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epilogue

 数日後。リベラルウェイオンラインの、とあるフィールド。

 ナギサの姿がそこにあった。その隣にはもちろん、ミアとサクラの姿がある。

「にはは、それにしてもナギサ、いつの間にかすっかり強くなっちゃったねー」

「はは、まだレベルだけだよ。戦い方とかまだまだだし」

「またそうやって謙遜する……。ナギサ君はそろそろ、自分のプレイセンスを認めた方がいいわ」

「そ、そうなのかな。自分じゃよくわかんないけど……」

 結局ミア達のレベルに追いついてしまったナギサは、テスタには帰らずすぐにミア達と一緒にユベリアへ戻ってきていた。

「それにしても、本当に見違えるほど強くなったよねー、ナギサ。最初に会った時は歩き方もおぼつかなかったのに」

「あはは、あの時はまだ慣れてなかったから」

「慣れてないにしてもすごい変な歩き方だったよ? なんか、歩き方知らないみたいな」

「うん、まあ……ね」

 それも仕方のないことだろうと、ナギサは苦笑する。それから、もう"言ってしまってもいいかな"とも思い、その理由を口にした。

「実は僕、リアルの体の足が不自由なんだよ」

「にはは、そうなんだー……ふぇ?」

 あまりにも平然と告げてしまったせいか、ミアが笑顔のまま固まった。その横でサクラも同じような顔をしている。

「足、が……?」

「生まれつきの障害でね、動かないんだ。補助器とかあればなんとか立てるんだけど……」

「「ええええええええ!?」」

 二人を揃って大声を上げる。その声にむしろナギサの方が驚かされた。

「ち、ちょ、な、ななな、何で!? 何で言ってくれなかったの!?」

「そ、そうよ! ……ってことは私、そんなことも知らずにいろいろと酷いこと……」

「だ、大丈夫だよ、二人とも落ち着いて! 『ここ』でならそんなの関係ないんだから!」

「い、いやでも! でも!?」

「えっと、えぅ、えええっ!?」

 二人が一頻り驚き終えるまで数分かかった。どうやらこの告白はナギサが思っている以上に刺激が強すぎたらしい。

「はあ……はあ……。……で、でも、何で本当に言ってくれなかったの?」

「そ、そうよ。わかってたらいろいろと気を遣ってあげられたのに」

 一息ついたミアが改めて聞きなおす。サクラもそれに同調した。

「あはは、ごめん。でも、あんまり言いたくなかったから」

 ナギサは少し苦笑して、本当の所を話し始める。

「さっきも言ったけど、『ここ』でならリアルでの障がいなんて関係ないんだ。結局は慣れの問題で。……だから、それに甘えるのが嫌だったんだよね」

「ど、どういうこと……?」

「僕が、足が不自由だって言ったら、多かれ少なかれ気にしちゃうでしょ? 僕はここに、そういうものを求めてきたわけじゃないんだ。……誰でも等しくあれるこの世界で、隣に立てる対等な友達ができたらいいって、そう思って始めたんだよ」

 それこそが、ナギサがこのゲームを始めた「理由」で、胸に決めていた意志だった。

 リアルでは、足が動かないせいでいつでも後ろにいた。誰かの前に立つことはおろか、隣に並び立つこともできなかった。……この足や、ロボットみたいな補助器、車椅子、そんなものを面白がって虐められたこともある。中には無抵抗な自分にリンチ紛いのことをするような酷い物もあり、それが思いの外トラウマとして根深く刻まれていたらしくて、この世界でまでそれに悩まされることも何度かあった。

 しかし、今、ここでは。

「……僕は、二人の隣に立ててるよね」

「ナギサ……」

「……そうね」

 二人は互いに顔を見合わせ、それからナギサの顔を見て頷く。

「あんな酷いこと言ったのに、諦めないでここまで来ちゃったんだものね……」

「うん。ナギサ、一人でこんなところまで来ちゃったんだもん。十分すごいよ。わたしよりすごいかも」

「そ、それは買いかぶり過ぎだって」

「ううん、すごいよ」

 ミアは不思議と真面目な様子でそう応えた。

「ナギサはすごいよ。そんなハンデにも負けないで、頑張ろうって思えるんだね」

「ミア……?」

「……にはは。よーし、わたしもナギサに負けないように頑張らないとね!」

「そ、そんな、ここでミアが頑張っちゃったらまた引き離されちゃうよ!」

 三人の笑い声がフィールドに響き渡る。ナギサは、ゲームを始めた時よりもずっと清々しい気持ちで笑っていた。

 これが、同じ場所に立つ仲間。ずっと求め続けていた、本当の友達なのだ。

「……さ、行こうよ二人とも。今日はどこのダンジョンに行く?」

「あ、はいはーい! えっとね、行きたいところがあるんだ!」

「あんまり無茶なダンジョンは止めなさいよね」

「だいじょぶだいじょぶ。どんなダンジョンでも三人で突っ込めば怖くない!」

「それって無茶する前提じゃないの……」

「まあ、ミアに言ってももう聞かないんじゃないかな」

「にはは、さっすがナギサ、わかってる!」

 三人で並び、曲がりくねった道を歩く。その先に、この世界に描く夢と理想を望んで。


 果てしなく続く道を、君の隣でどこまでも……。


 最後までお読みいただきありがとうございました。夕暮れ読書一般組合員で更新担当で本文の作者の織田おるたです。リアルでは大学生下半期に突入して単位だの卒業研究だので日々口から魂を放出しております。そんな現実から逃げられる小説って大好きです。……いや、そんな下心だけで書いてるわけじゃないですよ? 現実がそんなに辛くなかったとしても小説は大好きですよ? ええ、もちろんですとも。


 さてさて。「君の隣で歩ける世界 ~リベラルウェイ・オンライン sideナギサ~」いかがだったでしょうか。楽しんでいただけたなら物書き冥利に尽きます。

 今回の作品はせっかくVRMMOなんていう未来設定なので、何かそれを使った仕掛け・設定が出来ないかなと考えた結果生まれたのがナギサ君です。俯きがちで諦めやすいけど、いざ退路を断たれるとどこまでも本気。そんな子です。きっと心の底には決して諦めない誰よりも強い心を持ってるんじゃないかなと思います。

 親父旦那さんが書くのが戦争の中心にいるトッププレイヤー達の物語だったので、私の方は末端で動く一人のプレイヤーの物語というイメージでした。ネトゲの世界って沢山の人がいますもんね。ある物語の主人公にとっては背景の一部に過ぎないキャラクター一人一人にも、彼ら自身が主人公の物語があるのです。……といった具合です。

 今回はそんな風に「リベラルウェイ・オンライン」という一つのネットゲーム、同じ時系列上が舞台の合作という形で、色々と初めての試みでした。そもそもネトゲモノって初なので色々と気を遣いましたね。うっかりスラングとかほいほい使っちゃいそうで、その線引もまた難しく……。

 そして合作というわけで世界観とかイベントの流れとか当然合同で作ったわけですが、なんか色々わがまま言ったりしたような気がしますごめんなさい旦那さん。

 


 また彼らの物語を書く機会があったらなと思います。描ききれなかった部分とかありますし。そんな一般組合員一号の勝手な展望でした。


 では、私からはこの辺で。サークルリーダーの親父旦那さんとサイトの運営様、そしてなにより読んでくださった皆様に感謝を。ありがとうございました。

 またお会いする機会がありますように。

 親父旦那作「自由の道はどこまでも ~リベラルウェイ・オンライン sideコウガ」~をまだお読みでない方がいらっしゃったらぜひ読んでみてくださいね!

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