第69話『幻想世界で全員性別逆転!?』
──幻想性別領域。
夢魔エイリーンの力により、性別が“反転”したままの一行は、それぞれが自分とは異なる体で、この異質な空間をさまよっていた。
「ちょ、ちょっと待て……なんで俺が、こんなフリル付きの……スカートで!?」
胸元を押さえて混乱するのは、すっかり“美少女風俗嬢風”になってしまった流星だった。
露出度の高い、白とピンクのレース衣装。
鏡に映る自分の姿に、流星は震える。
「いやいやいや!! 男としての尊厳が!! 煩悩が!!」
一方、その隣では、筋骨隆々な男子剣士となったリリア──“リリオ”が、腹筋を見せつつ唖然としていた。
「これが……男の体……? なんか、ずるい! パワーあるし、どこか涼しいし、理不尽に上裸で歩けるし!」
「涼しさ関係ある!?」
そして、金髪の完璧魔導士は──渋い声のイケメン魔導士“アリシオ”へ。
「……なるほど、魔力の流れ方が違う。これは面白い実験だな」
なぜか一人だけノリノリだった。
ミレーユに至っては、「女のまま!?」と困惑していたが、よく見ると耳の形や声のトーンが“男装麗人”仕様に変化していた。
性別が逆転し、それぞれの立場を体験する中で、彼らは気づいていく。
「……なるほど。“女として愛されること”が、こんなにも“受け入れる姿勢”を求められるものだとは……」
流星が、まるで女子トークのように語り出す。
「逆に、男って……すごく単純なふりして、本当は複雑で、不器用なんだよな……」
アリシオも同調した。
「だからこそ“支配と癒し”は、似て非なるものだと分かる。“快楽を与える”だけじゃ、愛とは言えない」
幻想世界の奥に、ゆらりと“夢魔エイリーン”が現れる。
「気づいたのね、現実の痛みを通してしか得られない真実に──」
「だったら、元に戻してもらおうか!」
流星が剣を抜く──レースのスカートを翻しながら。
「……なんか、かっこよくならねぇ!」
「そこは我慢しろ!」リリオ(男リリア)が叫んだ。
四人は力を合わせ、“精神の回廊”の最奥部──エイリーンの核へと踏み込んでいく。
「私は与えたの。愛も快楽も……なぜそれが間違いなの?」
エイリーンの叫びに、アリシオが答えた。
「選ばせなかったからよ」
「愛は選び取るもの。与えるだけのものじゃない」
リリオが剣を振るい──
ミレーユが王家の“真言”を放ち──
流星が、全力で叫んだ。
「風俗も人生も、自由意志だあああああ!!」
その瞬間、夢魔の世界が砕け散る。
“現実”へと繋がる光が、彼らを包み込んだ──!
──そして現実世界。
「うう……元の体……だよな? オレ、ちゃんと戻ったよな?」
スカートじゃない、自分の声、男の腕、すべてを確認する流星。
「よし……よしっ!!」
だが──
「ちょっと、胸の感触が……忘れられないんだけど……」
「お前の記憶の中身まで逆転してねぇか!?」
ラッキースケベと性別逆転、支配と癒しをめぐる“夢魔の戦い”は終わった。
だが、次なる試練はまだ、彼らを待っていた──。




