表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/28

きゅう 年齢

「おい、ユウへグ」


「ユウと呼んでくれた方が、可憐なオトメ的には嬉しいですね」


「そうか。おい、ユウへグ」


 彼女がムッとした。


 何故だろう。


「ユウへグって名前、言いづらくありませんか?」


「名前に言いづらいもクソもあるかよ。何度も呼んでりゃ言い慣れてくるもんだろ」


「少なくともラステムという名前は言いづらいと思います」


 これは反撃なのだろうか。


 ムッとさせてしまったことに対する反撃なのだろうか。


「ラステムという名前は百億万回言っても慣れません」


 やはり反撃っぽい。


 しかしそうだとしても、可愛いもんだぜ。


 所詮はまだ子供だな。


 まだまだ子供だな。


「そういうワケで、今日から私はあなたのことを、クソ野郎と呼ぶことにします」


「そんな『そういうワケ』があってたまるか、クソガキ」


 急に鋭利な攻撃が飛んできた。


 これだから油断ならねえ。


「まあ、それは冗談としても、やっぱりユウって呼んでくれた方が嬉しいのは事実です。言いやすい言いにくい、以前に」


「どうしてだよ? そういうもんなのか?」


「そういうもんです、クソ野郎」


「『それは冗談としても』が冗談だったのかよ」


「間違えました。そういうもんです、ラステムさん」


 半分が故意であることに間違いはなさそうだった。


 意図的に間違えやがって。


「間違っても心的距離を縮めたいとか、そういうのではないです」


「そこは間違ってほしかった。と、少しだけ思ってしまう自分が情けないぜ」


 こんなやつと心的距離を縮めてしまったら、殺されかねない。


 料理に毒でも盛られそうだ。


 暗殺されそうだ。


「私がユウと呼ばれたいのは、単に響きの問題です」


「響き」


「ユウの方が、良い響きだと思うのです」


 良い響き、か。


 そんなにまで気にするものなのか?


 その感覚が分からないのは、俺が男だからなのか、大人だからなのか。


 もしくはその両方が故か。


 それが分からなかった。


「おじさんだからじゃないですか?」


「俺はまだ二十七だ」


「おじさんじゃないですか。何言ってるんですか」


 マジかよ。


 この年齢の子にしてみれば、二十七の俺は、もうおじさんなのか?


 驚愕……。


 いや、待て。


 この年っていうか、こいつ、今、いくつだっけ。


「九十九です」


「いや、絶対にウソだ」


 そんなぶっ飛んだ心身関係あるか。


「もちろんウソです。私は九です。九だと思っていると思います」


 え、九?


 お前、九なの?


「初耳でしたか」


「初耳だし、予想だにしていない数字だった」


 十は超えていると思っていた。


「老け顔と言いたいのですね」


「お前のその年齢で老け顔を気にするな」


 九でも十代でも老けてはいないだろ。


 二十代以上を敵に回すような発言だったぞ。


「クソ野郎が敵から守ってくれることを信じております」


「『間違えました』が間違いだったのかよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ