第39話『再び王都へ!癒しと陰謀の香り』
「──というわけで、君たちに新たな任務を依頼したい」
ギルド本部、王都支部。
重厚な扉の奥、応接室に響くのはギルド長の低い声。
常盤流星たち五人──剣士、エルフ、魔法使い、王族魔導士、そして女戦士──は整列し、その話に耳を傾けていた。
「目的地は、ユグノール通り──」
「それって……王都の風俗街ですよね?」
「それって!?(即答!?)」
リリアの横から突っ込む流星に、ギルド長は微妙な表情を浮かべる。
「……最近、あの通りの“高級店”で妙な噂が出ていてね」
「妙な?」
「“美しすぎる女性たちが、男たちを骨抜きにして廃人にしている”とね」
「」
「」
「」
「」
「」
全員が一瞬沈黙した。
だがその中で、一人だけ──
「…………(目がキラッ)」
※常盤流星、完全に興奮中。
「お前目が光ってるぞ!?」
「光ってない! これはただの……勇者の使命だ!!」
「今なんか“下半身の聖剣”とか言わなかった!?」
「言ってない言ってない!? 誰も言ってないよね!?」
ギルド長は、苦笑しながら続けた。
「依頼内容は、“調査”。決して遊びではない。……いいか?」
「(真顔)ギルドの信頼に応えるのが、俺の流儀です」
「なぜ真顔になると余計に胡散臭くなるのかしら……」
◆
その数日後、再び王都へと戻ってきた流星たち一行。
街路は活気にあふれ、再開された風俗街ユグノール通りのネオンはまばゆい。
しかし、表向きの華やかさとは裏腹に、男たちの表情はどこか虚ろだった。
「やっぱり、何かある……」
アリシアは眉をひそめた。
街角で聞き込みをするミレーユが、小声で報告する。
「“ローズ・セレナーデ”って高級店が、異様に人気で……でも、通い詰めた男たちの記憶が、どこか抜けてるみたい」
「記憶……?」
「誰と何をしたか思い出せないのに、“幸せだった”ってだけ繰り返すの。まるで洗脳みたいに」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
「叫ぶなぁあああああああッッ!!」
奇声を上げたのは流星だった。
「なにその究極のプレイ!? 記憶飛ぶほど幸せって……もはや悟りじゃん!? 俺も行く!! 行く以外にない!!」
「はいこの人が一番廃人候補で〜す」
「まったく、貴様という男は……!」
そんな中、ヴァネッサがにっこり笑って肩を叩いた。
「ねぇ、行くなら一緒に行こっか♡ 私、ちょっと興味あるの〜。“美女に癒される”ってどんなのかなぁ〜?」
「貴様は癒す側だろおおおおお!!」
◆
こうして、調査と称した流星の夢の高級風俗店潜入計画が始まった。
だが彼はまだ知らなかった。
“夢”の奥には、
“甘美”という名の、
とてつもなく危険な魔の罠が張り巡らされていることを──。




