第16話:衛兵は武略系悪役令嬢に降伏する
台風こわい
選択肢は異邦人さんの投稿の変形です
突然、年かさの衛兵が剣を鞘ごと床にがらんと投げ捨てた。
「えっ・・・先輩何を・・・」
「いいから!お前も早く剣を捨てろ!」
「は・・・いえ・・・はあ・・・」
続いて若い衛兵も剣を投げ捨てる。
「・・・どういうことかしら?」
握りしめた拳の行き先をなくしたあたしは暗器の類に気をつけつつ視線を衛兵から逸らさず問いかけた。
武術には武器をわざと捨てることで相手の虚をつく技術がある、と御婆様はあたしの体に叩き込んでくれた。
油断して力を抜いたが最後、袖口から隠しナイフが飛び出してきたり、あるいは背後に忍び寄った別の衛兵から不意打ちを受ける可能性もある。
あるいは時間稼ぎ?確かに衛兵達の腕では、あたしを拘束するのは難しそうに見える。腕は足りないが王宮の配備されるだけあって知恵は回るらしい。
あたしは構えを崩さずにジリジリと衛兵との距離を詰めていく。
一歩踏み込めば当たる位置まで間合いを詰めることができれば、衛兵が何を企んだとしてもあたしの方が動きが速い。
そこまで間合いを詰めた上で、再び衛兵に問う。
「いったい、どういうつもりなの?」
衛兵は表情を強ばらせながら答えた。
「・・・我々は王の身を守る騎士であって、王子の痴話喧嘩を仲裁することは任務ではありません」
「大逆罪にはあたらないと?」
「さようです。あれはちょっとした口論でございます。年頃の男女にはよくあることです」
「・・・前歯と鼻が折れたようだけれど?」
「おそらくはテーブルにぶつけられたのでしょう。床も滑りやすかったですし、不幸な事故でございます」
あたしは目の前の年かさの衛兵を見直した。
この宮廷の男達は腐っている、と思っていたけれど少しは淑女を遇する骨のある騎士もいたらしい。
「牢につれていけ、という命令は?」
「殿下は不幸な事故のせいで、発音が不明瞭な命令でしたから。頭を冷やすために廊下に連れて行け、と命令されたものを聞き間違えたのでしょう」
「剣を落としたことは?」
「最近、女房に言われて痩せるよう酒を減らしておりましてな。剣帯が弛んでいたようでございます」
「ふうん。じゃあ、誰かが剣を拾ったらどうするの?」
「そうですな。近頃の世間は何かと物騒ですから、落ちていた剣を偶然拾われた方は、ご領地に戻るまでお預けいたします」
「・・・よくわかったわ」
2人の剣を拾って廊下を駆けだそうとすると、年かさの衛兵が声をかけてきた。
「あれは見事な拳でした。殿下も良い教訓を得られたでしょう」
あたしは両手の剣を抜き放つことで返事に代えた。
これから先は言葉は無用。
あたしの行き先を邪魔する者は剣で切り捨てるだけなのだから。
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