1話 こうちて僕は、ヒビキと出逢いまちた
誤字報告修整、本当にありがとうございますm(_ _)m
僕の冒険者ネームは小林こなた、身長150cmの銀髪ショートな十七歳美少女です
種族が天使だから、頭に天使の輪っかと背中にプラスチックのオモチャみたいな小さな羽が浮かんでいるけど、少し浮けてゆっくり飛ぶくらいしかできません
そんな美少女の僕は今、田舎から出て埼玉市内へと来てるんだ
色々あって高校中退したから、冒険者になる為に
年に二回しかない冒険者試験は、規約さえ覚えてたら合格出来るくらい簡単なものだけど、これを続けられる人は少ないんだよ
それというのも、冒険者は何度も死んでは蘇るような仕事なのに加えて、初心者は余程の知名度か実力がないと、一日働いても千円程度の稼ぎにしかならないから
だから今日受けた試験でも数百名が合格したけど、研修期間というプロの試験に合格出来る人は数人程度だと思う
そんな厳しい業界に入るなら、僕にもその知名度か実力があると思ってる人が居るかもしれないけど……全くないよ!
筋力強化のギフトは持ってるけど、さっきまで女子高生だった、人よりちょっと魔法が使えるだけの、知名度なんて全くないごく普通の女の子なんだから
でも僕はプロの冒険者を目指している――それが、最後の夢だから!
冒険者の活動は動画サイトに配信されてるんだけど、僕はそれの大ファンなんだよ!
カッコ良くて可愛い、最近は歌って踊れるアイドル路線も組み入れている冒険者を生で見たい、あわよくば大人気冒険者さんと知り合いになりたい……そう思ったから、厳しいと言われている冒険者になったんだ
そして無事に試験を合格したんだけど……何故か変な女子大学生に絡まれて困っている
頭から角が生えている茶髪ロングで、お尻からも爬虫類を思わせる綺麗で長い尻尾が生えているから、種族は龍人で間違いない
平均的な男性より背が高くて、胸にはスイカでも入れてるのかと言いたくなるほどスタイル抜群な美人なんだけど、人懐っこい顔で僕の手を握って離してくれないんだ
「こなたそー、免許貰ったんならさっさと行くぞー、おめーはちっこいんだからよー、逸れたら迷子になっちまうだろー」
舌っ足らずな口調に、思わずイラッとする
「おいゴラっ!誰が、チビで幼児体型の微少女だ!その手をプチッと握り潰してやろうか!」
「こえーなー、そこまでは言ってねーだろー」
ハッ、つい本性が出てしまった!
だってこの女、冒険者ネームを夜空響と名乗ったんだけど、行きの電車で偶々隣の席だっただけなのに、僕が試験の問題集を見ていたら話し掛けて来て
「おめーのような子供が一人で冒険者になんのかよー、しょーがねーなー、私が一緒に居てやんよー」
と、勝手に付き纏って来たんだよ!
子供じゃねーよ、僕は十七歳だよ!と言っても聞きはしねー!
護身用に持っていた石を目の前で握り潰しても、平気な顔で手を握ってくるし、本当に何なんだよこの女はー!
……くそっ、落ち着け僕、こんな見るからな陽キャに惑わされるな
ッスゥーー……と深呼吸して落ち着くんだ!猫をかぶってやり過ごすんだ!
「コホン(可愛く咳払い)……すいません取り乱してしまいました、そうですね、寮に住めるらしいので行きましょうか」
「気持ちわりーなー、さっきのが素なんだろー?私とこなたその仲なんだから、畏まるなよなー」
「会って数時間しか経ってないのに、どんな仲なんだよ!……ったく、行くよ、どうせヒビキは寮に入らないだろうに、お節介だなー」
寮に入る人は少ない、だって初心者冒険者は稼げないんだよ、入っても食費すらままならないんだもん
だから冒険者のほとんどが自宅通いなんだ……入るのは訳ありな人くらい
そう思ったから、お節介って言ってあげたのに……この女は首を傾げてから、馬鹿みたいに笑い始めた
「アハハハハ、私も寮に入るぞー、家から通えるけどな、こなたそが可哀想だから一緒に入ってやるんだ」
「違うのかよ!来なくていいよ、僕は心配される程子供じゃねーから!」
「おっそうだな、こなたそは子供じゃねーよなー、ほらバスが来たから手ー離すんじゃねーぞ、ちゃんと連れてってやるからなー」
「聞けよ!それが子供扱いしてるんだよ!」
「うんうん分かった分かった、こなたそは偉いなー」
「こいつ本当に聞いてねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
……(園児のような声音)こうちて僕は、お節介なドラゴン女に引っ張られ、ダンジョン女子寮へと連れて行かれたのでちた(やけっぱち)
―――
――
―
ダンジョン女子寮とは、ダンジョン攻略を専業にする女性専用の施設だよ、少し離れた場所には男子寮もあるんだ
余りにも専業で冒険者を続ける人が少ないから、数年前に法改正されて受けれるようになった支援の一つなんだって
なんと毎月決まった日数ダンジョン攻略すれば、光熱費込み月五千円で借りれるんだよ!
バス・トイレ・キッチン・洗濯機は共用で、一部屋に三つのベッドと机とクローゼットが敷き詰めているような狭い部屋だけど、小さな冷蔵庫とエアコンまで完備されていて、素晴らしい待遇なんだ!
……で、そんな女子寮の部屋に居るのだけど、当たり前のようにヒビキが寛いでいる
三つ並んだベッドの一つに寝転んで、僕の荷解きをボケーっと眺めているんだ……自分の部屋に戻れと言いたい
おかしいよね?確かにここは三人部屋なんだけど、入居者が少ないから、僕とヒビキは個室を貰ったのに、何で居るんだろう
少ない荷物を出し終わってからヒビキの方を向くと、待ってましたとばかりに自分の腹を抑えながら情けない声を出しやがった
「なーこなたそー、もう夜だぞー、腹減ったから何か作ってくれよー」
「当たり前のように飯をたかるんじゃねーよ!奢れるようなお金はありません!」
バイトはしてたけど、貯蓄に余裕なんて無いんだからね
だいたい冒険者は、人並みに暮らせるまで数ヶ月は掛かると言われてるんだ、それを考えると、全く足りないと言っても過言じゃないんだから
「アハハハハハ、私も金ねーぞ、だから家から食材持って来た、これで作ってくれよ」
「え、さっき居なくなったのって、それを取りに戻ってたの?……いやいやいやいや、家近過ぎでしょ、なんで帰って食べないのさ」
「こなたそは食材買ってなかったからなー、腹減ってると思ってー」
うっ、と鼻白む
女子寮に来るまでスーパーやコンビニとかあったけど、僕は何も買わなかったんだよ
それに気付いたヒビキは持って来てくれたみたい……後でこっそりと辺りの野草を取りに行こうと思ってたのは黙っておこう
「……ありがとうヒビキ」
「つっても野菜と肉が少しに、パスタとレトルトソースだけだけどなー、あんまり持って行くとママに怒られるから」
それでも十分過ぎるよ、なんでこいつ今日会ったばかりの僕を心配してくれてるんだよ
もう一度お礼を言いたくてヒビキを見るんだけど、照れ隠しで押し付けるようにビニール袋を差し出されたから言えなかった
……そんな態度に僕は苦笑して、しょうがないなーという表情で応えてしまう
「言っておきますけど、僕はそんなに料理上手くないからね、あんまり期待しないでよ」
「おー、気にしないからなる早で頼むなー、私はもーお腹ペコペコだー」
「はいはい、ちょっと待ってな、今作って来てやっから」
「わーい、こなたその料理楽しみだなー」
ったく、と悪態をつきながら一階のキッチンへと向かう
図々しいヒビキへの腹いせに、貰った食材で少しでも美味しいものを作ってやろうと、携帯でレシピを検索しながら
―――
――
―
女子寮から徒歩十分、ぶ厚いドームで覆われた、直径十キロはある超大型施設
中はビルが入るくらい高くて、奥には駅があるくらい広い
コンテナを移動させる巨大なクレーンとかもあって、何台もの大型トラックがコンテナを引いて出入りしている
まるで交易港の集積所に街がくっ付いたみたいだけど、ここがダンジョンの入口なんだ
中心にある大きなトンネルみたいなゲートから、ダンジョン資源を搬送する施設でもあるから、こんなに大きく作られたんだって
因みに僕たち冒険者は個室を使うんだよ、トンネルの脇にあるビルに端末があって、座標を入力するか行きたいダンジョンを選択したら、個人用のゲートが現れるんだ
端末でフォロライフから指定されたダンジョンを選択してゲート潜ると、広大な大草原、遠くには雪化粧をした山々も見えた
空には太陽もあって、まるで何処かの田舎のようだけど、ここがダンジョンと言われている異世界の一つなんだよ
その証拠に草原を軽く見渡しただけでも、人を襲う危険な魔物が闊歩していたり、生い茂る草木は見たこともない品種ばかりなんだから
そんなダンジョンに、ぎゅっ♡ぎゅっ♡と可愛いらしい音が木霊する、それは僕が魔物を倒している効果音だ
本来はブギュー!やグチャボキッ!とグロい音を出しているんだけど、配信フィルターをオンにしているから、視聴者さん……リスナーさんには可愛い音に聞こえているんだよ
この配信用のマジックアイテムも支援品の一つなんだけど、設定次第でグロ画像や音を自動でデフォルメしてくれる優れ物なんだから
チョーカー型の首に巻くカメラなのに、周囲の映像だけじゃなく着用者の姿も同時に映し出してくれる機能まである
因みに、自分や登録した人の姿もアバターで覆えるから、自分に似せたアニメ調の顔を張っている……身バレが怖いからね、今流行りのバーチャル冒険者ってやつだ
服装もリアルは安物のTシャツと花柄ズボンだけど、アバターは白地に青のラインが入ったジャケットとスカートで、パッと見は可愛いブレザー型学生服の女子高生
その姿で僕は、動画サイトへとライブ配信をしているんだ
「「「ヘケェェッ!」」」
説明しているのに前から魔物がやって来た、空気が読めないのかな?
五匹の大ねずみで、ヨダレを垂らしながら走り寄って来る、中型犬並の大きさなんだけど、その前歯は僕の細腕なんて簡単に噛み千切りそうな程に鋭い
本音としては逃げたくなるような状況だけど、僕は魔法で防御力を上げて、気合いの雄叫びを上げながら迎え撃った
「舐めんじゃねーよ!おらっ!てやっ!」
飛び掛かって来た大ねずみの顔を左手で掴んで安々と握り潰しながら、右足を齧ろうとした一匹を蹴り飛ばす
ボキボキブチュとした感触が伝わったから、心臓まで潰れたと思う、地面に落ちて動かなくなった
「てやっ!おら……いたあーーーい!痛い痛い痛い!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!ちょっと待って、ちょっと待って、許して許して!」
蹴り上げた足を振り降ろして一匹を踏み潰して次のねずみを掴もうとしたら、背後から来たねずみに足を噛まれた
防御魔法のお陰で噛み切られはしなかったけど、深々とげっ歯類の歯が刺さって激痛が走る!
痛みに気を取られて動きが止まったせいで、残りの一匹も腕に噛み付いて来た、ヤバいヤバいヤバいと思いながら振り解こうとしたけど、深々と刺さった歯は抜けない!
「こ、このー!乙女の柔肌に噛み付くんじゃない!うりゃっ!そしてうりゃりゃ!」
腕に噛み付いていたねずみを逆の手で握り潰して引き剥がし、そのまま足のねずみ目掛けて叩き付けてやる!
自身と同等の質量の肉に叩かれて口を離したねずみに、追撃で何度もドコンドコンと叩き付けてやる!
恐怖で頭が真っ白になっていたけど、いつの間にか手に持っていたねずみがグチャグチャになっていて、足元のねずみも形容しがたい物質に変わり果てていた
「……勝った?僕勝ったよね…………はい楽勝ーっ!僕天才!僕最強ー!」
辺りを注意して他に魔物が居ないのを確認しつつ勝利宣言をする、回復魔法も忘れない
言っとくけど、もちろん僕は天才でも最強でもない、ただこれがバーチャル冒険者で流行っているセリフだから言ったまでだ
辺りに散らばる汚らしい大ねずみの肉塊は、色々と潰れて直視に耐えないけど、徐々に黒い粒子に分解されていく、きっとすぐに無くなるだろう
でもこんなグロ画像も、配信ではデフォルメされて可愛くなっているんだ
今の泥臭い戦闘も、リスナーさん達には大きくて可愛いハムスターとのほのぼのとした戦いに見えていたはずだ
その証拠に、視界の左下にはチャット欄が表示されているのだけど、リアルタイムで見ていたリスナーさんのコメントが流れていて
……中々酷い事を言われている
●初配信でハムちゃんを握り潰すとは、また凄い新人が出て来たな…
●ハムちゃん可哀想、魔物にだって命があるんですよ!
●なにその腕力、怖い
●天使のアバターを着たゴリラ
●ないわー、その戦い方は推せないわー
●きゅっ♡きゅっ♡がトラウマになりました、二度と見ません
グサグサと心に突き刺さるリスナーのコメントと、どんどん減っていく視聴者数に胃がキュッとしたけど
僕はそれを顔に出さずに、あえてわざとらしい嘘泣きっぽい顔で言い返した
「えーんえーん酷いよみんなー、初めてのダンジョン配信で緊張してるのに、なんでそんな事を言うのさー……あんまり酷い事を言うと、握り潰しちゃう↓ぞ↑♡」
●ヒエッ!
●総員退避!このゴリラ、本当に握り潰すぞ!
「握り潰さないよ!ゴリラでもないよ!なんでそんな酷いこと言うのさ、これでも十七歳の乙女なんだからね!」
●乙女が素手で圧殺すんな
●乙女……胸ないから男の娘かと思ってた
●せめて武器使えよ、素手とか怖いわ
「ぶ、武器?……えっと、武器は……すぐ壊れるから……」
貸し出しの武器はあるんだけど、僕が借りられるような値段の武器は木製ばかりなんだよ……そして当たり前だけど、壊したら弁償させられる……うん無理、お財布的に使えない
●このゴリラ、武器すら握り潰すのか
●なんだか不憫に思えてきた
「この世の全ては弱すぎる」(遠い目)
●(腕力が)大型新人現る
●弱いんじゃない、お前が規格外なだけだ
会話しながらも、大ねずみのドロップアイテムを拾って行く
倒した魔物は黒い粒子になって消えるんだけど、その場にドロップアイテムを落としてくれるんだ
大ねずみは雑魚だから、一つ数円程度の魔石しか落としてくれないんだけど、たまに当たりもある……あっ、四匹は魔石しかドロップしなかったけど、一匹は最低品質の薬草も落としてる!
「やった、これで今夜はご飯が食べれる!」
●それ売値が二十円の薬草モドキじゃね
●それで買えるご飯は無い
●薬草モドキなら、ダンジョン歩いてたら拾えるで
「えっ薬草拾えるの!教えてくれてありがとー!毎日モヤシが食べれる夢の生活が始まった!」
満面の笑みでお礼を言ったのに、何故かリスナーさんのコメントがざわ付き始めた
半信半疑な言葉が流れて、軽く荒れている……えっと、なんか変な事を言ったのかな?ビジネス貧乏乙とか書かれてるけど、意味が分からないや
不安になった僕は適当に歌いながら魔物を倒しつつ薬草や野草を探すことにした
だってここは草原バイオームだよ!色々な見たことがない草木も生えているから、絶対に食べられる草もあるでしょ!
「あの〜草〜は〜♪食べられるのでしょうか〜♪モヤ〜シより〜美味し〜のでしょうか〜♪」
●切なくなる歌は止めろー!
●おい、その草は薬草じゃないから取るな!囓るな!
●貧乏人ムーブかと思ったら、本当に食うのかよ
「みんな知ってる?クローバーみたいな草はだいたい食べれるけど、ススキの葉っぱみたいに手が切れそうな草は美味しくないんだよ」
●知りとうなかった
●食べる気満々で、インベントリに詰め込んでるの草
●野菜育てろよ、ダンジョンなら二日で収穫出来るだろ
「野菜育てたいけど、研修用のダンジョンはフリーの冒険者さんも来るから、畑や建築は不許可なんだよー」(悲しげな顔)
●米送ってやるから、ポイしなさい!
●ちょっと待て、せめて食べられるのを調べるから!
●すまん、研修期間なの忘れてた
「あ、この草は美味しそうー!……モキュモキュ……あれ、なんだか歩くたびにドュクンドュクン音がなって、身体が痛い」
●それ毒草!
●効果時間は短いから、飯食って回復しろ!
●だから調べるまで待てって言っただろー!
こうして僕の初めてのダンジョン探索配信は、いつの間にかリスナーさんに見守られながらの配信になりました……歌が得意だからアイドルデビューみたいなのを考えていたのに、初めてのお使いみたいな雰囲気なんだけど、これどういう事?
あ、持ち帰った草は、毒草が混じってないかだけ調べてから食べたよ
―――
――
―
冒険者はダンジョン探索とドロップアイテムの売買だけでは生活出来ないんだよ、と言うのも、ダンジョンには大手企業や国営の採掘場や農園があるからね
機械化とマンパワーで効率的に鉱石や薬草なんかの資源を大量に回収されているから、売値がとても安いんだ
高値で売れるのは、余程レアな素材か新発見の物くらいだね
だから専業冒険者は、お金を稼ぐためにダンジョン探索や歌ってみたを配信して収益を得ているんだ
素人が配信したって高が知れてるだろ?と思ったかもしれないけど、それを可能にしてくれているのが、冒険者相互生活支援フォローアドベンチャーライフ株式会社……通称『フォロライフ』
配信用カメラに搭載されてるアバターやデフォルメ機能なんかを説明したけど、それ全部フォロライフが配布してくれてるんだよ
数年前にフォロライフが支援を始めてくれてから、冒険者配信はだんだんと人気コンテンツになっていったんだ
それまでは魔物を倒したりダンジョンを探索するだけの、グロくて単調な配信がほとんどだったのに
配信フィルターを付けてくれたり、BGMを流せるようになってから、一気に一般受けしたんだ
色々な企画やマネージメントとかも請け負ってくれてるから、冒険者も雑務に時間を取られなくなって、気軽にリスナーさんとお喋りしながら楽しめるようになったしね
特に、チャットでコメントが出来るのが素晴らしい
有名な冒険者さんにリアタイで送れるから、一緒に冒険している気分になれるし、運が良ければコメントに反応してくれるんだよ
僕にも経験があるけど、推しが僕のコメントを読んでくれて、尚且つリアクションしてくれるって凄いよね!どれだけ嬉しいか分かる?その動画のその部分だけを、何度も再生して昇天するくらい嬉しんだよ!!!
これが流行らない訳がない!
だから僕みたいな無名冒険者でも、フォロライフが新人として宣伝してくれたから、初配信で数百人のリスナーさんが集まってくれたんだ
……もっとも、初心者冒険者は離職率が高いから、最初の一ヶ月は研修期間なんだけどね
フォロライフに正式に入社するには、研修期間中にノルマをクリアしなければならないんだ……ついでに研修期間は同期以外とはコラボも出来ない
当たり前だけど、ノルマクリアして研修終わらないとマネージャーも付かないから、収益化の申請とかも手伝ってくれない
収益化出来ないという事は、配信動画の広告料が貰えず、リスナーさんのスパチャも禁止されてるって事だ
さっき専業冒険者はドロップアイテムの売買だけでは生活出来ないと言ったのに、それで生きて行くしかないんだよ!
全員に支援するのは出来ないって分かるけどさー、おかしいでしょこれ!
なんてやさぐれても仕方がないので、今夜も部屋でダンジョン草のサラダ(モヤシとリスナーさんに貰ったライス入り)を食べながら、少しでも稼げるようにダンジョンの資料を読んでいる
当たり前のようにヒビキも居て、食費折半で僕の作ったサラダを食べているんだけど……
「ねぇヒビキ、なんで家で食べないのさ?晩ごはん用意されてるんだよね?」
「あーそれは断った、もう私の分は作らなくていいって言ったぞ」
「え、何で!収益化してないんだから、ヒビキだってお金無いでしょ?」
「金はねーけどさー、こなたそが食べれてないのに、一緒に居てやると言った私だけ食べるのもなー」
「……ヒビキって、本当に馬鹿だよね」
「私はゲボ可愛いから馬鹿でも大丈夫なんだよなー……こなたそー、サラダのお替りくれー」
「はいはい、ちょっと待ってな、今混ぜてやっから」
ぶっきらぼうに言いながら、冷蔵庫から作り置きしていたダンジョンサラダを取り出して、ドレッシングを掛けて混ぜてから、ヒビキに渡してやった
「うめー、私は一生このサラダだけでもいいわー」
「僕は嫌だよ、収益化通ったらお肉食べたいし」
「肉良いーよなー、研修ダンジョンには肉落とす魔物いねーからなー」
「だよね、居たらお腹いっぱい食べさせてあげられるのに……」
ポロリと漏れた本音に、ヒビキはサラダを掻っ込む事でスルーした
「サラダうまっ、明日はキュウリ買ってくるから、それ入れてくれよ」
「時間が合うなら一緒に行く?僕も買いたい物があるから」
「いいぞー、なら明日は○○時に集合なー」
予定が合えばと言っているのに、勝手に時間を指定された
僕はこのゲボかわドラゴンは本当に自由だなーと、呆れながらも……笑顔で「遅れないでよ」と言ってやったのだった
こなた「誘った癖に遅れてんじゃねーよ」
ヒビキ「わりーわりー、こなたの好きなやつを買う金を稼いでたら、遅れたわー」
こなた「……(そっぽを向きながら)、へー、なら今日はキュウリをいっぱい買えるね」←照れてる
ヒビキ「こなたそは、かわいいなー」
こなた「うっさいよ、さっさと行くよ!」
こんな会話が脳裏に過ぎったw




