2話 グハッ、こんこなたー
書きたいことを詰め込んだら、短編に収まらなかったんです、すいません
冒険者になって三週間経った
相変わらずの極貧生活だけど、こんなに満たされた時間は初めてだ
冒険者になるまでも、バイトと学校の両立でヘトヘトだったけど、今は同じ極貧生活でも全然違う!
だって、ヒビキが構い倒すから落ち込む暇なんか無いもん、それに、こんな僕の配信チャンネルに大勢のリスナーさんが登録してくれたんだよ!
僕はさ、冒険者になってもチャンネル登録者数は稼げないと信じてたからね
配信で食べて行く気もなかったから、大勢のリスナーさんに応援してもらえるなんて、本気で驚いたよ
冒険者になって良かった、まさか生きて行く事がこんなに楽しくなるなんて思ってもみなかったんだから
これは絶対にお返ししなきゃならないね、リスナーさんを楽しませる為に、僕は努力を惜しまないよ
今は色々と制約があって自由は少ないけど、一ヶ月で研修をクリア出来たなら、研修用のダンジョンからフォロライフが契約している女性専用ダンジョンや未知のダンジョンへ行けるようになる
同期以外の冒険者さんとコラボ出来るようになったり、ダンジョン内で畑や家畜飼ったり出来るようになるから、期待して待っててね
ついでに食事が豪華になるよ、やったねヒビキ!
そうしたらまた、料理の配信も出来るかな?
最初の頃は、ヒビキと一緒に料理の配信をしてたんだけど、フォロライフ運営から「冒険者になる人が減るから止めて下さい」と言われて出来なくなってたんだよね
ダンジョンの草を持ち帰るのを咎めるリスナーさんが居たから、ちゃんと食べてるのを証明するために始めたんだけど、めっちゃ好評になってたんだよ
ちょっと話が横道にズレたけど、今日もソロ配信を始めるよ
研修期間中にクリアしなきゃならないノルマもあるからね、頑張って行かなくっちゃ!
「みんなこんこなたー、キャッチコピーはあなたのハートを木っ端微塵、フォロライフの剛力天使こなたんこと小林こなたです、今日は研修ノルマ達成の為に耐久やってくよー」
●グハッ、こんこなたー
●グハッ、こんこなたー
●グハッ、こんこなたー
●心臓を捧げよ
●グハッ、こんこなたー
キャッチコピーを募集したら何故かこうなった、因みにグハッと言っているのは、ハートを粉砕された擬音らしい……
ヒビキには大笑いされたけど、僕はこんなノリ嫌いじゃない、むしろ好きまである
「地下世界探索に必要な物は、配信外で作ってたからね、準備は万端だよ」
●準備出来て偉い
●溶岩遊泳すんなよ
●エンシェントストーン四個だよね、頑張って
「そう、後はヘルでエンシェントストーンを四個採掘したら、全部のノルマをクリア出来るんだよ!ヒビキにドヤ顔されてるからね、絶対に今日達成するよ!」
●ヒビキは三日前にノルマ達成してたね
●見た、笑った
●無理すんなよ
リスナーさんがコメントしてたけど、ヒビキは一足先に研修ノルマを達成してる
アーカイブで見たけど、ドラゴンに変身して、溶岩が流れる灼熱のヘルを涼しい顔で飛んでたからね
羨ましいよ、こっちは耐熱ポーション作る為に東奔西走してたのに……
「ヒビキはさー、『こなたそはまだヘルに行ってないのかよー、おせーなー、私のエンシェントストーン分けてやろうか?』なんてマウント取るんだよ、酷くない?」
●物まね似てる
●むしろ優しさじゃね?
●いつもの
●てぇてぇ助かる
耐熱ポーションを飲んで、ヘルストーンで作ったゲートをくぐってダンジョンの階層を転移すると、草原から地獄のような世界に景色が変わった
……真っ赤な世界、赤い岩のような大地にはいたる所からマグマが溢れ出して、川のように流れている
灼熱の空気はまるでマグマが気化したかのようで、薄い赤霧になって大気を満たしている
「あったま来たから、今日ノルマ達成出来たらヒビキのお金で回転寿司に行く約束をしたからね」
●デートじゃね?
●デート代投げたいのに、スパチャ出来ない!
●怒ってるのか、惚気けたいのか
●三日ぶりのスーパー惚気タイム
●ヒビキがノルマ達成した時以来か
このヘルは、水が瞬時に蒸発するくらいの気温なんだ
ダンジョン内は物理法則が違うとはいえ、ポーションを飲まなければ普通は一分も生きていられない
「エンシェントストーン四個集めきれなかったら僕の奢りになっちゃうから、みんなも見つけたら教えてよね」
●勝っても負けてもデートかよ
●末永く爆発しろ
●好きな寿司ネタは何?
●耐熱ポーション切らすなよ
そんな中を平然と飛ぶヒビキは格好良かった、軽々と襲い来る魔物を倒すヒビキに目を奪われた
僕の羽ではあんなに高くも早くも飛べないけど、あの隣を飛びたいと心から願った
「好きなお寿司?僕はウニ!あれ美味しいよねー……高くて買えないけど……因みにヒビキはカッパ巻きが好きでさ、スーパーに行くといつも半額になったやつ買ってるんだよ、可笑しいよねー」
●ウニ送る、キュウリも
●軍艦巻きなら、ウニとキュウリ乗せられるな
●安いカッパ巻きを半額……
●収益化はよ、泣ける話聞いてもスパチャ投げれねー
ダンジョンには空を飛べるようになるアイテムもあるって聞くから、早く手に入れたい
背中の飾り物の羽が本物になる前に、ヒビキと一緒にいろんな世界を飛び回りたい
「時間ももったいないから早速始めていくよー、魔法で身体強化を全開にしてっと……大地を穿て、僕の右ストレート!」
●突貫!
●突貫!
●突貫!
リスナーさんのコメントと共に放たれた僕の拳は、真っ赤な大地に突き刺さると、轟音と共に爆心地のようなクレーターへと作り変えた
さあ、サクサク採掘していくよー!燃えにくい素材の服を着てきたけど、長時間やってたら燃えちゃうからね!
アバターで見えないけど、全裸配信とかやりたくないよ!
―――
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研修期間が終わり、正式にフォロライフの一員になった僕はフォロライフダンジョンへ行けるようになった
そこは研修で使っていたダンジョンと同じ種類の世界なんだけど、広さが桁違いで数多くのバイオームもあって、家や施設を作る事も許可されているんだ……全部自力で作るならだけど
普通なら犬小屋すら作った事がない僕達には、家なんか作れない、でも……ダンジョン内は物理法則が地球とは違うから作れちゃうんだよね
例えば、フォロライフダンジョンや研修ダンジョンならば、木を殴ったら木材が採れ、岩を殴ったら石材が採れて、インベントリに自動で収納される
エンシェントストーンを取るときに地面を殴ったのだって、砕けた岩が自動で収納されたからなんだよ
後はインベントリに集めた資材を作業台とかでクラフトすれば、指定した場所に床や壁や家具を設置出来るんだ
要するにフォロライフダンジョンでなら、誰でも簡単に家でも巨大建造物でも作れるんだよ!
そんな訳で、ダンジョン内に家を建てたんだけど、何故か僕とヒビキは二人で一部屋になっていた
……えっとね、今回研修をクリア出来たのは、僕とヒビキ以外にも三人居たんだよ
他にも居たの?と驚いたかもしれないけど、日本にはダンジョンへの入口が五つあるからね、それぞれの地方から入っても同じ場所に行けるんだ
もっとも、研修が終わるまでは自重してたけど……ほら、仲良くなっても研修に落ちたら気まずいじゃん、過度な協力も禁止されてたからね
因みに僕が受けた試験は日本全国で千七百人は合格したんだけど、研修をクリア出来た女性は五人だけ
魔物とはいえ生き物を殺すのは禁忌感が強いし倒すには力もいる、だから実際に戦いになっても倒せる人は少ないんだ……何よりも、倒せないイコール死亡しての生き返りだしね
だから本気でプロの冒険者になろうとする受験者は少ないし、クリア出来る人も少ないんだよ
そんな中、この三人は研修をクリアしようとする意気込みと力を持って、毎日配信してたんだよ
だから三人とはヒビキも交えて連絡を取り合ってたし、研修期間を一緒に乗り越えようと励ましあってもいたんだ
そして無事に五人ともノルマ達成して、フォロライフダンジョンへ行けるようになったから、五人で共用ハウスを建てようって話になったんだけど……
三人には自室があるのに、僕とヒビキの部屋は繋げられて一つになっていたんだ
「えっと、壁は作ったはずなんだけど、何で無くなってるの?」
お隣さんの個室だったのに、真ん中の壁を取り除かれて、ご丁寧にベッドが二つ並んで置いてある、これって間違えて壊したんじゃなくて、ワザとだよね?
頭痛が痛いみたいな顔で、色々な可能性を考えていたら、笑顔のヒビキがアホみたいな事を言い出した
「壁なら私が壊したぞ」
「なんで!ヒビキだってプライベートな時間は大切にしたいタイプでしょ!」
こいつ、一人で居るのは嫌だけど、一人の時間は欲しがる面倒くさい性格じゃない!
だから壁を壊したのは同期の三人か先輩だと思って、どういうリアクションすればいいか悩んでたのに、何やってくれてんだよ!
「私は最近、気付いた事があるんですよ」
「何をさ」
「私の切り抜きで人気があるのは、こなたそとのてぇてぇ話なんだって」
「おい、まさか!」
切り抜きとは、長い冒険者配信の面白い場面だけを編集してある動画の事だよ
面白いから、みんなも見て
「どうせダンジョン内の拠点は仕事中にしか使わないから、てぇてぇの安定供給の為に、私とこなたそのベッドを並べてみたんです」
「何やってくれてんだよ!」
五人の新人が初めてフォロライフダンジョンへ来たんだから、当たり前だけど五人とも配信しているんだよ
ただでさえ最近は、僕とヒビキが恋人とかいう誤解が広まってるのに
――よし、ここは敢えて酷い事を言って、リスナーさん達には、ヒビキとは普通の友達だと分からせてやる!
「なんだよこなたそー、私と一緒に寝れるのに、嬉しくないのですかー」
「嫌に決まってるでしょ!リスナーのみんな聞いて、こいつ寝相がめっちゃ悪いんだよ!隣のベッドで寝たりするんだけど、いつの間にか僕のベッドに潜り込んでるんだから!」
「はぁーッ!それはこっちのセリフなんですけどー!こなたそが腹出して寝てるから、私が添い寝して、毛布掛けてやってるんでしょうが!」
「お腹出して寝るなんて、天使はそんな事しませーん、ワザップは止めて下さーい」
「この天使げきヤバなんですけどー!そんなに言うなら、もう腹出して寝てても直してやんねーからなー!」
一見ヒビキは怒ってる風に見えるけど、長い尻尾は嬉しそうにブンブン振られている
僕の意図は読めてないだろうけど、ヒビキはこういう掛け合いが大好きだから、乗ってくれると信じてたんだ
「いいよー……ってヒビキ、また尻尾汚れてるじゃない、後ろ向いて、浄化魔法かけるから」
「あっ悪い」
揺れる尻尾が汚れているのに気付いた僕は、さっきまでの言い争いなんか無かったかのように、一瞬で素に戻った
浄化魔法で汚れを落としてやってから、ハァーっと息を吹きかけて、透き通るような鱗を、キュッキュッとハンカチで磨いてあげる
「ったく、綺麗な尻尾なんだから、大切にしなさいよ」
「これを綺麗と言うのは、こなたそくらいなんだけどなー」
苦笑しているヒビキに、こいつ何言ってるんだって顔を向ける
だって、この尻尾を綺麗じゃないって言ったんだよ、琥珀のような煌めく鱗に覆われた尻尾を、綺麗じゃないって
「目腐ってんの?綺麗じゃん!ヒビキは見た目も美人だから、特大のアクセサリーみたいで、とっても似合ってるよ」
「アクセサリーなー………………私は、こなたそみたいな天使の羽がよかったなー、この角も尻尾も、強そうとか怖いとしか、言われて来なかったから」
「ふーん、そうなんだー」
「ちょっ、少しはフォローしてくださいよ、これでもコンプレックスなんですから!」
拗ねたように言うヒビキに、僕は尻尾をキュッキュッしながら――イラッとした気持ちのまま、言ってやった
「知らないよそんなの!僕が綺麗と言ったら、僕の中では綺麗なの!…………それともヒビキは、僕の言葉なんかより、他の人の言葉を信じるっていうの!?」
「いや、それは……」
「そんな戯言は聞かなくていいから、ヒビキはもっと尻尾を大切にして!僕が手入れしてるのに、毎回泥だらけにしてからに」
「はい、すいません」
「よし綺麗、もう雑に扱ったらだめだよ、これは僕のお気に入りなんだから」
完璧に拭き上げた尻尾をパーンと叩いてから、ヒビキに笑顔を向けると
ヒビキは苦笑しながら、はにかむ様な笑顔になった
「………………、おめーはやっぱり、スパダリなんだなー」
「?スパダリって何?」
「教えねーよ、こなたそはすぐに調子に乗るからな」
「なんだよそれ!」
「それより腹減ったから、同期の三人を誘って飯行こーぜ、フォロライフで作ってる野菜とかは、勝手に使っていいんだよな?」
「う、うん、いいって聞いてるけど」
誤魔化すように急かすヒビキに誘われて、部屋を出ようとしたんだけど…………同期の三人が、頭を並べて覗き込んでいた
「これが生てぇてぇ、すげー」
「勉強になるのら〜」
「見てたよぉー」
「てぇてぇじゃありません!……はっ!」
そういえば、リスナーさん達に恋人じゃないと教える為に、ワザと喧嘩腰で喋ったのに、いつの間にかいつもの口調になっていた
恐る恐る、リスナーさんのコメントが流れるチャット枠を見ると……はぅんっ
●てぇてぇ助かる
●これは確かにスパダリ
●ヒビキ可愛い、こなたん格好いい
●素晴らしい仕事です、感謝しかない
●一生見ていたい
●かなヒビしか勝たん
「違うからね!僕とヒビキはそういう関係じゃないから!」
●どういう関係?
●結婚十年目なのにラブラブな夫婦
●イチャイチャする姉妹
●てぇてぇ
●認めちゃえよ
「だから違うって!……それとスパダリの意味教えて、なんか凄く気になって来た!」
「教えないで下さいよ!」
「ヒビキは黙ってて!」
●イエス・マム
●教えません2828
●調べるのも禁止な
●検索したら、ブラクラ踏むぞ
●知らない方がいい
「ちょっ、本当にどういう意味なの!怖いこと言わないでよー!」
こうして晴れて研修期間をクリアした僕は、念願のフォロライフに入る事が出来た
まだまだチャンネル登録者も少ないし、収益化も通ってないけど、プロの冒険者として認められたんだ
これから先、いっぱい大変な事も多いだろうけど、心配なんかしてない
だって、辛かったり挫けそうになったなら、お節介なドラゴンに愚痴を溢したり、からかって遊んで気を紛らわせたらいいんだもん
……それに、憧れの先輩冒険者さん達と会う機会もあるはず!
同じフォロライフの仲間なんだから、コラボを頼んでもいいよね!
やるよ僕は!その為に冒険者になったと言っても過言じゃないんだから!
…………だからさー
●てぇてぇ
●てぇてぇ
●てぇてぇ
●てぇてぇ
「僕とヒビキはてぇてぇじゃないと、何度言ったら分かるんだよー!」
「そうだぞーみんなー、こなたそと私は、てぇてぇを超えた何かだ」
「出会って一ヶ月しか経ってないのに、超えるも何もないんだよ!」
●え?
●え?
●幼馴染みとかじゃないの?
●昔からの友達だと思ってた
「あれ、そういえば言ってなかったっけ…………僕とヒビキは冒険者試験で会うまで、まったくの他人だったんだよ」
「ちっちゃい子が一人で冒険者になろうとしてたから、私がナンパしたんですよ」
「あれはナンパじゃなく、拉致とかストーカーって言うんだよ!だいたい僕以外にも………………そうだよ!僕以外にも同年代の子は何人も居たのに、何で僕にだけ声掛けたんだよ?」
「うーーーーん…………死にそうな捨て猫を見付けたら、保護するのが人情だからですかねー」
「僕は死にかけてもいなかったし、子猫でもないんだけど」
「いや…………なんかそんな風に見えたんですよ……だから、ほっとけねーなーと思って」
懐かしむように語るヒビキに、僕は当時を思い出して……ちょっと心が痛んだ
ヒビキが手を握ってくれなかったなら、今の僕は居なかったなんて、恥ずかしくて言いたくない
下手なことを言って、ヒビキに同情なんか……絶対にされたくない!
――悟れられたくない……だからそれを顔に出さずに、僕は泣きそうになった目を必死でジト目にして、ヒビキを茶化してやった
「元居た場所に返して来なさい、うちにはペットを飼う余裕なんか有りませんからね」
「そんなー!私がお世話するから、飼わせてくださいよー!」
アドリブに速攻で乗っかるヒビキに、思わず苦笑する
相変わらず、このノリの良さは大好きだ
「そんな事を言って、どうせママがお世話する…………そうだよ今の状況って、僕がヒビキの面倒みてるじゃん!なんで死にかけの子猫に面倒みさせてるんだよ!」
言って気付いたけど、ほとんど毎食僕が作ってたよ!
なんか当然の事になりすぎて忘れてたけど、僕が作る義理はないよね?
せめて食事は当番制にしようと言いかけたら、ヒビキがキメ顔を作って呟きやがった
「こなたそ、愛してんぜ」
「そんなんで誤魔化されないからね!」
あの時僕の手を握ってくれたのは、本当に感謝してる
だからさ、いつかヒビキが困った時には、僕は躊躇しないからね!
●これで一ヶ月とか信じらんねー
●どれだけ相性いいんだよ
●てぇてぇ
●仲良く喧嘩する関係好き
●問題ない、続けたまえ
「しょうがないんじゃい!私も一通りは作れますけど、こなたその料理が好きなんじゃい!…………見栄えは悪いけど」
「悪くねーよ!」
「だいたい料理しない代わりに、怖い目にあった時とか、一緒に寝てやってるだろ!」
「ちょっ、ヒビキそれは!」
い、言っとくけど変な意味じゃないからね!
ダンジョン配信で、初見の恐ろしい魔物とかに会った日に限った話だからね!
●詳細を教えてください
●今夜も添い寝してもろて
●てぇてぇ
●続けたまえ、続けたまえ!
「こいつちょっと怖い目に会ったら、一人で寝れなくなるクソ雑魚なんですよ」
「く、クソ雑魚なんかじゃねーし」
「なら、もう添い寝しなくていいと?」
それは困る!
タラリと流れた冷や汗を誤魔化すように、僕は横を向いて話をそらした
「……ヒビキ、同期の三人を待たせてるから、さっさと行くよ」
「おっ、そうだな、もちろんこなたそが料理してくれるんだよなー」
「…………はい、作らせてもらいます」
なんか言いくるめられた気もするけど、ご飯くらいいくらでも作ってあげるよ
そのくらい僕は、ヒビキに感謝してるんだからね
出合いの流れ的にご飯係になったんです




