第8話 『新たな仲間と新たな目標』
「──で、どうだったの? 最後まで楽しめた?」
「いや……その……うん、気持ちよかったよ。ほんとに。けどなんか、こう……一人だと虚しいっていうか……心にぽっかり穴が開くっていうか……」
「……ほんと、面倒くさい男ね」
翌朝の宿の食堂。
パンをかじりながら、流星はどこか虚無を帯びた目でコーヒーをすすっていた。
リリアはそんな彼を見て、呆れたように微笑む。
「でも、少し落ち着いた顔してる。……ちゃんと癒されたんでしょ?」
「……あぁ。まぁ、あれはあれで良かったよ。異世界の文化に触れるって意味でもね」
「その言い訳が出てくる時点で、図星なんじゃないの?」
「ぐぬぬ……」
リリアに見抜かれた流星は、思わず口をつぐんだ。
──だが、その口元は、どこか晴れやかでもある。
◆
「さて、流星。今後どうするの?」
朝食を終えたあと、リリアが真面目な表情で問いかけた。
「モンスター狩りは確かに実入りがいいけど、それだけじゃないわよね? あなた、本当に“風俗だけ”が目的なの?」
「……」
流星はパンくずを払って立ち上がり、少し考える素振りを見せる。
「風俗に行くのは、俺にとって生きる活力。これは絶対揺るがない」
「うん、知ってる」
「でも、最近思うんだ。稼いで、通って、疲れて……また稼ぐ。その繰り返しだけじゃ、なんか満たされないんだよな」
「……」
「たぶん、俺が欲しいのは──誰かと一緒に“何かを成し遂げる”ってやつかもしれない」
リリアは、少し驚いたように彼を見つめた。
「流星……意外と、真面目じゃない」
「いや、真面目でしょ!? 俺、ただのエロい課長じゃないぞ!?」
「エロい課長って言っちゃってる時点で真面目じゃないわよ」
◆
その日の午後。
二人は冒険者ギルドで新たな依頼を探していた。
流星の“次なる目標”は定まっていた。
「よし、次はコボルト退治だ。ゴブリンより賢くて、集団で戦術も取るって話だ」
「ふむ……報酬もそこそこ。危険度も高めね。でも、腕試しにはちょうどいいかも」
「そして何より──風俗代が増える!」
「……やっぱりそれか」
そんなやりとりをしていた矢先。
ギルドの扉が勢いよく開き、ひとりの少女が駆け込んできた。
「大変です! 南の村が、コボルトの群れに囲まれて──!」
「なにッ!?」
一気に場が緊張する。
「冒険者の応援を要請されてます! 有志はすぐに準備を!」
流星とリリアが、同時に顔を見合わせた。
「どうする?」
「決まってる。助けるさ。金も癒しも大事だけど──“誰かを守る”って、もっと尊いだろ?」
「……ふふ、やっぱり変な人。でも、悪くないわね」
◆
流星の冒険は、まだ始まったばかりだ。
ただの“風俗好き転生者”だった男が、仲間と共に歩き出す。
異世界で何を守り、何を得るのか──。
そして、流星は気づくのだった。
「癒しは、たぶん──風俗だけじゃない」




