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聖者のお務め  作者: まちどり
1/197

1.一目惚れ(1)

初投稿です。

お手柔らかにお願いします。(^-^)/

5/22追記で注意喚起。これはBLです。15Rです。苦手な方はブラウザバック推奨です。

※ 只今、更新を停止しております。俺のかわいい人視点の『転生魔神は陽気に歌う』が終わりが見えたら再開出来る?R18に移動した方が良い?


 ずっと主の役に立つことを願っていた。主が俺を助けてくれなかったら、今頃俺は何処にも存在しない。だから、俺の命は主の役に立ててこそ価値がある。そう思って生きてきた。主の元を去ることなど、考えたことはなかった。主と同様に恩を受けたあの方が、主とその国の有様に疑問を持ち、主と袂を分かつことになったとしても。


 戦場で敵の将となったあのお方と相まみえ、一騎討ちをした……はずだった。


 技量が余りにも違い過ぎる故の、呆気ない幕引き。開始の合図が聞こえたと同時に身体中が軋んで、次に襲ってくるであろう痛みに耐えるべく構えたところで、全ての感覚が無くなった。


 一切光の無い闇の中に、立っているのか横になっているのか、空中を浮かんでいるのか水中を漂っているのか。自分がどうなっているのか考える間もなく視界が明るくなり、まるで光の源に突っ込んでいったかのように眩しく、意識まで白く塗りつぶしていく。


 気付けば、立っていた。周囲は白い靄に囲まれている。どれだけの時間をそこにそうやって突っ立って居たのかは分からない。サァーーーっと軽く耳障りな音がするが、周囲の音ではなく耳鳴りではないか?地に足が着いている感覚はある。が、土の上ではなさそうだ。足元を見ると、白く立ち込めるモヤモヤを踏み締めている?一体全体此処は何処だ?


 一瞬、明るい光が見えたのでそこに向かって歩いてみる。徐々に靄が薄れて、少しばかり開けたところに金属製の板のような物が浮かんでいる。浮かんでいる?何故?どうやって?


 板の下から黒靴が見える。軍長靴か?向こう側に誰がいる?観察しようと慎重に近づく。三歩ほど進むとそれが突然、筋骨隆々の若い男を映し出した。即座に構える。


 簡素なシャツとズボン、お互い丸腰のようだ。というか、俺か?こいつは俺か?しかし随分と若返ってないか?俺の姿を認識した辺りでそれはゆっくり薄くなって、替わるように見慣れぬ男が現れた。俺より少し背が低いか。男?男だよな?服装で判断すると男なんだが。


 今まで見てきた誰よりも綺麗な顔立ち。長く艶やかでサラサラと触り心地の良さそうな黒髪、奥に無数の星が煌めいているような黒い瞳は吸い込まれそうで。男とも女ともとれる、だが人形のようにただ整っているだけではない、命を持って確かに存在しているという、正に神秘!身体の奥から抗いがたい熱い何かが湧き上がって全身を駆け巡ってくる。


 余りの麗しさに唯々見蕩れることしか出来ない。言葉どころか声すら出せない。


 俺から彼?の姿に完全に変身を遂げると、改めて彼が美しく可憐で麗しく凜々しくて、いや、どんな美辞麗句も彼の前ではただの描写にもならない、それはそうだがこの神秘的な存在にもっと相応しい表現があるだろう!だが悲しいかな俺が知っている言葉ではとても無理だ!


 彼は俺の姿を改めて確認した風で、朗らかな笑みを浮かべて口を開いた。

「こんにちは。初めまして」


 か わ い い 。


 ……奇跡だ!奇跡が目の前にいる!なんだなんなんだあの可愛らしさは!綺麗で美しくて可憐で麗しくて凜々しくて、それだけでもあり得ないと思っていたのが、全てぶっ飛ぶ程笑顔がかわいい!


 高いわけでも低いわけでもない落ち着いた声は透き通っていて甘く柔らかく心に染みて震わせる。ずっと何度も繰り返し聴いていたい!なんだこれ!なんなんだこのかわいい生き物は?!あぁ心臓の鼓動が激し過ぎて痛いほどだ、こんなに心を抉られるような衝撃は今まで味わったことがない!


 なんだかよく解らない興奮と歓喜と羞恥とその他いろいろで、とんでもないことを叫び出しそうなのを口を覆って押さえる。が、視線を外すことが出来ない。恐れ多くて外せない!


「あの、お尋ねしたいのですが」

 は、話し掛けられてる!その柔らかい声だけで癒やされそうだ。

「……お身体の調子がよろしくないように見受けられますが、何か、腰を下ろして休めるものでもご用意いたしましょうか?」


 うわぁ凄く柔らかく丁寧な物腰!こんなむさ苦しい男に初対面で優しく気遣うなど、まるで慈愛に満ちた女神のようだ!いや、男だから男神か?あぁどちらだろうと優しくて愛らしくて可愛らしいことに変わりは無い!い、いや落ち着け、一旦落ち着こう、自分が死んだか否かに関わらずこの状況を把握せねばなるまい。はぁあぁぁ~~~~、鎮まれ、俺の心臓!


 と、突然、薄い緑色の鉤型のソファと低い木のテーブルが現れた。彼が魔法で出したようだ。どんな魔法だというのだろうか。敵対することになってしまったかの方に匹敵するほどの魔法使いなのだろうか?次に出現したのは見慣れない形のポット、取っ手の無いカップと木のソーサーのセットが二つ。


「落ち着いてお話ししましょう。こちらにお掛けいただいてもよろしいですか?」

 本当に柔らかく丁寧な物腰。優しく甘い声は心に染みて癒やしてくれるようでずっと聴いていたい。


 彼はソファの短辺の方に腰を落ち着けてポットの蓋を開けた。お茶を入れてくれるようだが、お湯と茶葉はどうするのだろうか?魔法で入れるのはかなり難しいのではないのか?と、ポットから湯気がほわぁ~と立ち上った。やはり彼は手練れの魔法使いのようだ。何の障りも無くその力を行使している。感嘆の吐息を漏らしながら見ていると、何か問題が生じたようだ。ポットに両手の平を向け、ボソボソと呟いたり唸ってみたり。


「あれ?お湯だけ?よし、今度は茶葉だけ出そう。玄米茶のあの芳ばしい香りが今とてつもなく恋しい。って頑張って念じているのに出てこない。お客様にお出しするお茶は高級煎茶でなきゃってことかな?では、甘味のある八女茶で!」


 彼の集中が途切れないよう、気配を消して彼の斜め前方にそっと座る。困ったり納得したり焦ったり気合を入れたり。コロコロ変わる表情がどれも可愛らしくて、ずっと見ていたい。


「……出ない。えぇ~~~っ、何でぇ~~~?あっ、ここがナーロッパ異世界設定だとしたら、緑茶は無しか?では、香り高いアールグレイで!」


 何かの呪文なのだろう、彼の口から俺の知らない言葉がポンポン飛び出す。が、上手くいかないようだ。困っている姿も可愛らしくて、手助けしたいがずっと見ていたい気もするし。


「……って出ないんだけど。あれか!私がミルクティー好きでアッサムばかり使っているからか!アッサムティーでも良いんだけど、そうなると絶対ミルク欲しくなるよね。あ、飲みたくなってきた。うん、頑張って出そう。

 ~~~~~っ!出ない。何で?」


 なんだかいたたまれなくなってきたな。彼が両手の平を見詰めた所で声を掛ける。

「ぁ、あの……」

 彼はパッと顔を上げ、俺の存在をたった今思い出したかのように俺を見つめた。鎮まったはずの鼓動がまたうるさくなりはじめる。


「お茶、は、大丈夫です。その、ありがとう、ございます」

 緊張で上手く舌が回らない。


 まぁせっかく用意したので、と手慣れた感じでポットのお湯をカップに注いで出してくれる。

「お湯しか出せなくてごめんなさい。まだ熱いので、やけどしないようお気を付けて」


 出会って数分の正体不明の男に、優しく細やかな気遣い。心根の美しさがそのまま外見に現れているのだろうか。早速頂きたかったがまだそこそこ熱く、うっかり舌を火傷してせっかくの気遣いを無駄にするような愚を犯すことは出来ない、とカップを直ぐにソーサーに戻した。


 彼は疲れたのか、顎に手を当てて思案顔で佇んでいる。長い睫毛が愁いを帯びて少し伏せっている。あぁ、絵になるなぁ。だが何時までも眺めている訳にはいかんだろう。


 読了、ありがとうございます<(_ _)>


 更新は出来れば週1を目標にしてます。

 お付き合いの程よろしくお願いします(^o^)

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