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アンチノミーを越えて  作者: 朽無鶸
4. 対話とは
39/48

戦争映画

生と死という有り触れたテーマ。

眠れぬ夜にテレビをつけて

有名な戦争映画を観たんだ

教科書に教わった戦いを

頭の中で思い起こした


人の歴史は戦争の歴史だ

恥ずかしいことにそうらしい

つまり今でも僕らは戦いの渦中

死ぬまで終わらぬ冷たい戦争


画面の兵士が散弾銃を

目標もなくぶっ放した

銃声に混じって聞こえる悲鳴

変わらず漏れる無線の音


争いなくして生きていけない僕らは

戦争映画の兵士と同じ

人を救うために生きているのに

その途中で人を傷つけている

戦いはいつまで経っても終わらない




戦争なんて起きてはいけない

人を殺してはいけないものだ

物を盗んではいけないものだ

それが僕らの平和主義


それでも生きていること自体が

殺人であり窃盗なんだ

命の取り合い椅子取りゲームは

生まれた時から始まっている


画面の映画はもう終盤

兵士の弾はもう切れた

生き残るため罪を犯した

返り血に塗れながら笑った


争いなくして生きていけない僕らは

有名な戦争映画の兵士と同じ

人を救うために生きているのに

その途中で人を傷つけている

戦いはいつまで経っても終わらない




生きることに覚悟を持てない僕は

高い死体の山を登っていく

敗者の命も背負わなきゃって

それは言い訳にしかなってない


生きることの痛みに嘆く僕は

死んでしまえばと口にする

自分の命を投げ捨てるって

それは逃げ道にしかなってない




あまりに生が当然のもの

死は知らぬ間に終えられる

戦争映画の兵士の生きたい

現実世界の僕らの死にたい


画面の映画が虚構だと

エンドロールが示してる

夢も現も分からずに

散弾銃手に人ごみの中


争いなくして生きていけない僕らは

有名な戦争映画の兵士と同じ

生きたいと強く願っていても

平穏とは違う何かを求めている

戦いはいつまで経っても終わらない


争いなくして生きていけない僕らは

有名な戦争映画の兵士と同じ

自分の命を天秤にかけて

生きているんだと感じたがる

戦いはいつまで経っても終わらない

痛みはいつまで経っても消えはしない

プライベートライアンは実にリアルなフィクションなのです。

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