依代——法皇レナード。

「……魔王よ。いや、悲しき鑑定士の少年よ。……神の光が、貴公の汚れし魂を浄化せんことを!」

 法皇が杖を振り上げると、空から幾千もの光の槍が降り注いだ。それはかつて、アルスが「美しい」と感じたはずの、清浄なる神罰の光。

「……鑑定結果。……ただの、高密度の光子エネルギーだね。……【再構築リ・コンストラクト】——属性反転:腐食の黒雨」

 アルスが指をパチンと鳴らす。

 ドォォォォォォォン!!

 降り注ぐ光の槍は、空中で一瞬にしてドロドロとした黒い粘液へと姿を変えた。それは聖騎士たちの白銀の鎧を焼き、彼らの「信仰心」を物理的な「苦痛」へと直接変換していく。

「ぎ、ぎゃあぁぁぁっ! 痛い、神様……助けて……っ、熱いぃぃっ!!」

「……あははっ! 聞こえるか、アルス様。……あの無垢な羊たちの断末魔。……これこそが、最高の讃美歌ですわ!」

 漆黒の翼を羽ばたかせ、セレスティアが先行して聖都の結界を蹂躙した。彼女の背後には、理性をリリスに消去され、ただ「アルスの敵を殺す機械」と化したアイリスたちが、阿修羅の如き勢いで城門を粉砕していく。

「……マスター。……法皇の『魂の核』。……あそこには、この世界の『管理ログ』が眠っています。……私が、引き抜きましょうか?」

 アルスの傍らに影のように寄り添うリリスが、感情の欠片もない冷徹な瞳で法皇を見据えた。

「……いや、リリス。……法皇は、俺が直接『鑑定』する。……この世界の神が、俺をどう定義していたのか……確かめなきゃいけない」

 アルスは漆黒の玉座を浮遊させ、阿鼻叫喚の聖都の中央広場へと降り立った。

 法皇レナードは、血を吐きながらも立ち上がり、最期の力を振り絞って聖典を開く。

「……お、おのれ……。神の代理人たる私を、このような……っ」

「……代理人? ……【深淵鑑定アビス・アイ】。……なるほど。君の魂の裏側……面白いね。……『神』なんて、最初からいなかったんだ」

 アルスの瞳に映ったのは、法皇の魂に刻まれた非情な真実。

 この世界は、上位存在が「人間の感情」を効率よく回収するための、ただの『養殖場』に過ぎなかった。

「……君たちは、神の使いじゃない。……ただの、効率的な『搾取装置』だ。……鑑定結果:価値なし。……即座に、俺の『動力源』として再構成する」

「な、何を……ひ、ひぃぃぃっ!!」

 アルスの影から伸びた黒い触手が、法皇の身体を包み込み、その存在そのものを「圧縮」していく。法皇の叫びは、一瞬で純粋な魔力結晶へと変換され、アルスの手のひらに収まった。

『警告:世界の「管理者権限」が空白になりました』

『システム:個体名アルスを、暫定的な「世界管理者」として登録しますか?』

「……あぁ、いいよ。……どうせ、この世界はもう、俺と彼女たちだけの『箱庭』だ」

 アルスが「YES」を選択した瞬間、聖都の空が真っ黒に染まり、地上のすべてがアルスの指先一つで書き換えられる対象となった。

 セレスティアたちが、歓喜のあまり狂ったように笑い出し、アルスの足元に縋り付く。

 

「……あぁ、アルス様! ついに、ついに貴方は、本当の神に……っ! ……さあ、私たちを、もっと、もっと深い深淵へ連れて行って……っ!!」

 もはや、敵はいない。

 人類の希望は絶え、世界は一人の「魔王」の私物となった。

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