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『無能と言われた【鑑定士】、実は世界樹の管理人でした 〜パーティーを追い出されたので、辺境で伝説の聖域を作っていたら、聖女や女騎士が「泊めてくれ」と泣きついてきた〜』  作者: やまご
第2章:聖域都市・建国無双編

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第34話:灼熱の混浴温泉――再構築された聖域の衝突

昨晩の「寝室乱入事件」を受け、アルスガルドの空気はかつてないほどに張り詰めていた。ロザリアという新たな火種を抱えたまま、アルスは彼女たちの荒んだ心を癒やすべく、世界樹の根元にある「聖域大浴場」を【再構築】し、広大な露天風呂へと作り変えた。しかし、それが乙女たちの「合法的戦場」になるとは、この時のアルスは予想だにしていなかった。

「……アルス様。昨晩のお詫びと言っては何ですが、今日は私たちが、主様の汚れを隅々までお落としいたします」

 湯煙の向こうから現れたのは、セレスティアだった。彼女は【再構築】されたばかりの、水に濡れると肌に吸い付く特殊な魔法絹の湯浴み着を纏っている。透き通るような白い肌が、蒸気の中で淫らなまでの光沢を放っていた。

「主殿、背中の流し方は戦士である私が最も心得ている。遠慮は不要だ」

 アイリスが堂々と進み出る。彼女もまた、騎士としての誇りを誇示するかのように、鍛え上げられたしなやかな肢体を惜しげもなく晒していた。その隣には、元四天王としてのプライドをどこへやら、アルスの魔力に当てられたままのロザリアが、挑発的な微笑を浮かべて立っている。

「……フン。貴女たちの洗体など、生ぬるいわ。アルス様の魔力に最も適合しているのは、私よ。中まで熱くされた私こそが、彼を癒やすに相応しい」

「何をっ!? この泥棒猫が!」

 一触即発の空気を遮るように、アルスは広い湯船の中央に座らされた。

 最初に行動を起こしたのは、セレスティアだった。彼女はアルスの背後に回ると、自らの豊かな双丘をアルスの背中に押し当て、たっぷりの石鹸泡と共に滑らせた。

「ぁ……主様、ここが凝っていますね。……私の『聖なる癒やし』を、直接、流し込んで差し上げます……」

 耳元で囁かれる吐息と、背中に伝わる圧倒的な弾力。アルスの理性が揺らぐ。しかし、前方からはアイリスが彼の膝の間に割り込み、その長い足をアルスの腰に絡めてきた。

「アルス、私の指先は戦場を駆けるためにあるが、今は貴殿を蕩けさせるために使おう」

 アイリスの指先がアルスの太ももの内側、魔力の門をなぞる。熱い湯と彼女たちの体温、そして立ち昇る薬草の香りが混ざり合い、浴場は濃密な情欲の檻へと変貌していく。

 そこへ、ロザリアが無理やり割り込んできた。彼女はアルスの首筋に腕を回し、まるで自らの所有物であることを示すかのように、彼の鎖骨に小さな歯形を立てる。

「……熱い。貴方の隣にいるだけで、また中が疼き始める……。アルス、私をもっと『再構築』して……昨日みたいに、乱暴に……」

 三人の美女による、湯船での文字通りの肉弾戦。

 セレスティアの手がアルスの腹筋を這い下り、アイリスが彼の首筋を吸い上げ、ロザリアが耳元で甘い喘ぎ声を漏らす。アルスの脳内では【鑑定】スキルが激しく警報を鳴らしていた。

『警告:全ヒロインの好感度が限界値を突破。主の「貞操防御力」が著しく低下しています』

「……みんな、ちょっと落ち着いてくれ! ここは神聖な浴場であって、その……」

「「「黙ってください!!」」」

 三人の声が重なる。彼女たちの瞳は、もはや深淵の軍勢よりも狩人のそれであった。

 セレスティアの指先が、アイリスの足が、ロザリアの吐息が、同時にアルスの急所を狙い澄ますかのように、その距離を縮めていく。アルスは自らの魔力回路を全開にし、湯船の水を【再構築】して障壁を作ろうとしたが、彼女たちの情熱は物理的な壁など一瞬で溶かしてしまった。

 もはやこれまでか――。

 アルスが覚悟を決めたその時、浴場の天井が激しく揺れた。

「……ククク。楽しんでいるようだな、鑑定士の小僧」

 湯煙を切り裂いて現れたのは、真っ黒な『概念の鎖』。それがアルスの四肢を瞬時に縛り上げ、湯船から引きずり上げた。

「「「主様!!?」」」

 現れたのは、深淵の四天王・第二席、隠密の『カゲロウ』。

 彼はアルスの隙(という名のハーレム)を突き、天空都市の心臓部を直接狙うべく潜入していたのだ。

「……いいところを邪魔されたな。だが、助かったよ。これ以上ここにいたら、俺の方が『再構築』されて消滅するところだった」

 アルスは鎖に縛られたまま、不敵に笑う。彼の瞳は、先ほどまでの困惑から一転、一国の主としての鋭さを取り戻していた。

「【概念破壊・再構築】。……その鎖、重すぎるから『羽毛』に変えておくよ」

 カゲロウが驚愕する間もなく、彼が誇る最強の拘束具は、一瞬にして柔らかい羽へと姿を変えた。アルスはそのまま空中で身を翻し、湯を纏ったままの全裸に近い姿で、カゲロウの眼前へ。

「さて。俺のプライベートを覗いた罪は、高くつくよ?」

 怒れる三人のヒロイン、そして最強の主アルス。

 カゲロウは自らの死を悟った。深淵の主への忠誠心よりも先に、目前の圧倒的な「恐怖」と「殺気(主に女性陣からの)」に、彼は意識を失いそうになる。

 戦いは、露天風呂からアルスガルド全土へと拡大していく。

 深淵の主が仕掛けた「情欲のバグ」は、皮肉にも彼女たちの絆(と独占欲)をさらに強固なものにしてしまったのだ。

 次回、第35話。

 「カゲロウの屈辱――漆黒の忍が、聖域の『看板娘』に書き換えられるまで」

 物語は、さらなるカオスと無双の極みへ。

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