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アンチノミーを越えて  作者: 朽無鶸
3. アンチ二分主義
27/48

備忘録

起きたら君はいなかった。

麻酔が効いてきたような視界で

街中を歩き回っていた

腕時計を覗き込んだら秒針が

シャッフルを刻んでいた


七秒前の目的地を忘れて

横断歩道で立ち往生した

弱音を眠気に任せて

どこか心地良く天を仰いだ


目の前のメモにそんな話が

自分の字で書かれていたが

何一つ覚えてはいなかった

確かに自分が綴ったようだった




子どもたちを観客席に座らせ

ピエロの様に踊っていた

身の丈に合わないブランコで

乗り物酔いを味わった


次の次元に顔を出したら

心が置いてきぼりを食った

気づいたら空に逃げていて

目と鼻の先の雲が笑った


目の前のメモにそんな話が

自分の字で書かれていたが

何一つ覚えてはいなかった

確かに自分が綴ったようだった



ついでのように君を浮かべた

ついでのように愛を叫んだ

ついでのように君が零した

ついでのような返事を


目の前のメモにそんな話が

自分の字で書かれていたが

何一つ覚えてはいなかった

確かに自分が綴ったようだった

何一つ覚えてはいなかった

それでも君の姿は消えていた

Kumorizoraさんに書き下ろし。

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