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モノクロの蝶  作者: Riviy
第一章:毒入りお菓子のハッピーエンド
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第六ノ世界:初戦ゲーム



翌日、匡華と村正が朝食を採るために広間に向かうと途中で千早と鳳嶺と出会い、そのまま一緒に向かった。殺し合いが始まる時間が迫っている。さっさと朝食を済ませてしまおうと四人で広間に入った。


「?!」

「どう、なって!?」


広間に入るとそこは何故か死屍累々だった。食事をしていたのであろう代表者達がテーブルや椅子、ソファーに突っ伏している。一体どうなって?

驚愕し、固まる彼らの中から千早だけがスッと近くの代表者に不安げに近づいた。彼女もこの現状に困惑しているのが気配からひしひしと伝わってくる。


「千早…!」

「あの、死んではいないみたいよ…?」

「なんですって?」


千早が代表者の顔を覗き込み、困惑した表情で彼らを振り返った。死んでない?千早を抜かした三人は互いに顔を見合せると、それぞれ近くの代表者に近づいた。匡華が近づいたのは昨日のびくびくしていた少年だ。腹を押さえながらソファーに倒れている。慎重に彼に近づき、呼吸を確認すると、本当だ。死んではいない。小さく苦痛の呻き声を上げている。匡華は驚いて、思わず後退った。私達が来る前に一体、何が起こった?


「生きてる!」

「こっちもです」

「どういうことなの?匡華さん、どう思う?」


千早が匡華に手を伸ばしながら訊く。匡華はその手を、「こっちだよ」と云うように引き寄せ、不安な表情でこちらにやってくる村正と鳳嶺を見やる。匡華は千早を鳳嶺に預けながら、言う。


「わからない。けれど」


その時、ゴーン、ゴーン、ゴーンと云う遠くから鐘の音が響いてきた。休息時間が終わり、殺し合いをしてもいい時間になったのだ。その音で匡華はハッとした。


「もしかして、誰かが食事になにかを入れた?」


それに驚愕しながら、村正が発言する。


「なにかって毒ですか?なんでそんなものを…」

「いや、あり得る事だ。此処にいる代表者全員の能力も武器も俺達は知らない。先手必勝でって云う事なんじゃないか」


鳳嶺が両腕を組みながら、難しい顔をして言う。千早が不安そうに、声がする方向へ首を動かす。匡華は顎に手を当てて考えながら、周りを見回す。倒れ、苦痛に苦しむ代表者達。此処にいるのは匡華と村正、千早と鳳嶺を合わせて13人。村正と鳳嶺を引いて11人。千早から聞いた話によると能力で誕生した者が一人いるらしいので引く一人。そうすると此処にいるのは10人。一人、足りない。


「しかし……一体誰がそんな事を?」

「朝食がまだだったのが幸いしたね」


匡華は村正と顔を見合せながら、首を傾げる。


「毒と仮定して、それを入れた相手は毒殺でもしようとしたのか?明らかに苦しんでるけど死んでる代表者はいないし、殺そうとしたなら失敗に終わったけどな」

「?それだと可笑しくない?鳳嶺。誰を毒殺しようとしたの?みんなを?みんな一気に毒殺しちゃうの?さっきの先手必勝で?」


千早と鳳嶺も顔を見合せて考える。が、四人の知恵を出し合ってもどう云う事か解明できない。残りの一人に、犯人と思われる代表者に聞くしかないのだろうか。匡華は顎から手を外し、肩を竦める。


「考えていたってしょうがない。食事には手をつけない方が良いだろうね」

「そうですね、全ての食事に毒が入っている可能性も否定出来ませんし」

「昨日、夜食って言ってお酒いれちゃって正解だったわね」


千早が「ふふっ」と笑って安心したように云う。それに鳳嶺は苦笑をもらした。〈吉原の華〉と云うくらいなのだから毎晩、お酒を淹れてあげていたのだろう。それが此処で役に立つとは彼女も彼も思っていなかったようだが。


「で、どうします?殺し合い開始時間ですが此処にいる人間を殺すのは気が引けます」


村正が鋭い視線を周囲に巡らせながら言う。確かに、なにかを入れられ、苦痛に苦しんでいる人を殺すのは気が引ける。


「千早、貴女の部屋に誰かの情報があったりはしなかったかい?」


匡華の問いに彼女はきょとんとした。匡華の考えに気づいた村正と鳳嶺がハッとする。だが鳳嶺の記憶では用意された部屋に情報はなかった。紙に記載されているものだとずっと思っていたがもしかすると、違うのでは…?

千早が「思い出した!」と云うように手を叩いた。


「洗面所の鏡に誰かは知らないけれど、情報があったわ!なんて書いてあるかは私にはわからなかったけれど、気配でわかったわ」

「!紙じゃないのか?」

「え、ええ、そうみたい。お風呂場の洗面所だったし鳳嶺が見てなくても無理はないわ。二つあったお風呂場の片割れだし……行ってみる?」


千早が首を傾げながら訊くと彼らは頷いた。

と、いうよりも気配で何かが書かれている事を知った千早も凄い。第六感か?用意された部屋にお風呂場が二つあることも、少なからず神様の小さな良心なのだろうか。


「そうだな、此処でたむろってじゃ、埒があかないしな。行こう」

「そうだね、千早、良いかい?」

「ええ、大丈夫よ」


ニッコリと笑って千早が肯定する。鳳嶺が千早に手を差し出し、それを当たり前のように千早が取ると彼女は匡華に合図を送る。匡華は村正に視線を送り、村正はその視線に力強く頷く。村正が先頭を歩き出そうとしたその時、ピタリとその足を止めた。そして、殺気を放つ。


「村正?」

「匡華、相手から来てくれましたよ」


村正が背に匡華を隠すと匡華は村正に問う。鳳嶺が千早を自身の背に隠す隣で村正が言う。匡華は驚きながらも、目の前の扉へと視線を向けた。千早と鳳嶺も視線を向ける。両開きの扉の外から靴の音が異様に大きく響く。見えない敵に、いや犯人に緊張が高まる。靴の音が止んだ。そして、自分達が開けた時とは大幅に違った不気味なギィと云う音を立てて扉が開いた。


読み返して、「ん?」って思ったから直しましたけど…それでも「ん?」感が抜けない。これで良いはずなんだ……(机ダァン)分かんなかったらいつもの通り素通りでお願いします。

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