戦いの影響と約束
イルビィとの戦闘を終えた後日
「本当に済まなかった」
学院に戻ってきた学院長に謝られていた。
──あの後、駆けつけた先生に事情を説明した。
魔導書に挑んでいた生徒には被害がなく。僕やロニエは『超回復』によって傷が癒えていた。
被害は訓練場が荒れる程度であったがそれも先生の魔法によって直されたため被害は全くなかった。
そして今回の主犯として学院の警備魔法でイルビィを調べたが、あの場で彼の存在情報がある瞬間なくなっていた。
──存在がそのまま消えてしまったかのように
そして、そこに学院長が戻ってきて今に至る。
「今回、侵入を許してしまった事は学院長たるオレの責任だ。本当に済まない。
そしてありがとう。被害を食い止めてくれて」
学院長は深々と頭を下げて謝罪と感謝を行った。
「いや、今回の騒動は僕がきっかけなので感謝なんてしないでください。それより感謝は僕を止めてくれたロニエに」
イルビィの目的はあくまで僕だけだった。だからこそ、他の生徒に被害がなかっただけだった。
「ああ、ロニエもありがとう」
「いえいえ、何もなくて良かったです」
「──改めて本当にありがとう」
学院長はそう言葉を残してその場を離れていった。
そしてその入れ替わりに
「俺がいない間にそんな事があったなんてな」
アレンが近づいて来てそう言った。
「イティラをボコボコにするなんてどんなに強いんだか」
俺も戦ってみたい、と言うような顔をアレンはしていた。
「あと、暴走状態のイティラも見てみたかったな。もう一回その状態になれないか」
戯けるように言うと
「アレン君、冗談でもそんな事を言っちゃだめです」
ロニエは少し怒りながら言った。
「悪かったよ」
「アレンは本当に戦うことが好きだよね」
「ああ、俺の家は道場でな」
「もしかして、虎翼流の?」
僕がそう聞くとそうだ、と言って頷いた。
「凄いですね。正式に虎翼流の道場とされているのは数えるほどなのに」
ロニエは目を見開いて驚いていた。
虎翼流の習得は困難を極める。並大抵の努力では足りず、また本人の才能もなくてはならない。
又、習得には教え手の技量も非常に重要である為、常人では道場を開くことが出来ない。
「まあな、親父は強いよ。今まで一度も勝ったことがない」
肩を竦めて軽く口角を上げた。
「アレン君のお父様も大変努力されてきた方なんですね」
「そうらしいな」
「そういえば、イティラの家はどうなんだ」
「僕はお爺ちゃんが僕に剣を教えてくれたんだよ」
「へえ、父親は」
「父さんは剣を扱えないって聞いた」
「意外だな、子がこんなに強いのに」
アレンが意外に思っているのは一般的に武の才能は親から継ぐことが多いとされているからだ。
(僕は『魂の転移』で強くなっただけなんだよなあ)
そんなことを思っていると
「今度のお休みに皆んなでお買い物に行きませんか」
ロニエがぱっと手を挙げてそう提案した。
「随分急だな」
「実は、イティラ君を止めようとしていた時に力が強すぎてボロボロになってしまって……」
「っそれはごめん。新しいの僕が払うよ」
「それはいいですよ。その代わり買い物に付き合ってください」
「分かった」
「悪いが俺は断る。学院長に稽古をつけてもらう約束をしてあるんだ」
「そうなんですか。キョウカちゃんはどうですか」
「……行く」
キョウカはこくりと頷いた。
「分かりました。友達とお買い物は久しぶりなので楽しみです」
ロニエはキラキラとした笑顔を浮かべていた。
「僕は初めてだなあ」
(なんせ学校時代は友人と呼べる人は一人もいなかった。唯一近づいて来ていたレンとは話していたけれど)
「私も……初めて」
「そうなんですか!?じゃあ、沢山楽しみましょう」
両手を胸の前に構えて向日葵の様な笑顔になってそう言った。
「そうだね」
「……うん」
イティラ、初めての友とのお出かけ




