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モノクロの蝶  作者: Riviy
第十一章:モノクロ
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第百三十一ノ世界:試行錯誤、成功につき



「前に、俺、言ったよなぁ。自惚れんなって」


夕顔の声が頭の中で反響した。神様の目が大きく見開かれる。それは疑問で、困惑で、混乱で、動揺で。自分でさえも理解出来ぬその感情に神様は心を揺り動かされるばかりである。ニッコリと悪戯っ子のように、片頬を上げて夕顔が微笑んだ。今なら、彼の扇を弾いてトドメを刺せる。それが出来なかった理由を、神様は()()()()()


「『異世界瞬間転移テレポート』」


突然、彼は能力を口にした。その能力は、世界同士を移動するための、『異世界案内人』が持つ能力ものと似ているようで似ていない能力。何故それを今此処で云う?逃げる気か?いや、残っているのは〈シャドウ・エデン〉だけだ。逃げ場なんてない。そう考えていた神様の視界から夕顔が消える。そして現れたのは、死んだと思っていた狐影だった。右目の瞼が切れたらしく、右目を閉じていて顔の右半分が真っ赤に染まっている。目の前の衝撃的な光景に驚く神様に向かって狐影は傷をもろともせずにニッコリと笑う。先程まで夕顔がいた場所に狐影がすっぽりと入って来たらしく、仕込み刀の鞘の方で神様のブロード・ソードを押さえ込んでいる。


「な……んで、死んだ、は、」

「なんで生きてる?って思ってるでしょ?神様。それが神様、君の敗因だよ?」


震える声で問えば、そう答えが返って来た。自惚れるな、その意味がまだ分からない神様は首を傾げている。それとは反対に狐影は悪戯が成功した子供のように笑う。


「教えてあげよっか、神様。我達は確かに君の攻撃を受けたよ?でもね、君は誤解している。村正むーくんの正体に!君はあの時、我にこう言ったよね?"村正むーくんは能力で誕生うまれた代表者外の人物だ"って。だから、脅威ではないってね。でも、でもね、違うんだよ。村正むーくんには、ある能力があったんだよ。その能力は、匡華きょーちゃん村正むーくんの死んじゃった大切な友人からの贈り物(プレゼント)。そして、匡華きょーちゃんが持つ武器……世界からの情報が間違ってないなんて、誰が言ったの?ねぇ、神様?」


狐影が自信満々に言う。神様はいまだに首を傾げていたが、次第に自分の過ちに気づいたのかフードの中の顔がやっちまったと云う後悔で青白くなっていく。かと思うと今度は人間ヒト風情が調子に乗りやがって、騙されたと云う怒りで紅く染まって行く。すぐさまその感情は狐影にぶつかっていきそうだった。だが、目の前にいるのが自分自身が生んだ愛し子なためか押さえ込まれた手はぶるぶると震えるだけである。


作戦、と云うかあれはほとんどリハーサルなしの本番だった。いや、本番と云うよりも偶然と云えば良いのかもしれない。『キューブ・滅亡』を食らった彼ら。トドメであろう攻撃が来る寸前に村正が『鬼姫』のもう一つの能力を発動させたのだ。神様の攻撃を防げるとは思っていなかった村正だったが、なんと防げたのだ。そのため、全員が中傷と云う怪我を負いつつも、ギリギリの状態で命を紡いでいたのだ。その理由は、攻撃を受ける際に匡華と村正が指先同士で触れ合ったためだった。匡華は無意識のうちに能力の調和をしていた村正に創造神としての素質の力を注ぎ込んでいたのだ。匡華自身は理解していなかったがそう言う事らしかった。神様の攻撃から間一髪逃れた彼らに『滅亡』に長けているためにあまり攻撃が効いていなかった夕顔が提案した。「俺があいつと闘ってお前達から気を逸らす。俺の合図があったら、そこが本当の最終局面だ」と。夕顔の合図とは、自分自身と神様の弱点の話だった。夕顔は支離滅裂に会話を続けていたわけではない。下の方で()に守られながら、最後の行動へ向けて動いていた彼らへの合図であると共に、彼らへの指示だった。しかし、神様にその行動がバレてしまっては意味がない。そこで幻だった。()、それは匡華の持つ専用武器でカバーできた。夕顔によれば、匡華の父親は幻を扱う事に長けていたと云う。なので、夫婦が揃うとそれはそれは大変な事になったと云う。夕顔は匡華の小太刀に妹夫婦からの頼みで幻を生み出す機能を組み込んだのだ。彼女が持つ能力と小太刀を組み合わせ事によって幻が生まれるのだ。それを夕顔から聞き、匡華が発動させた。創造神が絶賛していた幻だ。今の創造神に通用するか不安だったが、うまくいったようだ。神様は匡華達を死んだと思い込み、確かめにさえ来なかった。そして、狐影を夕顔と位置を交換し、最後の時間稼ぎ。夕顔の『異世界瞬間転移テレポート』は、此処以外、他の世界がないので移動は〈シャドウ・エデン〉内で反射し、元の場所に戻る。それは伽爛の『異世界移動』でも同じ事。つまり、それを応用すれば、発動者が指定した世界と相手、ではなく位置を交換すると云うことも可能と云う事。それが夕顔と狐影が入れ替わったからくり。そうして、神様の弱点を突く行動は始まり、成功したのだ。


神様は全てを理解し、軽く下に視線を向けた。先程落としたナイフ、『キューブ』の破片が生きていた匡華の手に渡っていた。ふらふらしている匡華を村正が支えている。神様は情報をよく見なかったことを悔やむと共に、正確な情報を提供しなかった〈シャドウ・エデン〉を怒りで恨んだ。能力をもらった事も小太刀の事も知っていた。だが、殺し合いには効果がないと考え、無視した。自分にも怒りが浮かんでくる。恨みがだんだん大きくなる。だが、今そんな事はどうでも良い。匡華達が生きていたとなると神様の計算は全て狂ってくる。神様が慌てた様子で押さえ込まれているブロード・ソードに力を籠めるが慌てているために手が震え、思うように力が入らない。狐影が仕込み刀に力を入れた。そこで鞘の力が抜けた。今だ、とは思ったが神様の体は動かなかった。理由なんて、わかっているのに。目の前に、愛し子がいるから。狐影は仕込み刀をブロード・ソードを持つ神様の手に振り下ろした。その切っ先が少し、震えているように見えた神様は、()()()、フードの中で微笑んだ。痛みにブロード・ソードを落とす。刃物は、不可思議な物体に戻りながら地面に落下していく。それは、『キューブ』を手放した神様と狐影もそうだった。


説明難しい。わかんなくなったらいつものようにスルーです!

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