にじゅうご 提案
思い出せませんか?
……ダメですか。
まあ、赤ん坊に対する十八歳の興味なんて、誰だってそんなものですよね。
話を戻して。
もう一人、ユウへグに会った人がいます。
会っただけでなく、とても興味を持った人がいます。
私の父です。
父は日ごろから、使用人が一人欲しいとボヤいておりました。
身内がこんなことを言うと自慢話みたいですが、父は大きな屋敷に住んでおりました。
俗に言う、金持ちです。
家事の類を完全に任せられる人材を、父は求めたのです。
しかし父にはポリシーがありました。
「人を簡単に信じるな」です。
それまで、屋敷に血縁者以外の人間が立ち入ったことはないのです。
訪問客までもが、別館までに留めておかれるほどに、そのポリシーは徹底されたものでした。
使用人も、ただの一人も雇っていなかったのです。
そんな父が、そのパーティーの日、ユウへグを見て言いました。
「この子を引き取らせてくれないか」
父はユウへグを屋敷に招こうと考えたんです。
屋敷で育ち、成長し、大きくなれば、それはほぼ血縁関係だ。
信ずるに足る人間になる。
もちろんルポは驚きました。
しかし断りはしませんでした。
さらに昔の話になるので、ここでは省きますが、ルポ自身が、父に助けられたことがあるんです。
ホテルで働いていたのも、その辺が関係してきます。
驚きはあったものの、よく考えてください。
提案は自分の恩人によるもの。
職があるとはいえ、あくまで身分は最下級。
我が子を養えるほどの金もありません。
悩む余地は、彼女にはなかったと思われます。
恩人に対し、ルポは答えました。
「私の子をよろしくお願いいたします」
こうしてユウへグは、父ヘイドの屋敷で育てられることになったのです。




